ホンダ S660 「モノは積めないけど、このクルマならではのエクスペリエンスは満載」のユーザーレビュー

モノは積めないけど、このクルマならではのエクスペリエンスは満載

2022.9.18

総評

割り切って作られた突き抜けたクルマ。なにも積めないが、代わりに他では得られない様々な体験を与えてくれる稀有な存在。
助手席以外に手荷物すら置く場所がないほどストイックだが、乗る側もそれを割り切れる人におすすめ。
ルーフを外してのんびり走っても気持ち良いし、アクセルを踏み込んで山坂道を走らせても楽しい（もちろん絶対的には速くないが）。

満足している点

小型軽量でオープンでミッドシップだから得られる特別な体験が小さなボディに詰まっていて、独自の世界がある。

軽規格の中で、デザインや機能、操作性など、各所細部にもこだわって、よく造り込まれていることが感じられる。

不満な点

アタリは丸められている気がするが、感度を下げてもドラレコが頻繁に衝撃検知するほど乗り心地は悪く、もう少ししなやかさが欲しい（特にフロントサスペンション）。
クラッチの扱いにくさも気になる。
エアコンオフでただの送風、設定温度をLoにしてもあったかい風が出てくる。不具合？仕様？

デザイン

4

オーバハングが短く凝縮感があるエクステリア。

フロントマスクだけは好きになれない。
縦のラインが入ったアルカンターラのシートもオシャレに見える。
ひがみではなく、ModuloXの赤内装よりもαの黒が好き。

走行性能

4

普段は屋根を開けてのんびり、たまに勢いよく走ってみれば、コーナリングはスポーツカーのそれ。特に下りでは普通のフロントエンジン車が同じペースで走るのは難しいのでは？
絶対的な動力性能や官能性は大したことないが、アクセル踏んでる限り「加速しよう」と反応するエンジンやスイスイ曲がるコーナリングはスポーツカー「らしさ」が感じられて楽しい。
開発途中から「ガチスポ」コンセプトが注入されて作られたことがよくわかる。
アクセルを踏み込んで山坂道を走れば、64馬力のフルノーマルでもこんなに痛快なのか？って思えるが、2～30馬力ぐらいアップさせればもっと楽しいだろう。

乗り心地

2

静粛性？　それは皆無。乗り降りもキツい。でもそれでいい、このクルマは。

角は丸められていると感じるが、ホイールベースの短さ故ピッチングは大きめ、凹凸のある路面では乗り心地は良くない。オープンボディの泣き所か、フロントウィンドウがブルブルと揺れる。
タウンスピードよりも7～80kmぐらいのほうが明らかに路面との馴染みが良くなる。
前後の捻じれを低減する補強を考えたいが、変にタワーバーとか入れて前後別々に補強すると逆効果もあり得る？SPOONのスティフプレート辺りが気になっている。

何だかんだ言っても、同じ軽オープンでもストイック過ぎるケータハム・セブン170と比べればS660は乗用車の快適さだろう。

積載性

3

割り切り過ぎていて手荷物の置き場も無いので、隣に人を乗せることも躊躇われる。
このパッケージングは犠牲にしてほしくないが、シートの背後あたりにほんのもう少し積載を考えたスペースを作ってくれてもよかったのに、とは思う。

燃費

4

20km/l前後走るので充分。
でも6気筒3リッターターボ車（M240i）が最大15km/lも走ることを考えると、3気筒660ccなら30km/lぐらい走って驚かせてくれてもいいのでは？とも思う。

価格

4

軽の括りで考えれば高いかもしれないが、これはオープン＆ミッドシップというスペシャルなクルマ。
多くはない生産台数や、設計・製造のご苦労といったメーカ側の事情や、ユーザが享受できる特別な体験を考えれば、新車が込み込み200万円台で手に入ったのはありがたいことだと思う。

故障経験

現時点ではありません。