BMW 3シリーズ セダン 「BMWを代表するコンパクトスポーツセダン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
3
走行性能
5
乗り心地
4
積載性
4
燃費
4
価格
4

BMWを代表するコンパクトスポーツセダン

2024.1.29

年式
2019年3月〜モデル
総評
直列4気筒2.0Lガソリンターボ/同ディーゼルターボ/ガソリンターボ+PHEVシステム/直列6気筒3.0Lガソリンターボと幅広いパワートレーンをもつ3シリーズセダン。このほかMシリーズも用意される。その最新モデルである「BMW M3 CS」がBMWオンラインストア専売として販売を行った(2023年5月)。メルセデス・ベンツCクラス、アウディA4と並ぶプレミアムセダンの代名詞だ。
満足している点
日本の道路環境にベストマッチなボディサイズだ。全長4720mm、全幅1825mm、全高1440mm(318iの値)と立体駐車場のサイズ制限も受けにくい。また、現時点でのボトムグレードとなる318iであっても2.0Lターボエンジンであることから、実用領域でのトルクが太い。これにワイドレンジの8速ATが組み合わされるので非常に乗りやすい。価格も560万円台と、このクラスの輸入モデルにしては安価な部類。
不満な点
クルマそのもののコンセプトや実際のボディサイズなど、いわゆる使い勝手は良好だが車内外の質感がやや低い。これが残念だ。BMWというか欧州メーカーは全般的に電動化、なかでもBEVに対してはデザイン、装備ともに積極的ながら、内燃機関モデルはその派生的な立ち位置で、新型となっても伸び代がそれほど大きくない。3眼カメラ方式の先進安全技術に関しては優位性があるものの、それ以外は目立たない。
デザイン

3

本来であれば、オーソドックスな3ボックスセダンに落ち着くのだろうが、世界的な流行として流麗なフォルムがセダンにも求められていることから、3シリーズも滑らかなラインを随所に持ち込んだ。きれいなラインを見せるものの、これまでのようなアイコン的なスタイルからは遠のいた。グリル周りやヘッドライト周りなど、パーツ単体では非常に凝った作り込みだが、それらの集合体であるボディワークとなると平凡に映る。
走行性能

5

個人的には4気筒モデルであれば、ガソリン/ディーゼルともにおすすめだ。ボディサイズでも触れたが、日本の道路環境にマッチしているからだ。なかでも318iはいい。156PS/250N・mと非力に感じるが、出力は4500回転で、トルクは1300〜4300回転でそれぞれ最大値を発揮する。ここに8速ATなので出力/トルクともに常にボリュームゾーンを離さない。絶対的な速さはないが、とても良い実用エンジンだ。
乗り心地

4

225/50R17インチと、今となっては小径で太くないタイヤを履く318iモデル。タイヤのエアボリュームがある分、乗り心地は非常にマイルドだ。前席だけでなく後席も十分に快適。王道のセダンらしくボディ剛性が高く、静粛性も高い。エンジンそのものも低い回転域を常用とするからなおさらその印象が強い。ディーゼルはやや燃焼音が耳につくものの、ガソリンよりもさらに低い回転域でじんわりと走るので乗り味は滑らかだ。
積載性

4

トランクルームは480Lと数値的にはボディサイズの平均だが、分割可倒式リヤシートを備えることから長尺物の積載もしやすい。また、トランクリッドはバンパー上部から大きく開くから荷物を積み込みやすいし、縁には一段高い樹脂製ガイドを設けたのでバンパーを傷つけにくい。リッドのステーもカバーが施され、積み込む荷物との干渉もない。こうした心遣いはありがたい。車内の収納スペースも豊富に用意されている。
燃費

4

カタログのWLTC値がふるわない。318iと320iが13.0km/L、ディーゼルのxDrive(AWDモデル)が15.5km/Lだ。これがPHEVモデルになるとハイブリッド燃料消費率JC08モードで16.7km/L、3.0L 6気筒ターボでは10.6km/Lまで落ち込む。しかし、実燃費数値は318iと320iともに高速道路では17.0km/L台を難なく記録するし、ディーゼルでは20km/L程度まで伸びる。
価格

4

568万〜1074万円と幅広いラインアップだが、主力の4気筒モデルになると上限はディーゼルのxDriveで720万円、PHEVモデルでも750万円に収まる。高価であることには変わりないが、4気筒ガソリンモデルならグレードや装備を選んでも600万円台に収まる。サイズからくる取り回しの良さは美点だが、そのサイズ感と高速走行時の安定感の両立は、なかなかこの価格帯では得られない。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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