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1泊2日の旅で見えてくるボルボ、そしてXC60の「ちょうどよさ」/第2回

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1泊2日の旅で見えてくるボルボ、そしてXC60の「ちょうどよさ」/第2回

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おじさん世代ならピンとくる、北海道の観光名所「ケンとメリーの木」。美瑛町の大久保という場所にあり、遮蔽物がないので比較的遠くから目視することができる。旅に慢心は禁物と感じた出足の危険な場面完全インドア派としてごく一部で知られる筆者が、冬の北海道を旅することになった。

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新千歳空港を起点に、ボルボ XC60なる新鋭SUVで「2日間、道内の好きな場所を勝手に回ってください」というありがたいオファーだ。

いや、完全インドア派としては決して「ありがたい」というわけでもない。

できることなら外泊などせず自宅で飲み慣れた豆を挽き、愛用のヤカンでちょぼちょぼドリップした珈琲を「うむ、うまい」とかなんとか言いながら飲んでいたい――というのが偽らざる本心だ。

今回の旅のパートナーはXC60に用意されたディーゼルエンジン搭載車であるD4 AWD R-Design(714万円~)。安全性や快適性など、ボルボの「今」が凝縮されたミドルサイズSUVである。だが、そのように台所でちょぼちょぼドリップばかりしていては人としての視野が狭くなり、ひいてはそれにより原稿の質が落ちて仕事を失い、最終的には滅亡する――という未来が見えた筆者は、ふたつ返事でオファーに「すべて了解した」との旨返信。いそいそとボーイング787の2等席に乗り込んだ。

新千歳空港で我々すなわち筆者こと伊達と、エクストリームフォトグラファーである柳田由人氏を待ち受けていたのは、前述のとおりボルボXC60。そのなかでも「XC60 AWD D4 R-Design」というグレードだ。

16種類以上の安全技術を採用した、ボルボのアイデンティティ「IntelliSafe」。ミリ波レーダーやカメラを駆使して街中、高速道路と様々な場所でドライバーをサポートしてくれる。それはつまり2Lのディーゼルターボエンジンを搭載するXC60で、R-Designというのは、内外装のあしらいなどがスポーティなニュアンスに振られているグレードである。

完全インドア派な筆者もいちおうスバル XVというSUVを所有している身で、それにて雪道を走った経験がないわけではない。だがそこはインドア派のかなしさで、決して「オレは雪道に慣れている。もうね、慣れ慣れと言っていいレベルですよ」と豪語できるニュアンスではない。そのため、旭川の市街地でさっそくやらかしかけた。「追突」である。

定番でありクルマでならベースグレードになる「しおらーめん」。スープは豚骨でお味はかなり優しい。いや結論としてもちろん追突などしなかったのだが、ボルボXC60 AWDとミシュラン製スタッドレスタイヤの性能を過信した筆者は――いや、それらは過信というより本当に高性能なものだったのだが、いずれにせよ、XC60とミシュランが雪道でもあまりに普通にグリップするため油断し、まるで晴天の東京都内を走っているかのような錯覚を起こしていた筆者は、氷結箇所も多いシチュエーションで本来とるべき車間距離をとることをすっかり失念していたのだ。

旭川市にある有名店「山頭火(さんとうか)」本店。せっかく旭川にきたのだから寄らない手はない。所在地は北海道旭川市1条通8丁目348番地3。そのせいでヒヤッとしたわけだが、これが旅の初期段階での良い薬となった。

ボルボのAWDシステムもミシュラン製スタッドレスタイヤも大変素晴らしい品であることは間違いないが、決して「絶対万能な何か」ではない。そのため雪道では普段以上に車間距離をとること。そして普段以上に早い段階からエンジンブレーキおよびフットブレーキを利かせ始めること。その2点だけは決して忘れずに、この先の旅を続けよう――と、「らーめん山頭火」の旭川本店で塩ラーメンをいただきながら誓ったのだ。ごちそうさまでした。

