今後の戦略で十分バリューは出る
ハイブリッドを身近な価格で、というホンダの心意気は大変歓迎すべきことです。これまでハイブリッドカーといえば、プリウスが
2009.4.15
- 総評
- 今後の戦略で十分バリューは出る
ハイブリッドを身近な価格で、というホンダの心意気は大変歓迎すべきことです。これまでハイブリッドカーといえば、プリウスがイメージリーダーで、価格も230万円はしていました。ただ、トヨタとしては性能面では2.0Lクラスのもの。その性能にお金を払ってくださいということでした。これはこれで私は納得していました。
しかし、インサイトはそれよりも40万円安い価格で登場し、これは何もハイブリッドカーが欲しかった人だけでなく、ホンダの中でもシビックの大型化による後継車のなさ、手ごろな価格のこういったセダンタイプのクルマがなくなってしまったこと、ここをカバーする意味も大きいなと思います。
プリウスの価格は話題性がありますが、それぞれ競うことは良いことですね。お互いに影響を与え、このカテゴリが進化していくことを期待しています。ただ、私個人的にはインサイトは特別安い価格だとは思いません。実際福井社長もホンダのクルマの中では利益率が高い方と述べていまにし、実質的にフィットにトヨタで言うマイルドハイブリッドを搭載して、180万円という価格なら十分に儲かるでしょう。専用車なのでわかりにくいですが、ただのガソリン車があったなら、150万円くらいのクルマだと思います。
- 満足している点
- ○普通さ
キーを回すとエンジンがかかります。まるで電源を入れるようなプリウスと違って、ハイブリッドカーとしての特別な感じはありません。走り出してもエンジン音がよく聞こえ、言われなければハイブリッドカーなのかよくわからないという人も多いでしょう。信号などで止まってもエアコンなどを使用しているとアイドリングストップになることは少なく、ハイブリッドカーとしてのスペシャルな感じはないと言ってもいいと思います。
○爽快な走りを楽しめます。
スポーティなクルマに普段乗っている人ならプリウス(現行型)よりも、インサイトを好むはずです。確かにサスペンションはややハードで、挙動もヒョコヒョコと足の動きをよく伝え、トヨタ車などに乗っている人には落ち着きがないと感じるかもしれません。しかし、あまり太いタイヤを装着していませんが、コーナリングの安定感や走る楽しさは、インサイトに軍配があがると思います。ホイールベースも特にロングではないと思いますが、直進安定性はいいですね。この辺はさすがホンダという感じです。日産とは明らかに走りの質が違います。
○シンプルで低燃費
トヨタのハイブリッドよりもシンプルなシステムで、あくまでエンジン主体、モーターがアシストというものですが、低コストで他車種への拡大も比較的柔軟に対応できそう。凝ったシステムでない分、多くの車種に展開すればホンダの大きな強みになります。また、システム的にはトヨタのものより大幅に安くできていると思いますが、シビックハイブリッドと違って、車体が軽い分、燃費の数値がなかなか良いのに驚きます。何もいらない、ベーシックな足が欲しいならインサイトの「G」が一番いいですよね。
- 不満な点
- ○新型プリウスと比較すると割高感もある
新型プリウスが戦略的な価格設定で、205万円~というものになりました。インサイトはVSA、スマートキーシステム、アルミホイール、サイド&カーテンエアバッグなどがオプションとなり、これらを装着するとプリウスの廉価仕様よりも高くなってしまいます。不要な物が付いていないことをホンダディーラーはセールスポイントとしていましたが、安全装備はやはりあったに越したことはない。上にも書きましたが「何もいらない」ならインサイトがお得ですが、それなりにオプション類を追加していくと、どうしてもプリウスも考えてしまいたくなるでしょう。
○よくも悪くも特別な感じがない
エンジン主体なのでプリウスと比較すると、ハイブリッドカーに乗っているんだ!という特別な雰囲気はありません。モーターだけで走ることもあるとは言うものの、かなり限られた話で、EVモードで電気自動車のように走ることができたり、モーターのみで発進し、エンジンがかかったりストップしたりするという凝った制御は、やはりプリウスに軍配が上がります。しかし、逆に言えば違和感なく扱える点は短所とも言えないかもしれません。
○室内が狭い、内装がチープ
基本的に買い物に使うセカンドカーや、大きなミニバンなどを所有していて、通勤車として一人で使うといった場合には問題になりませんが、ファミリーカーとして考えれば、室内は狭いですね。特にリヤシートは172cmの私が座るとリヤのガラスに頭が付きそうですし、足元のスペースもありません。夫婦二人に小さな子ども2人までが実用範囲ではないでしょうか。また、フィットクラスと思えば、こんなものかと思いますが、インパネなどの質感がチープですね。180万円という価格はいいのですが、内装は価格に見合っていないと思います。この点では、ファーストカーとしての存在感もあり、室内も広く質感も高いプリウスに圧倒的に負けてしまいます。
しかし、どれもインサイトの今後の価格しだいではすべて解消できるものばかりです。なかなか価格設定を下げることは難しいかもしれませんが、装備の充実やナビを装備するなどして、価格を維持すればインサイトのお買い得感は高くなり、プリウスよりもお買い得ということになりえます。今後のホンダのがんばりに期待したいですね。
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