日産 スカイライン 「V36スカイライン 前期and中期乗り比べ」のユーザーレビュー

ひび ひびさん

日産 スカイライン

グレード:370GT Type S(AT_3.7) 2008年式

乗車形式:マイカー

評価

3

走行性能
4
乗り心地
4
燃費
2
デザイン
4
積載性
-
価格
-

V36スカイライン 前期and中期乗り比べ

2022.6.1

総評
2号機V36(以下KV36)、納車からほぼ3ヶ月で約7,000km以上走ってしまいました。走るのが楽しいのは相変わらずで月2,000km超えのペースで過走行まっしぐら状態です。とりあえず一通りの状況で走らせてみて、何となくKV36の特徴、1号機V36(以下PV36)との違いが色々と見えてきた気がします。よってここでは前期PV36と中期KV36について違いを感じた部分を中心に、中期KV36の印象を記したいと思います。

見た目は変わらないこの2台、実際に乗り比べてみると結構乗り味が違います。前期型のウィークポイントとして挙げられた、やや粗削りな部分、特にドライバビリティや乗り心地、静粛性の点について、中期型は細やかな部分まで欠点を潰し込んで洗練させた印象です。

またSUV流行りの昨今、車輛の全幅がBセグ車輛でも1.7m超、Cセグ以上の車輛で軒並み1.8mを超えるようになると、V36の4.75m×1.77mというボディサイズが相対的にコンパクトに感じられるようになってきました。幹線道路で乗る分には1.8m超えでも支障はありませんが、狭い路地裏やワインディングではこの程度の車幅が扱いやすいです。

このように個人的な満足度は高いものの、客観的に他人へのお勧め度は?と問われれば、今となっては燃費の悪さや税金などによる維持コストの上昇や、経年による故障の頻出なども鑑み、今の世間一般の価値観ではお勧めできないという意味で★★★程度でしょうか。

ただ、高い維持費は覚悟の上で、運転する実感を味わいたい、クルマとの対話を重視したい、ロングツーリングが好き、今のうちに高回転型大排気量NAに乗ってみたい。その上で今時の車が持つ最低限の快適性や利便性を重視するユーザー層へのお勧め度は文句なしの★★★★★といえましょう。このクルマが新車で売られていた頃とは、もう時代や価値観が違う。今のクルマが持ち合わせない、今後のクルマにも望めない乗り味を備えるといった点で、既に一種の旧車みたいなものです。

上述の通り、前期と中期以降では結構クルマの性格が違います。粗削りでもクルマを振り回す愉しみ、クルマとの対話といった非日常的な楽しみ方を重視するならば前期型の特に4WAS非装着車、スポーツドライビングと洗練された乗り味やドライバビリティなど日常使いでの気持ち良さの両立を重視するならば中期以降を選択されると良いかと思われます。

満足している点
基本的にはPV36のクルマレビューに書いたものと同じで、しっとりとした乗り心地、路面感覚を豊かに伝える油圧パワステ、スポーティーで素直な操縦性、今時珍しい高回転型NA大排気量エンジン、意外にスポーツ走行に適したA/T、自然に決まるドラポジ、車幅の広いクルマが増えた昨今において、幅も広すぎず乗りやすい車体サイズに実用的なパッケージング、剛性が高く頑丈そうな車体。

前期型と中期型の違いは、内外装等の見た目に関しては間違い探しレベル。しかしながら実際に乗ってみると前期型の粗削りな部分、特にドライバビリティや乗り心地、静粛性の点に対して改良の手が入っているのが明らかに実感出来ます。前期型で最大の長所と感じていた、クルマを操縦する実感を犠牲にせずに、日常使いでの洗練性を身に着けた印象。

不満な点
こちらも基本的にPV36と同じで、燃費や内装の質感レベル、シートのホールド性など。あと強いていえば中期型でもナビの更新が終了していたりUSB接続ポートが備わっていない点。まぁこの年式でBluetooh接続が出来るだけ有難いワケですが。。

