日産 スカイライン 「同クラスのセダンと比べると古さが隠せない」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
2
走行性能
4
乗り心地
5
積載性
4
燃費
2
価格
4

同クラスのセダンと比べると古さが隠せない

2023.11.29

年式
2014年6月〜モデル
総評
国産セダンは厳しい現状にあることは事実だろう。しかしながら、ライバルと言えるISがビッグマイナーチェンジで大きく現代的に生まれ変わったことを考えると、スカイラインももう少し上手いやり方で頑張ってほしいと感じる。400RやNISMOの追加でスカイラインらしさを取り戻しつつあるが、伝統をリスペクトしながらも新たなファンを増やすべき転換期に来ているのではないだろうか。
満足している点
基本設計の古さがありながらも、上級スポーツサルーンにふさわしい乗り心地とフットワーク性能を実現しているのは魅力的なポイントだ。また、上級スポーツグレードである400Rはエンジンのフィーリングもスポーツエンジンらしい吹け上がりを見せてくれて、今どき味わう機会が少ない気持ちいいターボエンジン独自の魅力と言える。また、このクラスのサルーンとしてはややリーズナブルな価格も見逃せない点。
不満な点
乗り味自体はそこまで古さによる不満がなくとも、細かなポイントを見るとバージョンアップしてほしい箇所が多い。第一にトップグレードの400Rは、価格帯を考えればもっと運転支援システムを充実させてほしい。グレードコンセプトに合わせた結果かもしれないが、上級サルーンであることを考えると下のグレードに採用されている高速道路で有効な運転支援システムは装着すべき。また、今どき足踏み式のサイドブレーキもクラスを考えれば疑問だ。電子サイドブレーキを採用してオートブレーキホールド機能を持たせてほしい。
デザイン

2

スカイライン伝統の4灯丸目テールライトをデザインに採用しているのはいいものの、全体的にデザインは古臭さを感じてしまう。モデルライフが長いのもあるが、同クラスのライバルたちと比べると流行りとなるエッジの効いたデザインではないし、灯火類やLEDの使い方などを見ても古い印象があるのは否めない。フルモデルチェンジが難しいのかもしれないが、スカイラインファン以外も引き付ける目新しさが欲しい。
走行性能

4

基本性能の古さを感じる部分はあるが、ボディの剛性感も高く、パワーユニットも十分な動力性能。トップグレードの400Rならばターボエンジンらしいトルクの立ち上がりを感じられる。やや古臭いターボエンジンかもしれないが、不快なターボラグではなくターボらしい気持ちいい吹け上がり。ただ、ミッションはもう少し気持ちよく変速してほしいところ。フットワークもエンジンも概ね満足なので、ミッションがその良さをスポイルしている印象だ。
乗り心地

5

上級サルーンらしい快適な乗り心地。基本設計は古いかもしれないが、3ボックス形状のボディは高い剛性感があるし、入ってくる振動や騒音も不快なものは少ない。ボディ剛性が満足いく仕上がりだからこそ、サスペンションがしっかりと仕事をして、上質な乗り心地を実現しているといった印象。
積載性

4

このセグメントのセダンとして考えれば一般的で、十分な積載性を持っている。ラゲッジスペースの利便性という面で見ると、センターのアームレストスルー機構が用意されているのが好印象。基本的にセダンを求める人ならば積載性で不満を持つことはないだろう。
燃費

2

ハイブリッドがカタログラインアップからなくなってしまったことも踏まえると、燃費性能としてはあまり優れたモデルとは言えない。ハイパフォーマンスグレードは用意されているものの、一般的なグレードでマイルドハイブリッドやダウンサイジングターボなども用意されていない。燃費性能などを踏まえて考えると他の同クラスのセダンが魅力的に感じてしまうのは事実だ。
価格

4

一般的なグレードが約500万円、ハイパフォーマンスな400Rが約600万円ということを考えると、このクラスのセダンとしてはややリーズナブルな価格設定とも感じる。800万円級のNISMOは確かに良さがあると思うが、値段に対するメリットを実感できるかと言われると難しいかもしれない。スカイラインファンならばいざ知らず、800万円クラスとなるとより魅力的な選択肢は多くなる。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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