マツダ ロードスター 「ロードスター９９０Ｓ試乗～車好き原理主義者の最後の砦、健在ナリ～」のユーザーレビュー

ロードスター９９０Ｓ試乗～車好き原理主義者の最後の砦、健在ナリ～

2022.7.10

総評

スポーツカーには2つの進化の方向があると思う。
一つはパワー志向、もう一つは軽量志向である。
ロードスターが目指しているのは後者であり、個人の見解としては経済的にも環境的にもこちらがベストと思える。
カーボンニュートラル時代、このままの姿カタチでロードスターが２０年生産できるとは思わないが、現時点でスポーツカーができることは全てやり切ったように思えた。
フロアの突起やシフトレバーの振動という欠点によって、４つ星にしようと思っていたが、Spirit Of Roadsterの志に免じて、やはり５つ星を捧げようと思う。

満足している点

乗り込み、思いのほかタイトで低い着座位置に「スポーツカー」を感じる。
シート位置をクラッチが踏み込めるまで前に出し、ハンドルを握る。
背もたれをやや倒し気味にしたら、しっくりくるドラポジになった。

久しぶりのマニュアル車に少々怯えながらのスタート、最初こそクラッチのつなぎ方が雑になったりしたが、じきに慣れる。

ほどよいパワー感と加速の良さを感じる。市街地では、モアパワーを感じる場面は皆無であった。

シフトレバーは短いストロークで節度良く決まる。クラッチも扱いやすく、ステアリングフィール、乗り心地でここがイヤという場面はなく、結果的に乗り心地が良かったことを知る。

交差点で停まった時、左右のフェンダーの盛り上がりによる見切りの良さ、バックミラーからの視界の良さを感じる。

また、収納はトランクへ、という割り切りの良さ。バンパー下部にトランクオープナーが付くなど実用的で、ユーザーフレンドリーを感じる。

後輪駆動、自然吸気エンジン。屋根なし（軽量の幌付き）、二座。マニュアルトランスミッション。
車好き原理主義者の最後の砦のような成り立ちだが、そこがいい。確立された「人馬一体」車というイメージに違わない実体。それを30年以上続けているという伝統が裏付けしている。

不満な点

良くできたオープンスポーツカーのマツダロードスターにもいくつか欠点を発見することができた。
乗り込むと分かるのだが、運転席側だと左側に出っ張りがある。慣れれば気にならなくなるのかもしれないが、客室の快適性を若干スポイルしていると感じた。
もう一つは、アイドリング時にブルブルした振動を伝えるシフトレバーだ。2018年6月に試乗した個体でも同じ症状が見られたので、ロードスターあるあるなのかもしれない。

デザイン

5

何も足さない、何も引かない。
一切の無駄のないシンプルなラインながら、躍動感も感じるフォルムで悪くない。

走行性能

5

パワーを上げるよりも軽量化を大切にしたコンセプト。
従来型に比べより軽快に、より操作しやすく、扱いやすくなったと感じる。

乗り心地

5

サスペンションの動き、シートのサポート等、乗車中に不快と思われる要素は一切なかった。
結果として乗り心地が良いのだと思う。

積載性

4

２人で一泊二日の荷物などを積むのに適切なサイズだと思う。VDA方式で約130L。
カタログによれば、55㎝×40㎝×22㎝サイズのキャリーバッグが2つ積めるとか。

燃費

4

セールススタッフ曰く、13㎞/ℓくらいだとか。
ハイオク指定なのも所有に際しては痛いところ。

価格

5

990Sでざっくり総額350くらいだとか。世界を見渡しても、この価格で買える本格的スポーツカーはそうそうない。

故障経験