燃費に関して気にするようなクルマではないとは承知の上で、トランスミッションの多段化やVVELの採用など、新しい省燃費技術を採用したにも関わらず、前期型に対して実燃費での改善があまり感じられないという点は少々不満。日本の自動車税制下では、排気量UPでの性能のUP代が税金のUP分にまでは見合っていないような気がするのが細かい不満っちゃ不満です。3.5でも高い自動車税が13年超15%重課で7万円超とかもうね。。 (涙)

デザイン

4

【外装】
前期から中期の違いはドアミラー形状のみ。中期よりスクラッチシールド塗装が採用されています。
更に細かい点では中期からホワイトのカラーコードの変更(QX1ホワイトパール3P→QAAクリスタルホワイトパール)。QAAは2008年頃からのINFINITI系列車種用色だったようで国内向けでは採用車種が限られています(GF50最後期/PGF50最後期/V36中期~V37前期/Y50後期/Y51前期/J50)
同時期に他の日産主力車種はQX1からQAB(ブリリアントホワイトパール)に差し替えとなり今に至っています。そのためか、QX1やQABのタッチペンは量販店ですぐに見つかりますが、QAAのタッチペンだけは見つけることが出来ません。。QAAの色味自体は寒色過ぎず暖色過ぎず好みの色です。



【内装】
相違点①パワーウインドスイッチベース…前期ソフトフィール塗装仕上げ→中期プラ素地色へ変更。剥がれ易く不評だった前期の塗装品からの改善目的か、コストダウン目的か。因みにステアリングリッドカバーは中期ではソフトフィール塗装仕様 (後期はプラ素地色)。

相違点②…助手席側マップランプ脇アンビエントライト削減。中期型になる以前の、前期型2007年11月の仕様変更時から運転席側だけとなった模様。これは単なるコストダウンで目的か。最前期は良い感じに前両席の手元を照らしてくれていたのでちょっと残念なポイント。

相違点③…ドアトリムの下部素材変更。前期型のハードプラ素材からソフトタッチ素材のものに変更。細かい部分ではあるが、良く触れる部分だけに質感の向上には効いている。

相違点④…センターアームレスト下小物入れ、植毛仕上げの部分縮小。コストダウン目的な気もするが、前期型ではゴミ付着が目立つ部分だったので、その意味では改良か。

相違点⑤…ダッシュパネル、ドアトリムのアルミ加飾色調変更。前期/暖色系→中期/寒色系へ。和紙調ヘアライン仕上げはそのまま変わらず(後期からはヘアライン仕上げ廃止)。

走行性能

4

【エンジン】
VQ35HR→VQ37VHRと約200cc排気量が増加したが、絶対的なパワーは35HRも37VHRもあまり変わらない印象。ストローク長の延長で連桿比は悪化しているはずですが、高回転域の伸び切り感に関して特に悪化した印象は無し。寧ろレッドゾーン手前の最後の1,000rpmといった高回転域の躍度においては37VHRの方が上に感じる。いずれにせよ不満は感じないとだけ。一度TC2000辺りの丁度イイ規模のサーキットで全開にしてみたいものです。

エンジンに関しては、寧ろ低回転域でのドライバビリティの改善効果が大。前期35HRで良く言われたスロットル特性が改善されています。ただ単純にスロットルが過敏なだけであればある程度慣れで解決出来るのですが、35HRの場合はソレとは何かが違う。KV36が納車になった時に、良く比較してみると35HRはアクセルを微妙に踏んだ時に若干の不感帯を越した所でスロットルが大きく開く傾向があり、例えば普段よりほんの少しだけ早めに発進したい時などに、イメージとしていつもより強めに足の親指の付け根辺りに力をジワっと入れた時、思ったようなトルクの反応が返ってこないのでもう少し踏み増したら急発進気味になってしまう…という感じ。

37VHRは、同じように足の親指の付け根辺りに強めにジワっと力を入れた時点で、明確にトルクが発生している感触を返してくれる。その上そこからアクセル開度を増やしていった時の反応もリニアなので、イメージ通りの発進がし易くなり、発進停止の機会が多い街乗りでの好印象に繋がっている。この改善の要因が、単にスロットルマッピングの変更なのか、VVELによる燃焼レスポンスの向上なのか、A/T制御の違いなのかは判断できませんが、正直この改良点だけでも満足度は高いです。



