ジャガー XE 「リードに繋がれた車。」のユーザーレビュー

リードに繋がれた車。

2020.9.22

総評

【総評】
　強豪ひしめくDセグメントセダンで、独自の雰囲気を持っている車だと思います。非常に洗練せれていて快適で、後部座席もシッカリ使える車です。パッケージングとか質感は十分なんですが、電子制御だけが足を引っ張ってる印象です。そんな領域を使わないとか、気にせず「ガーン」と踏んで乗ってしまえばいいのかもしれませんが、車と人って協調して前に進むものだと思います。電子制御があれば安全かもしれませんが、私はそう思います。そして、そんな車を追い求めていきたいと、改めて実感しました。

　車としてはDセグメントセダンとしては、平均点以上の魅力的な存在だと思います。ただ個人的には、合わない車かな…。

　あとディーラーに関する部分をいえば、ジャガーはディーラー網を再編中です。そのため、どこのディーラーも新規店舗が多い印象。店内の雰囲気や、整備体制なども考えると、ドイツ御三家に今一歩遅れてる印象も正直抱きました。

　そーいえば、昔のXJみたいなデザインは捨てたのね。それも、ちと残念。

満足している点

【満足している点】
　なんといってもデザインだと思います。最近の車は新しくなるにつれて、グリルが大型化していきますが…。その中でも「見れる」デザインとして纏めてるのが好印象です。

　内装のデザインも素晴らしいです。アルミの加飾が各所にあるんですが、それが非常に魅力的です。ウィンカーレバーとか、手が触れる場所に適度に加飾されています。触れるたびに冷たさを感じて、その存在を確実に感じさせてきます。意図的な配置かと思いますが、これがなんともニクイ演出でした。

　でも、ダイヤル式のシフトセレクターは、後期型では廃止しちゃったのね…。あのイグニッションONと同時に、スーッと飛び出してくるのが魅力的だったのに…。（XFなら、MC後も残ってます）

　あと4気筒ターボエンジンが、緻密に回るエンジンで気持ちいいフィーリングでした。トルコンATというのもあると思いますが、ターボラグは一切なく「ヒュィーン」という、ジェット機みたいな音を出しながら加速していきます。ディーゼルモデルの方が燃費はいいかもしれませんが、フィーリングだけなら4気筒ターボのガソリンも捨てがたいです。

不満な点

【不満な点】
　「トルクベクタリングバイブレーキ」という機構が付いてるんですが、これがすべてを犠牲にしています。最近よくある電子制御で路面状況を見ながら、内側の車輪にブレーキを掛けて外側の車輪にトルクを配分するとあるんですが…。これがハッキリ言って邪魔です。ある一定の以上の入力を車に与えると、不感領域に入っちゃいます。（車が安全だと判断した範囲内でしか、車が反応してくれません）そのため自分の思ってる位置と姿勢に、車をコントロールすることが非常に難しいです。あとステア操作に対する反応も、戻す場合と切り足す場合で、車の反応が異なります。同じ量だけ足したり戻したりしてるのに、戻す操作に対して反応が少し鈍いです。戻す場合も、足す場合も同じだけ車が反応して欲しいところ。

　こんな感じでドライバーの意思を無視して、車が最適だと思う姿勢・速度でしか走っていきません。良く言えばオンザレールな走り。悪く言えば、車に走らされてる感じでした。

　具体的には中速コーナーぐらいから、車に引っ掛かり感を感じ始め…。車が見えないリードに繋がれていて、「おーっと、それ以上は車に任せてね」と引き戻されている印象です。確かに安全で、如何なる状況でも安定して走れるのかもしれませんが…。このコントロールする領域を楽しめてこそ、車という乗りものだと思います。もっとドライバーに任せる、任せられる性能を備えて、適切な運転環境を有してる車かと思ってました。勝手な思い込みかもしれませんが、BMWと双璧をなすスポーツセダンというイメージがありました。でも、これならクラウンRSの方が走りは楽しいです。

　あと8速ATも、ちょっと違和感があります。停止状態からの走り出しに、常にもたつきます。発進→1速ギア→2速ギアに入る、一連のシフト操作が非常に遅いです。ZFの8速ATなんですが、同じATを積むF30 320dは洗練されてた印象だったんだけどな…。個体差なのか味付けなのかもしれませんが、味付けだとしたら「？？？」しか残らない印象でした。

デザイン

5

走行性能

4

乗り心地

4

積載性

3

燃費

3

価格

3

故障経験