ホンダ S660 「Sを背負った現代に蘇ったMRスポーツカー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

5

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
2
燃費
4
価格
5

Sを背負った現代に蘇ったMRスポーツカー

2022.1.17

年式
2015年4月〜モデル
総評
二輪からスタートしたホンダが四輪を手がけ、そしてスポーツモデルを生み出した。S660は本田技術研究所の創立50周年における新商品提案企画から誕生した。22歳の若きエンジニアからの立案だ。その後、彼が開発責任者となり市販化が進められた。まさに本田らしい開発ストーリーだ。これを昔話にせず、想いを語り継いでほしい。
満足している点
「軽自動車だから」、ではなくSの系譜からすれば「軽自動車でなければならない」。S500から続く小型オープンスポーツモデルをしっかりと受け継いだ。これが最大にして最良のポイントだ。エンジンブロックや、一部の流用品を除き専用設計がなされたホンダ渾身の一台だ。最終型の設計には歴代タイプRの技術者も加わるなど後世に名を残す。
不満な点
唯一、積載性のみ。だがそれも納得できる話。それよりもS660で培われた技術力がゆっくりと失われ、関わりをもったユーザー層が販売終了とともに離れていってしまうことが寂しく、不満だ。とはいえメーカーも慈善事業ではないので、採算を度外視した物作りは続けられない。ホンダが軽を作り続ける以上、将来、どこかでSの新型が登場することを望みたい。
デザイン

5

唯一無二のデザイン。軽自動車のサイズ制約のなか、見事にミッドシップレイアウトを実現した。これだけでも素晴らしいが、どの角度から眺めても立派なスポーツカーの風格がある。力強く、美しいのだ。インテリアも運転席中心の作り込みがなされた。左右に分かれるソフトトップ形状のルーフ(ロールトップ)を取り外したオープンスタイルもさまになる。
走行性能

5

直列3気筒ターボはS660用にチューニングが施された。初期型は低回転域でのトルクが細かったが最終型ではクラッチミートした瞬間から気持ち良く加速する。シフトフィールも絶品。筆者はNDロードスター乗りだが、それよりも硬質でカチッと決まり、気持ちよい。絶対的なパワーは大きくないが、それだけに市街地走行でも十分スポーツできる。
乗り心地

5

これが意外にも良い! 初期型からバネ定数やダンパー減衰力が見直しを受けたこと、さらにはボディ各部の剛性が向上したことも手伝い、市街地での荒れた路面もしなやかにこなす。間違ってもソフトではないしホイールストローク量も限られるので上質ではないが、凹凸路面の衝撃を一発でいなしてくれる。なので、助手席でも安心だ。
積載性

2

ここはさすがに厳しい。フロントトランクにはロールトップを収納するスペースがあるが、それで終了。リヤはエンジンルームのみ。よって手荷物はすべて助手席へ。キャリアを後付けして積載する方法もあるが、安全上や見た目の上からもオススメしない。「S660はヘルメットの要らないバイクだ」と割り切って楽しんでおられるオーナーの声もある。
燃費

4

WLTC値は20.6(CVTは20.0)km/Lだが、郊外路では25km/L以上とカタログ値を超える数値を難なく記録する。正しい運転姿勢がとりやすく、ゆえに正しい運転操作ができるため、結果として無駄な燃料消費のない運転ができるからだ。高速道路で追い越し加速を味わうとそれなりに悪化するものの、スポーツカーとしては十分にエコ。
価格

5

"新車販売は終了。最終型の価格は2,031,700円〜2,321,000円だったが、この価格で軽自動車のミッドシップオープンモデルはもう販売されないだろう。非常に残念だが、この先は市場に残る車両を大切にしていくことが大切。中古車市場では価格が高騰しているが、車庫のコレクションになるより、毎日走らせるオーナーのもとで過ごしてもらいたい。"
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
ホンダ S660 新型・現行モデル

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