BMW M4 クーペ 「官能性能もたまらないスポーツクーペ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

官能性能もたまらないスポーツクーペ

2021.9.30

年式

2021年1月〜モデル

総評

後輪駆動の超高性能スポーツモデルが欲しい人にとってはとても魅力的な選択肢。サーキット走行を前提に作られた本物の走りを味わえる。それでいて実用性も高く、利便性も兼ね備えたスポーツカーといえるだろう。より実用性を求めるなら、セダンの「M3」という選択肢もある。

満足している点

世界最高のスポーツモデルに分類される、運動性能の高さ。500ps前後のエンジンパワーだけでなく、コーナリング能力もさすがとしか言いようがない。車体は全長4.8mで車両重量1.7トンもあるが、実際に運転すると感覚的にはもっと小さく、もっと軽いクルマに感じる。なぜなら、操作に忠実で思い通りにクルマが動くからだ。

不満な点

キドニーグリルを大型化したあまりにも大胆な顔つきは好みが分かれるかもしれない。が、個人的な印象を言えば最初は驚いたが思ったよりも早く馴染めた。価格の高さは性能を考えると仕方がないのだが、そこまでいかなくても4シリーズの最高峰である「M440i」でいいかと感じる人もいるかもしれない。

デザイン

4

ベースになっている「4シリーズクーペ」の美しさを継承しつつ、開口部を拡大したフロントバンパーや張り出したフェンダーなどで差別化。高性能車を演出する細部が、クルマ好きの心をくすぐる。2021年に登場した現行モデルは、上下に長い特大サイズのキドニーグリルを組み込んだのもトピック。これは賛否が分かれているが、個性化という意味では大きな役割を果たしている。

走行性能

5

BMWの誇るスポーツモデルだけに、限界走行性能は申し分ない。最新の高性能仕様で510psとした3L 6気筒ターボエンジンがもたらす加速性能、スッと向きを変えた後はレールの上を走るかの如く安定する旋回性能も素晴らしいものだ。しかし、あえて強調しておきたいのはそうした限界領域までいかなくてもM4の良さは楽しめるということ。具体的にはエンジンの色気が素晴らしく、ジワリとアクセルを踏んだ後のちょっとした回転上昇の反応も味わい深いのだ。

乗り心地

3

電子制御可変ダンパーを組み込んでいるおかげで、走行モードを「コンフォート」にすればファミリーセダンに匹敵するほどの乗り心地を選べる。厳密にいえば硬いバネを組み合わせていることと、他ブランドに比べて「コンフォート」でも減衰力を緩めすぎないBMW流の味付けにより、超快適なセダンとまではいかないものの、日常使用での不快さはない。

積載性

3

実用クーペの「4シリーズ」がベースだけに、積載性能も不足はない。トランクは奥行きが約1mあり、容量は440L。セダンボディ「M3」の480Lに比べると小さいものの、それでも特大サイズスーツケースも余裕を持って積める実用性の高いものだ。それでも足りないとあれば、後席を倒す機能もあり。背もたれの前倒しは4:2:4の3分割式となっている。

燃費

3

WLTCモードのカタログ記載値は、480psのエンジンに6速MTを組み合わせる「M4クーペ」で9.8km/L。510psのエンジンに8速ATを組み合わせる「M4クーペ　コンペティション」は10.1km/L。とてつもないハイパワーエンジンを組み合わせていることを考えれば、良好とも言える数値だ。

価格

2

ボトムモデルの「M4クーペ」でも1320万円から。マニュアルトランスミッションはボトムモデルでしか選べないが、コストパフォーマンスでいえば最高出力が30ps増しの510psとなる「M4クーペ　コンペティション」のほうが高いと判断できる（トランスミッションは8速AT）。M4として初めてとなる4WDモデルは、2WDモデルとの価格差が30万円弱と意外にも良心的だ。