日産 シーマ 「日産の最高級ドライバーズカー」のユーザーレビュー

日産の最高級ドライバーズカー

2023.12.22

総評

日産の最高を味わいたいのであれば乗るべき車ですが、ひいき目に見てもシーマのベンチマークであったセルシオの方が完成度は高いと思います。
しかし、それでも私はシーマを選びます。
他人に理解されなくとも構いはしない、熱く迸るパトスを持て余す人にこそ乗っていただきたい車です。

満足している点

①古典的な3BOXセダンでありながら、曲線中心で構成された優美かつ個性的なフォルム
②最新の車でも追いつけない圧倒的な静粛性
③ダイレクト感のある走り
④最小回転半径が5.3mなので狭い道も問題ない
⑤知名度の割に人と全く被らない

不満な点

Fセグメントとしては致命的に内装の質が低い

デザイン

5

ロングノーズでガラス面積も小さく絞り込んであるウェッジシェイプなのでスポーティ風。厳つさと優美さがほどよくバランスされています。これが2001年初出の車なのか？
メルセデスに似ているとよく言われますが、ヘッドライトに合わせて隆起したフロントフェンダー、極端に低く構えたノーズ＆アッパーグリル、Cピラーからキャラクターラインにかけての女性的な曲線、リアフェンダーからトランクへの絞り込みが分かりやすいダックテール、トランク上面まで食い込んだテールランプなど、アストンやジャガーなどの英国車を思わせる要素の方が多いと私は思います。
が、公道を走っていて明らかに避けられることが多いです。対向車・歩行者に道を譲ってもなかなか思い通りに動いてくれないので、この車に対する一般的なイメージはそういうことなんでしょうね。前車の51シーマでもよく避けられていましたが、50はそれよりももっと露骨に周りの車の動きが変わります。

走行性能

5

安定感という意味ではセルシオやSクラスなど他に優れた車種がありますが、路面への追従感が非常に分かりやすく、Fセグメント特有の世界観を壊さない程度にはワインディングがとても楽しい車です。ハンドルはとても軽くて遊びも少なく、ジャガーXJに近い雰囲気です。
50シーマはそのスポーティで個性的な外装通り、31の走りのイメージへの原点回帰が開発のテーマになっており、その方向性でサスペンションをチューニングしています。トレッドの増加、そしてバネ下重量も33より18kg軽くなっている点でもそれは明らかです。その他、車好きにしか通用しない込み入った話になりますが、ボディ剛性は39%、キャンバー剛性は20～26%、ステアリング剛性は30%、エンジンルーム周りの動剛性は70%向上しています。
エンジンに関しても33のVH41比でトルクが全域で20%up、最大トルクは＋7.6kgmの46.0kgmですが、スロットル制御のせいか加速は鈍重。
前車の51シーマはリムジンとしての性格が強い車なので、ドライバーズカーとしての運用だと確実にこちらの方が高性能です。

乗り心地

5

サスの基本設定はマイルドで、履いているタイヤによっては強い突き上げを感じますが、トヨタの高級車にありがちな浮遊感は全くと言っていいくらいありません。つまりマイルドではありますが、ある程度の硬さはあります。
静粛性に関しては全ての型のV8シーマに乗りましたが、比にならないレベルで50が最も静かです。当時専用で設計されたVK45は、33のVH41よりもアイドリング騒音が50%、加速騒音は60%の静音化を果たしているのと、50のベース車両である34セドリックは、プラットフォームが一新されたおかげで時速50km走行時の騒音レベルが33セド比で5db下がっているのが大きいと思います。G50プレジデントにも2台乗りましたが、50シーマの方が静かでした。が、流石に30セルシオや50センチュリーには敵いませんね（笑）。あちらはクラウンがベースになったマジェスタや、アリストがベースですから。
51シーマと比較すれば静粛性は50の圧勝、ソフトな乗り味は51に軍配が上がります。
ちなみに50の走行距離は3万km、タイヤはADVAN dB V552です。

積載性

4

積載量は450Lなので悪くはないですが、17インチタイヤは2つで限界。しかし普段使いで困ることはまず無いか。
わたしの車だと限定モデルなので中期の450XVなのにオートトランクがついていますが、トランクスルーは全グレード・年式で設定がありません。

燃費

4

カタログではリッター8ですが、実燃費だと8～10がほとんどです。田舎のバイパス7割の街乗り3割で走っていますが、古い4500ccのエンジンに5ATの組合せを考慮すればなかなかのもの。高速道路だけなら12前後まで伸びます。
が、昼間の駅前などを中心に走れば3～5です。

価格

5

中古なので3万kmの車両を90万円で手に入れられました。維持費は割高ですが、趣味車と割り切れば法外もいいところの価格です。下取りには期待すべきではない。

故障経験

48000kmまで来ましたが特になし。