但し7速化されたA/Tに関しては、良くなった部分も多いですが、相変わらず微妙な点も残っているといった感じ。良くなった部分から述べると、A/Tの直結感の向上。ロックアップ領域が広がったのか、前述のスロットルレスポンスの改善と相まって、意のままに加減速が出来る上にトラクションによって地面を蹴りだす感が感じられて気持ちが良いです。

その反面、ロックアップ領域の拡大によって、特に40~50km/hの速度帯で5A/Tでは感じなかった共振のような騒音を感じるようになったのは小さな欠点。Y51フーガの370GTに乗った時には感じなかった気がするのですが、駆動系全般の剛性バランスの違いによるものなのか。。
シフトスケジュールは、前期5A/Tでは40km/h前後での3/4速間の変速の不自然さを感じていた訳ですが、7A/Tになったら今度は50km/h前後での4/5速間の変則の不自然さを感じるようになりましたw


【操縦性】
違いが大きかったのがこの部分。前期型は縮み側のストローク感をあまり感じさせず、尚且つ伸び側のダンパーの動きがルーズなセッティングだったものが、中期型では縮み側は漸進的にストロークをさせ、伸び側の動きをタイト減衰するセッティングになっている気がします。

縮み側を漸進的にストロークさせるようになった事で、初期から素直にロールが発生し、ターンインでの安心感が増したような印象があります。PV36から履かせていたPS4Sとの相性に関しても、足の動きとタイヤの撓み感とグリップの立ち上がりのレスポンスがとても良い感じにバランスした上に街乗りの快適性にも不満が感じられないので非常にマッチングが良い感じです。

この個体、購入当初は前オーナーによってレグノのGR-XIというコンフォートタイヤを履かされていました。レグノは絶対グリップ自体は結構高く街乗りでは快適で不満がないものの、ワインディングを走らせるとやはりタイヤの剛性が柔いせいか、素早い切り替えしなどの動きでは足の動きに対して一瞬遅れて煽るような挙動が発生していました。やはりスポーツセダンらしく操る為には程度のスポーツタイヤを選択した方が車との相性は良さそうです。

1号機PV36と一番の相違点は、2号機KV36は4WAS装着車という点。PV36と比べると、低速コーナーではよく曲がるというか、ホイルベースが短くなったような感覚はあります。あと首都高の大橋JCTのような回り込んだコーナーでの旋回能力が高かったり、タイトコーナーで目測よりも更に奥が巻いていた時に切り増した時などの舵の効きとか、それなりに恩恵を感じています。

ただ曲がり方が独特なのは確かでアプローチでは、①舵を入れる→②フロントにスリップアングルがつく→③フロントCF発生→④自転運動開始→⑤リヤにスリップアングルが付く→⑥リヤCF発生→⑦公転運動への移行と…いうプロセスのうちの④自転運動開始から⑤リヤタイヤにスリップアングルがつくまでの時間軸を飛ばして、いきなり公転運動に至っているような感覚。これは特に後席だと違和感があるようで、ココが指定席の娘達はこのクルマの横Gの掛かり方は今までのクルマと何か違うと感想を述べております。。



出口での動きもやや独特です。コーナーミドル以降でトラクションを掛けるとコーナーのRに対してのクルマの角度が浅いまま、並行的に立ち上がる感覚があります。駆動輪であるリヤタイヤを操舵することによって駆動力の向かうベクトルが変化する為にコーナー脱出時のフィーリングも変わってくる印象とでもいうのでしょうか。またリヤタイヤが滑り出す瞬間の挙動は、心なしかPV36よりKV36の方が穏やかで対処しやすいような気がします。これがジオメトリーの違いによるものなのか、はたまた4WASの持つ特性のお陰なのかは私には判断できません。

