フィアット 500C (カブリオレ) 「人間味のあるクルマ」のユーザーレビュー

salice saliceさん

フィアット 500C (カブリオレ)

グレード:500C ツインエア ドルチェヴィータ_RHD(ATモード付シーケンシャル_0.9) 2021年式

乗車形式:マイカー

評価

5

走行性能
5
乗り心地
5
燃費
4
デザイン
5
積載性
4
価格
5

人間味のあるクルマ

2022.7.5

総評
すべてのクルマは、性能とデザインの二次元平面にマッピングできるのではないだろうか。高級車と呼ばれるクルマはこれらを両立しているが、その分値段が高くなってしまう。

このクルマは言わずもがなデザインに秀でているが、それだけではない。おそらく純ガソリン車では最後になるだろう2気筒エンジン、TwinAirの独特な加速感と、デュアロジックのダイレクト感が極上の楽しさを提供する。

つまり、このクルマは、性能とデザインの双方で突出した魅力を誇っている。
満足している点
世の中にはあらゆる工業製品が存在するが、そのなかでも自動車は特別な存在だ。

過去100年の間、世界中で数々のクルマ文化が生まれてきた。記録映像は必ずクルマを映しているし、映画やドラマではたびたび活躍を見せる。書店に行けばあらゆるクルマ雑誌が並んでいるし、クルマを使った世界選手権がいくつも存在する。車に愛称を付ける人もいる。

クルマは、洗濯機や冷蔵庫のような家電とは違うのだ。移動の道具であると同時に、人間の脚であり、服でもあり、冒険をともにするパートナーだ。

悲しいことに、近年は家電のようなクルマが溢れている。これといって取り柄がなく、つまらない優等生のような様相を呈している。

しかし、500Cは家電のようなクルマとは全く異なる。不得意なこともあるが、いつも陽気で活動的だ。それでいて美しく、気品に溢れている。かといって近寄りがたい雰囲気があるわけでもなく、カジュアルに親しく接することができる。

そんなクルマに出会えてよかったと心から思う。
不満な点
このクルマに対して不満な点を挙げる人などいないのではないだろうか?

恋人の欠点を挙げることを想像してみてほしい。そんなことはまったくの無意味だ。本気なら別れたほうがいい。そうはいっても、このクルマとお付き合いに至らない人も多いように思う。

まず、この車の値段であれば、巷を走る8割の車を買うことができる。もっと大きなミニバンを買うこともできるし、迫力のあるSUVだって、もっと高性能なホットハッチですら買えてしまう。

それに、このクルマにとって不得意な点を挙げたらきりがない。荷物は一つも乗らないし、収納なんてものはない。内装の低い位置に目をやれば中身がむき出しで、オートと名のつくものはエアコンだけだ。先進装備どころかバックモニタもなく、間欠ワイパーは無段階調節すらできない。ペダルの位置は中心からずれているし、シートリフターはあってもなくても変わらない。ヘッドライト点灯表示や一部の警告灯は、どうあがいてもハンドルのせいで見えない。ルームミラーは暑くなると首を傾げてしまうが、そもそも幌を開けたらルームミラーには何も映らないから、この点については問題ないだろう。ヒルホールドアシストは信用できないし、デュアロジックのオートモードは頑固でまったく使い物にならない。

それでも、このような点でさえ非常に愛おしく感じる。
デザイン

5

同じ価格帯でより高性能なクルマを買うこともできるが、それでも、より速いクルマはいくらでもある。Mercedes-AMG ONEでも買わない限り、性能面で満たされることはないだろう。一般人にはとても手が届かない。

しかし、このクルマには秀逸なデザインがあって、どのクルマにも真似することのできない魅力を誇っている。レトロとモダンが融合しており、端麗でありながら親近感がある。このクルマは、唯一無二の存在だ。

