もくじ
ー 最高グレードは600ps以上に
ー 1モーター/後輪駆動モデルの発売は未定
ー 車重は「パナメーラ・ハイブリッドと同程度」
ー 超急速充電施設の普及が待たれる
国内試乗 ジャガー初のEV「Iペース」 「エンジン車らしさ」感じたワケ
最高グレードは600ps以上に
ポルシェ初の電気自動車タイカンは、今年9月にフランクフルト・モーターショーで迎える正式発表に向け、広範囲にわたるテスト・プログラムの最終段階を迎えている。AUTOCARはその開発チームに接触する機会を得た。
AUTOCARはスウェーデン北部で行われているポルシェの寒冷地テストを訪ねた。技術的な説明やブレスリリース、なんらかの発表などは一切なく、開発の現場をのぞき見ただけだ。
しかし、2日間にわたる会話を通し、様々なことが分かった。タイカンの技術的な仕様が、これまで以上にはっきりと明らかになる写真も入手した。
ポルシェがテスラ・モデルSのライバルとして送り出すこのクルマは、9月の発表時には最高出力の異なる2種類の仕様が設定される。最初の納車は年内に始まる予定だ。
最もパワフルなバージョンは、当初から言われていたように600psを超える(おそらく630ps程度になるだろう)。パワーが低い方のモデルは、それより100psほど抑えられる。さらに少なくとも、もう1つのモデルが遅れて投入される見込みで、それは400ps台半ばになるだろう。
1モーター/後輪駆動モデルの発売は未定
実は4つ目のモデルも開発されているのだが、販売されるかどうかは分からない。
これはモーターを1基だけ搭載した後輪駆動で、最高出力は300psを超える程度だが、重量は大幅に軽い。「このモデルを生産するという決定は、技術的な問題ではなく財政的な問題にかかっている」とポルシェの広報担当者は言う。「市場が望めば、われわれは生産するでしょう」
いずれにせよ、2ドアのタイカンや、超スポーティなタイカンGTのようなモデルは、まったく計画されていない。
名称の付け方に関する戦略は興味を引くだろう。ポルシェはできるだけこのクルマに、従来のモデルに近い印象を与えたいと考えている。
そのため、性能が高い方から、タイカン・ターボ、タイカンGTS、タイカンS、そして標準モデルのタイカンというように、伝統的な命名法が採用される見込みだ。
ミッションEクロス・ツーリズモを市販化した車高の高いクロスオーバー・バージョンも計画されている。
車重は「パナメーラ・ハイブリッドと同程度」
タイカンの車重については様々な憶測が飛び交っている。だが、われわれの取材班はポルシェから「パナメーラ・ハイブリッドと同程度」という言葉を得た。ということは、2250kg前後であるという意味だ。
ジャガーIペースよりわずかに重く、テスラ・モデルSと同等だ。トップ・モデルの加速性能は、当初ミッションEで言われていた0-100km/h3.5秒を「下回る」と非公式に言われている。
興味深いことに、タイカンは全車とも最高速度が250km/hに達する。これはモーターの性能だけでなく、2速ギアボックスの採用によるところも大きい。BMW i8と同様、2速ギアボックスを組み合わせれば、電気モーターの性能をフルに使った状態を維持したまま、速度を引き伸ばすことができる。
ポルシェはまた、タイカンのパフォーマンスの再現性も改善させている。当初、バッテリーがなくなるまでに0-100km/hのフル加速は10回が限界と言われていたが、今や12回まで可能になった。
さらに0-200km/h加速も、少なくとも4回は、性能が落ちることなく可能だという。
最高速度は「どんな公道でも実際に出せる速度よりは高い」という表現に留まる。
航続距離は最初に発表されていたとおり500kmだが、これは旧いNEDCで測った数値であり、より現実的な新しいWLTPによる数値はこれより低くなることを忘れてはいけない。おそらく435km程度になるだろう。
超急速充電施設の普及が待たれる
タイカンについて言われている充電時間は、まさに革命的だ。ポルシェのエンジニア達は、4分間の充電ごとに走行可能な距離が100km伸びると見積もっている。
バッテリー残量10%から80%まで充電するのに20分かからない。これはタイカンが採用する800Vのバッテリー・システムによるものだ(さらに配線の重量も半分になる)。
しかし、もどかしいことに、この超急速充電が可能な350kWの充電施設は、まだほとんど普及していない。イオニティは、2020年までに欧州各地に400カ所、この超急速充電ステーションの設置を目指しているところだ。
だが、現時点では69カ所しか稼働していない。AUTOCARの本拠地がある英国にはまだ1つもなく、メイドストンとグレトナ・グリーンの2カ所で建設が始まっているだけだ。
英国のオーナーがタイカンに搭載されたテクノロジーの恩恵をフルに活用できるのは、早くても2021年以降になるだろう。
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