こうした4WAS独特の挙動を除けば、路面感覚をきちんと伝えてくる油圧パワーステアリングとトラクションでクルマを操るのは相変わらずとても気持ちがいいです。その一方で、コーナリングのプロセスを意識し、クルマと対話して運転を楽しむのには…4WAS非装着車の方が適しているかなといった印象は多少受けます。

ただ、私も50歳を過ぎて色々と衰えを実感する年齢。ロングドライブ先でのワインディングなどで、KV36の4WASのような洗練されて楽に速いというセッティングもこれはこれでアリなのかなとも感じています。因みに4WASのセッティングに於いて、前期型で言われていた過敏な挙動というのは感じていません。4WASのセッティングも前期から中期で変更されているのかも知れません。
乗り心地

4

操縦性の項目でも触れましたが、前期と中期ではダンパーの特性が変更になっています。どちらかというと縮み側のストローク感をあまり感じさせず、尚且つ伸び側のダンパーの動きが若干ルーズで多少ブカブカ感を感じさせる前期に対して、漸縮み側は漸進的にストロークをさせた上で伸び側の動きをタイトに減衰する中期。そのセッティング変更が乗り心地の面では功を奏していて、街乗りでの揺すられ感は大分解消されて、路面の良いところであればかなりフラット感のある乗り味となりました。荒れた路面でのショック伝わり具合に関しては多少マシになったかな?という程度で、そのような路面では相変わらず快適とは言えない乗り心地です。

静粛性に関して、防音材等の使い方が変わったのか分かませんが、明らかにKV36の方が静かです。騒音レベル自体もそうなのですが、騒音の周波数帯がPV36の方が高く乾いていて、KV36の方が低くデッドな感じ。その反面、KV36は先述したようにロックアップ領域の拡大による騒音等がこもり音として感じられるような部分もあります。
積載性

-

燃費

2

VVEL+7A/T化で燃費向上という謳い文句ですが…正直、街中の燃費は35HRに対してもかなり悪い印象です。37VHRで発進停止が多いと6km/ℓ前半、渋滞が酷いと5km/ℓ台に落ち込むこともあります。35HRが通勤燃費でコンスタントに8km/ℓ~9km/ℓをマークしていたのに対して、37VHRは同じ条件で6km/ℓ後半~8km/ℓ前半。A/Tが7速化されて確かに高速巡行燃費は向上しましたが、それにしても35HRの10km/ℓ~12km/ℓに対して37VHRでは11km/ℓ~13km/ℓに向上した程度。
市街地+高速含めた総合燃費となると35HRに対して37VHRの方が0.5km/ℓ程悪い結果となっています。まぁ燃費を気にしながら走るクルマではないのであまり気にしてはいませんが、燃費向上の為の新技術を謳いながら旧型車に対して燃費代の向上が無いというのは少し残念な気もします。
価格

-

故障経験
フロントブレーキの引きずり←キャリパーO/H、ピストン&ディスクローター交換
ステアリング微舵角時に異音←ラックギアASSY交換。
ABS警告灯点灯←ブレーキスイッチ交換

いずれも保証対応にて無償修理。程度は良くともやはり13年落ち。保証と良く見てくれるディーラーは大事です。保証期間内に故障が潰しこめますようにw

下記のリンクから「みんカラ」に遷移して、違反報告ができます。

「みんカラ」から、違反報告をする

日産 スカイライン 新型・現行モデル

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

※ 掲載しているすべての情報について保証をいたしかねます。新車価格は発売時の価格のため、掲載価格と実際の価格が異なる場合があります。詳細は、メーカーまたは取扱販売店にてお問い合わせください。

ユーザーレビューを投稿する

ユーザーレビューを投稿する

※自動車SNSサイト「みんカラ」に遷移します。
みんカラに登録して投稿すると、carview!にも表示されます。

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示
carview!の最新情報をチェック!
Facebook
carview!公式Facebook
最新のクルマ情報をお届けするcarview!オフィシャルページ(外部サイト)

carview!公式X(旧Twitter)
carview!の中の人がクルマ情報をポストする公式アカウント(外部サイト)

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離