ヒョンデ ネッソ 「全体としてのまとまりは悪くないが静寂性に難あり」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
1
走行性能
3
乗り心地
2
積載性
3
燃費
4
価格
2

全体としてのまとまりは悪くないが静寂性に難あり

2022.8.19

年式
2022年2月〜モデル
総評
韓国車と聞くと日本ではまだまだ否定的な意見も多くみられる気がする。しかし、電気自動車ならばともかく、世界的にも少ない燃料電池車をプロダクトとして提供しているということは、それだけ技術力をヒョンデが身に着けているということだろう。静寂性の難点など、まだまだ荒削りな部分もあるが、走る、曲がる、止まるに関して言えば比較的しっかりと出来ていて、先入観が裏切られるという人もいると思う。このネッソ含め、電動車はプレミアム路線になりがちなので、その価格を出す意味がある性能を身に着けていくのが今後の課題だろう。
満足している点
まず燃料電池車という時点で希少性があり、選択する理由の一つとなる。その中でもSUVというボディ形状を採用しているのは世界的に見てもネッソくらいだろう。そういったこれから来そうな要素があって、他にはないパッケージングというのはそれだけで一つの武器になる。また、各種インターフェースの操作性も良好なのが好印象だし、ウインカーを出した方向の斜め後方のカメラ映像がメーターの一部に映し出されるのも、今まで他にはあまりなかった便利なギミックだ。
不満な点
静寂性が最も気になるポイント。乗り心地は確かに固めではあるものの、許容範囲と言えるレベルでスポーツモデルほどガチガチという訳ではない。また重たい車重を考えれば致し方ない部分もあると思う。しかし、静寂性に関しては700万強の価値はハッキリ言ってない。ロードノイズもそうだが風切り音が特にひどい。純エンジン車でより値段が安くて車内が静かなクルマはもっと他にもある。この点は今後改善をしてほしいと思うポイントだ。
デザイン

1

同時期に登場した同ブランドのアイコニック5と比べると見劣りしてしまう印象。アイコニック5が直線基調でシャープになっており、SUVとしては低く構えたシルエットで灯火類のデザイン処理で未来感を出していて電動車的なカッコよさを感じるのに対し、ネッソは旧来のヒュンダイの微妙なデザインから抜けきっていない。全体的に直線を使うのか曲線を使うのかどっちつかず、というメリハリの無さが中途半端な印象を抱かせてしまう。
走行性能

3

加速性能に関しては文句なし、スロットルレスポンスも優れていて加速感は気持ちよさがある。ただ、加速感を際立たせたくてアクセルペダルを軽くしているような味付けは少し気になる人もいるだろう。ハンドリングに関してはあまり特出した性能は無いが、このサイズのSUVとして考えれば平均的と感じる。ブレーキフィーリングは比較的自然で、回生ブレーキが強いクルマなどにありがちな、踏力が変化するような印象を抱くブレーキではない。
乗り心地

2

乗り心地に関しては正直固めという印象だ。伝わってくる路面からの入力に角がある感じだし、乗り心地で質感というものはあまり感じられない。ボディの剛性感もあまり高く感じないので、そのような点も影響していると思われる。ただ、最も気になるのは車内へ入ってくる騒音の大きさだ。ロードノイズもそうだが、特に風切り音はよく聞こえてくる。せっかく静寂性が高いパワーユニットを搭載しているだけあって、この点は正直もったいないと感じてしまう。
積載性

3

燃料電池車や水素エンジン車は巨大な水素タンクを配置しなければいけないため、パッケージングでどうしても不利になってしまう。そういった厳しい条件の中では、比較的良好な積載性を有している。通常時の荷室容量は461リッターで、実際に見てみてもあまり特出した印象はない。このサイズのSUVとして見ると、少しラゲッジスペースが小さめと感じる声も無くはないかもしれないが、燃料電池車であることを加味すると十分と言えるだろう。
燃費

4

燃料電池車なので、純粋な燃費というよりは航続距離ベースでの話になってしまうが、カタログ上で820kmという航続距離は、他車の燃料電池車と比べても劣るという印象はない。もっとも水素というエネルギーを使用するということが現状不便な場面も多くはあるが、電気自動車と比べるとコンディションによる航続距離の変動が少ないという印象。現状の燃料電池車としてはおおむね満足のいく航続距離を確保している。
価格

2

700万強という値段設定の燃料電池車は他社と比べても妥当と言える。しかし、700万円強となると高級サルーンやスポーツモデルなど、さまざまな趣の車種が買える選択肢の幅が広いゾーンとなる。その価格帯の中で燃料電池車を購入することは、静寂性や乗り心地の良さなどを期待して購入するという層もいるだろうが、そのような高級車的な性能はハッキリ言って低い。燃料電池車に「静寂性が高く乗り心地の良い高級車」という側面を期待するのであれば、他社の燃料電池車の購入をオススメする。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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