BMW アクティブハイブリッド 7 のみんなの質問

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ヨーロッパなどの高速道路では、
自動車が日本よりも速い速度で走るケースが多いので、

ハイブリッド車の特徴である低・中速度域での省燃費が生かせない。
そうなれば、ヨーロッパではハイブリッド車というものは低公害車
としては見られにくいのではないですか?

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ベストアンサーに選ばれた回答

●ハイブリッド車はどうして燃費が良いのか?
まずどうしてハイブリッド車の燃費が良いのかというと,下記4つの理由によります。

(1) 始動時,エンジンの低回転域で効率が悪いところはモータを使い,エンジンを使わない
(2) 加速時,エンジンの負荷が高すぎて,効率が悪いところは,モータで補助し,エンジンの負荷を軽減し,効率を改善する
(3) 減速時,車両の運動エネルギは,通常,熱エネルギに消えるが,モータ(発電機)で電気エネルギに変換し,始動時などに使う
(4) アイドリング時,エンジンを停止する

→ 渋滞走行が多いと,燃費が良くなる仕組みになっています

●どうして高速時,ハイブリッド車は燃費が悪いのか?
一般のガソリン車とハイブリッド車を比較すると,下記の点でハイブリッド車が不利です。

・重量が重い … 約200kg (電池,モータ,インバータ)
・エンジン特性が低負荷向き … 燃費改善のため,同じ排気量でも低出力

→ ハイブリッド車の方が,燃費が悪くなります

●街乗りと高速での燃費
街乗りでは,20~22km/L程度の燃費になっても,高速道路ではせいぜい14~16km/Lしかいかないのは,上記の理由によるからです。

以下,少し詳しく説明いたします。

●走行抵抗
走行抵抗馬力は下記の要素の和です。

・転がり抵抗馬力 … 速度の1乗に比例
・加速抵抗馬力 … 速度の1乗に比例
・空気抵抗馬力 … 速度の3乗に比例

●市街地走行と高速走行
それぞれ,主要な抵抗は異なります。

・市街地走行 = 加速抵抗馬力が主たる抵抗要因
・高速走行 = 空気抵抗馬力が主たる抵抗要因

●一般の車両での燃費
・市街地走行と高速走行(100km/h)を比較すると,次のようになります。

高速道路走行の燃費(良い) > 市街地走行の燃費(悪い)

これは,加速抵抗馬力が非常に大きいからです。もちろん加速の程度や車体形状により逆転することもありますが。

●ハイブリッド車での燃費
・次のようになります。

市街地走行燃費(良い) > 高速道路走行燃費(悪い)

つまり一般車両と逆転します。

●なぜか?
ハイブリッド車の燃費改善の要素は下記3点です。

(1) 減速時の運動エネルギ回生(運動エネルギ→電気エネルギにして電池に貯蔵し,加速時や始動時に使用)

(2) エンジンの非効率点を回避 (エンジン回転数が低いところは,モータで車両を駆動。エンジン負荷が高いところは,モータで補助し,負荷をさげる)

(3) アイドルストップ … アイドリング時,エンジンを停止

ここで,「(1)の減速時回生」のため,ハイブリッド車では,市街地走行での燃費が良くなります。

●トヨタも知っている高速時のハイブリッド車の燃費の悪さ
プリウスは現在の3代目になるとき,エンジンを排気量1.5Lから1.8Lにアップしました。一般に燃費を良くする車両なのに,排気量を大きくするのは,ちょっと意外に思うかもしれません。しかし1.8Lにアップすることで次の改善ができました。

・高速道路でのエンジン負荷が高すぎる条件を回避できた
・一定速度走行の場合,トルクが大きいため,エンジン回転数が低下できる → エンジンの摺動抵抗は回転数の約1.5乗に比例する → エンジン回転数が低下することで摺動抵抗が減少し,燃費が改善

●アウトバーン
140km/hでの巡航走行のばあい,燃費は次のようになります。

トヨタ プリウス 12km/L (2代目)
BMW 530d 14km/L (排気量3Lのディーゼル車)

これが欧州でハイブリッド車が売れない原因です。

●どうやってプリウス(3代目)の高速燃費を改善したのか
(1) 排気量アップ
排気量を1.5L→1.8Lにしました。これによりエンジン回転数を約10%低下させ,さらに燃料消費率が少ない(燃費がよい)領域を約8倍に拡大できました。

(2) 電動ウォータポンプ
エンジン回転数が高いところでは,ムダ仕事になるエンジン駆動ウォータポンプを電動化しました。これにより,最大出力が1/10になりました。

(3) クールドEGR
通常,エンジンは排気ガスを吸気に戻すことで,NOx(窒素酸化物)低減とポンピング・ロス低減による燃費改善をおこないます。プリウスではEGRをエンジン冷却水で低温にすることで,燃焼温度を低下させ,耐ノッキング性を向上できるため,点火進角を進め,燃焼効率が向上するため燃費が向上します。

●欧州でのハイブリッド
まったく人気がありません。エンジン騒音と車速にリニアな関係が無く,高速走行時のフィーリングが悪いからです。
また燃費改善のための走行条件が少ないので,当然ながら低公害車とはみられていません。
なおSクラスや7シリーズで投入されるマイルドハイブリッドは,欧州より車速の低い米国が主な仕向地です。

簡単ですが,ご参考になれば幸いです。

質問者からのお礼コメント

2010.2.26 08:20

詳しい説明をありがとうございました

その他の回答 (5件)

  • 欧州で発売されるハイブリッドは
    燃費志向というより高性能車でモーターの強力なトルクによる
    加速補助の意味合いが強いようです。
    結果わずかに燃費向上に貢献すると言った感じ。

    あちらはすでに主体はディーゼルで古い車でもディーゼルでない車は
    淘汰されているようです。
    天然ガスとガソリンのハイブリッドなんてのもあります。
    (バイフューエル)

  • フランスでは70%、ドイツでは50%がデイーゼルだそうですよ。
    アウトバーンとかあって、高速道路が充実してるからクルマで遠くに行きやすいので、燃費がいいからですって。
    しかも、30-40万キロは使うのが当たりまえだそうです。

  • 正確には、プリウスのようなモーターだけでも走行できるようなハイブリットは能力を生かしきれないだけだと思います。
    実際、ヨーロッパで多いのはアクセルを踏み込んだときだけ作動するモーターを搭載したマイルドハイブリットが多いのです。
    クルージングしているときは案外パワーを使っていないので排気量を少なくして、加速するときだけモーターを使うと結果的に省エネになるという考え方です。

    地域によって車の使い方と言うのは違いますから、今の段階で全世界で最適なハイブリット車というのはないんです。
    エミッションゼロの電気自動車だって、その電気を火力発電したら二酸化炭素が出ますからね。

    低公害のモビリティというのは、本当にまだ始まったばかりでどの方式が正解かはまだ誰にも答えが出せない段階で、はっきりしているのは今のままではいけない、ということだけです。

    とくに中国やインドのユーザーが車に乗り始めたら、環境悪化が一気に進みかねない面もありますしね。

  • その通りです。
    ヨーロッパは法定最高速度が違う(当然、速い)のでハイブリット車よりも
    ディーゼル車が省燃費車と認識されています。
    最近ベンツやフェラーリがハイブリット車を出してきましたが
    あれはアメリカや日本などへのアピールのためではないかと
    思いますね。

  • ヨーロッパのドライブモードではハイブリッド車は必ずしも省燃費とはなりません。
    今でもディーゼル車の方が有効とされています。

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