走行性能

5

TwinAirエンジンは、過去100年の内燃機関の集大成だ。

吸気バルブを油圧とソレノイドによって制御することで、開放タイミングとリフト量を自在に制御することができる。SV→OHV→SOHC→DOHCの系譜に続く最後のエンジンだ。この技術によって、低燃費でありながら、同時に楽しいエンジンが生まれた。

このエンジンは最高出力85psと決してパワフルではないが、最高トルク145Nmをわずか1,900rpmで生み出す特異な出力特性と、独特なノイズは唯一無二のドライビングフィールを生み出す。

トルクがディーゼル車並みに太いため、街乗りでは3,000rpmを超えることなく運転できるし、新東名の120km/h区間ですら3,500rpmで巡航できる。しかし、レッドゾーンはなんと6,000rpmだ。

3,000rpm~6,000rpmまでの空白区間が何かといえば、それはいわば「お楽しみゾーン」で、それまでとはまったく別のエンジンに変貌する。燃費は格段に悪くなり、官能的なサウンドが身体を包む。それなりのターボラグを迎えた後には、剛性のあるシャーシと相まって躍動感の溢れる走りを楽しむことができる。

デュアロジックは多少癖のあるシステムだが、トルコンのないダイレクト感はやはり至高の操作感だ。マニュアル車を運転した経験があれば、変速ショックが問題になることもないだろう。

このモデルから搭載されたパドルシフトは、変速までの遅延がやや強調されるものの、クルマとの一体感をより高めることができる。5速のミッションはクロスレシオとはほど遠いが、それでもパドルシフトがあることにより、少しはF1マシンの気分を味わうことができる(かもしれない)。
乗り心地

5

前席のシートは意外と硬く疲れにくい。しっかりとホールドするため、ワインディングロードでも安心だ。

一方で、このクルマの乗り心地は、運転手のスキルに依存する部分が大きい。下手な運転をすると乗り心地は悪くなるし、うまく運転すれば快適になる。
もしかすると、近年のマニュアル車よりも運転にコツがいるかもしれない。このクルマには「運転させられている感」はもちろん、「運転させてもらっている感」もない。
このクルマにあるのは「運転している感」だ。

しかし、実はこのクルマで一番楽しいのは後席だ。フルオープンにしたときの後席の解放感は凄まじく、どんな道路でもテーマパークのアトラクションになってしまう。このクルマの後席には、他の乗り物では絶対に味わえない楽しさがある。
このクルマの真骨頂は、後席の解放感であるといっても過言ではない。
積載性

4

このクルマに積載性を求めてはいけない。積載性を求めるなら、せめてPandaを選ぶべきだ。

しかし、Dolcevitaは後席を5:5で倒すことができるから、ある程度大きいものを載せたまま3人で乗ることもできる。また、上から荷物を入れることができる点も魅力的だ(実際に上から荷物を入れるかは別として)。
燃費

4

このクルマは、ECOモードをONのままにして、3,000rpm以下で走っていれば、18km/Lくらいは達成できるだろう。

しかし、ECOモードなどオンにするはずがないし、足が勝手にアクセルを踏み込んでしまうため、実際には15km/Lなら良いほうだ。
価格

5

このクルマが割高かどうかは、個人の価値観に左右されるのではないだろうか。
個人的には、このようなクルマが2022年に新車で手に入ること自体が奇跡だと思う。

マツダと同様に、最後まで内燃機関で粘ったFIATも電動化の波には逆らえず、結局はPSAと合併して電動技術を貰う羽目になってしまった。
その結果、BEVのFIAT 500e(本国ではなんとNew 500と呼ばれている)が登場している。このガソリンモデルがいつまで残るかは分からない。

そもそも、本国ではTwinAirエンジン自体がとっくにディスコンとなっていて、3気筒のマイルドハイブリッドに置き換わってしまっている。さらに、500Cは通常のハッチバックと比べて元々生産台数が少ない。そうした状況のなかで、この500C TwinAir Dolcevitaは貴重な存在だ。

このクルマは決して安くはない。しかし、15年熟成された(おそらく)最終型のこのモデルは、今しか手に入らないかもしれない。
故障経験

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