シトロエン C5 セダン 「シトロエンC5Ⅱ試乗~この快適さと安定性こそがシトロエン~」のユーザーレビュー

凌志 凌志さん

シトロエン C5 セダン

グレード:3.0 エクスクルーシブ_RHD(AT_3.0) 2008年式

乗車形式:レンタカー

評価

4

走行性能
5
乗り心地
5
燃費
3
デザイン
5
積載性
5
価格
-

シトロエンC5Ⅱ試乗~この快適さと安定性こそがシトロエン~

2023.4.23

総評
平成21年式、66,000㎞走行のシトロエンC5をレンタルし、約170㎞走行する機会に恵まれた。
整備が良く行き届いており、10年落ちの外車にしては十分すぎるほどの信頼性を備えていた。
タイヤは扁平率45の18インチ、ミシュラン・プライマシー4という上等なタイヤを履いていた。
この車でいちばん印象的だったのは、高速安定性の高さと快適性を見事に両立していることだった。手を添えているだけで車がピターっと走行していく。ゆきの行程で家族が心地良く寝落ちしているのは、ゴルフでは無いことだった。もっと走りたい、と心から思った。
日本車よりもはっきりと濃いめの乗り味はやはり欧州車というべきもので、イタリア・フランス・ドイツの大衆車を乗り比べるとまだまだはっきりした違いがある。これは高速ドライブに連れ出さなければ分からない違いでもある。
車づくりの優先順位のつけ方、考え方の多様性というべきもので、同時にシトロエンの志向性に深く頷かされることとなった。
この車はハイドロニューマチックの最終進化系、ハイドラクティブⅢプラスという窒素・油圧サスペンションを備えたモデルだったが、参考までに当時のカタログを引っ張り出したが何も解説文は無かった。こんなに賞賛されているのに何故何も書かないのだろう?と思ったが、「トータルの味わいで勝負」という事なのだと得心がいった。今後の車選びに大いに参考となる試乗だった。
満足している点
走り出して、日常走行において、ここがダメというネガが特に見当たらないところ。
低回転域で、今どきのダウンサイジング系にはない味のあるサウンドを奏でるV6エンジン。
駆動力をかしこくマネージメントする6速ATトランスミッション。
身体を柔らかく包み込むような前後のシート。特に首から肩にかけてのサポートがソフトで心地良い。

路面の凹凸をあえて拾いたくなる、の意味が漸く分かったサスペンション。どんな大入力もさっと何事もないようにいなす。
スタイリングについて、デビュー当初は初代日産ティアナのようなガラスエリアだと思っていたが、ぐるりと回ってみるとリアのオーバーハングが他車よりも短いのが分かる。

何かに似ているなと思って、遡って考えてみたらエグザンティアだった。リアガラスも独特の形状をしているが、視界には何もネガになるものはなかった。内外装ともシックな装いで、大人の美意識に堪えるものがある。
細かいところでは、デジタルと針を巧みにデザインしたスピードメーターのデザインが秀逸。特にデジタルのフォントが見やすかった。
室内ドアオープナーの間接照明や、リアサンシェードなども備わり、それなりの高級車として誂えていることが分かる。
高速域では、サスペンションモードをSPORTにしたらいい按配だった。
不満な点
右ハンドル化故か、足の収まり(オフセット)に若干ズレがあるように感じた。慣れの問題だろうか。
また、リアシートも広大というわけではなく、同じく足の収まりがあまり良くない。また座面も小さい。
ロードノイズを比較的よく拾う。よくシトロエンの乗り心地を「魔法のじゅうたん」に例えられることがあるが、私に言わせれば少々誇張ありで、高速で無音の静かさを実現している訳ではない。
欧州車の常で、エアコンが、近年の日本の暑さに対して効きが弱い気がする。
「2000年代後半の車あるある」の、各種スイッチ類のゴムコーティングの劣化。べとつき。

ドアのチリのズレ。見ようによっては半ドアのようにも思える。レクサスやアウディのような高い品質感を期待して乗ると、何だこりゃとなる。私は雨漏りさえしなければ気にしないが。。また、さすがに10年も経てばなるものかもしれないけれど、ギコギコ軋み音のするドアの開閉音。私は、フランス貴族の旧い洋館のようなものとこれまた良い風に捉えたが。閉まり音もフォルクスワーゲンより安っぽい。
本当に細かな事だが、時計がナビ画面にしかない。すごく小さくて見ずらい。
また、文明の利器ことバックモニターがなく、どこまで下がれば良いかなかなか分からなかった。
デザイン

5

ローアングルからC5を眺めると、同世代のC4やC6と同じデザイン言語のガラスエリアが確認できる。
歴代の名車と比較するとクセは弱いが、よく見るとシトロエン一族のスタイリングをしている。
走行性能

5

高速道路の直線は大得意。高速コーナーでは、ノーマルモードだと少しだけ「よっこらしょ」感が出るので、SPORTモードを推奨。
乗り心地

5

高速域の乗り心地は特筆もの。
抜群の安定性を持ちながら、安楽な乗車体験ができる。トルキーなV6エンジンとスムーズな6速ATのおかげで、街中でもそう痛痒を感じずに走らせることができる。
積載性

5

試さなかったが、広大なトランクスペースあり。
燃費

3

高速の山坂道でキックダウンしたところ、瞬間燃費計が3km/Lを示した。
高速主体で8km/L。街中を転がすともう少し落ちるだろう。
価格

-

故障経験
特になし。
10数年落ちの外車としては極上の部類に入るのではなかろうか。

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