移動可能範囲に優先順位をつけて目的地を決定プロスノーボーダーの撮影などでひんぱんに北海道を訪れているエクストリームフォトグラファー柳田氏の案内に従い、旭川のお次は一面に雪が広がる美瑛(びえい)へ。この頃になると雪道での運転にもすっかり慣れ、というか多くの車両が通ることでブラックアイスバーン化している箇所も多い市街地より、こういったカントリーサイドの圧雪路のほうが格段に走りやすい。そのためほぼ鼻歌交じりの楽勝運転で峠道を駆け抜け、田園地帯を渡り、美瑛が誇る名所のひとつ「ケンとメリーの木」に到着した。

「ケンとメリーの木」は、昭和世代であれば「ああ、アレか!」と思い出すはずのポプラの木。1972年から1977年まで販売された4代目の日産スカイライン、通称ケンメリのCMの舞台となった場所である。1972年といえば筆者は幼稚園児。その頃好きだった同じすみれ組の「ウバガイさん」のことを甘酸っぱく思い出しながらポプラの木を見つめ、我々は美瑛を後にした。アディオス、青春以前の幼き日々よ。

JR北海道の根室本線の駅である「幌舞駅」。映画ぽっぽやで美しい情景を見せた場所であり、旅の目的地にする人も多い。その後は大雪山系旭岳ロープウェイスキー場にてXC60を使って雪とたわむれ、こちらもテレビドラマでおなじみの富良野を過ぎると、そろそろ日もとっぷり暮れてきた。映画『鉄道員(ぽっぽや)』のロケ地となったJR根室本線・幾寅駅のすぐ横に今も残されている劇中の「幌舞駅」にて、故・高倉 健さんと故・降旗康男監督に心の中で手を合わせ、我々は帯広市内に投宿する運びとなった。

聞くところによると帯広といえば豚丼が名物らしいが(インドア派なのでよく知らない)、晩飯はエクストリームな柳田カメラマンが「僕はもう7回通いましたよ!」と言うカレー店「インデアンカレー」へ。インディアンではなくインデアン、である。

店舗の意匠はカレー店というよりは牛丼店のごときであり、代表的メニューの「インデアン」は税込み462円という激安っぷり。そしてカレー自体も、見た目はごくごく普通に大衆的である。

しかしこれがなんとも奥深いというか玄妙というか、とにかくクセになる味わいなのだ。エクストリーム写真師が7回通い、出張で帯広を訪れた某メディア編集長氏が晩飯としてインデアンを食い、翌日の朝食としてまたインデアンを食いに行った――との逸話に対しても、「まぁそうだろうな」としか言いようがない。貴殿らにおかれても帯広または釧路を訪問する機会があったなら、ぜひぜひ「インデアンカレー」全12店のいずれかの店舗に行ってみることを強くおすすめしたい。

帯広でチェーン展開する「インデアンカレー」。ルーを大量に持ち帰れるシステムもあり、地元民から愛されている人気店。2日目の目的は友人との再会と海の幸カレーの話はさておき、翌朝である。

この日の主たる行動目標は2つ。ひとつは、帯広より道東道ならびに札樽道等を激走して小樽の先にある余市なる海沿いの町へ行き、そこの海鮮店にて海鮮を食らうと同時に海産物を土産として購入、それを宅配便にて東京の拙宅へ送りつけること。これは当然、北海道の地を何度も踏んでいるエクストリームフォトグラファー氏発案の行動である。

もうひとつは、東京から札幌へ移住してアートギャラリーを営んでいるN君という小学校時代の友人に、30年ぶりぐらいに会ってみること。これは当然ながら筆者自身の発案だ。

で、まずは道東道なる自動車専用道路をボルボXC60にてひた走る。無料区間においては除雪が行き届いていないため、いかなXC60 AWDとはいえ若干の緊張を強いられた。しかし以降の有料区間はまずまずのレベルで除雪が行われているため、XC60 AWD+ミシュラン製スタッドレスという大勝利な組み合わせにとってみれば、晴れた日の首都高を走ってるようなもの。すなわち超楽勝ということである。

だがインドア派として面食らったのは「北海道のスケール感」だ。走れども走れども、どこへも到着しないのである。もちろん話としては聞いていたが、この圧倒的なスケール感の違いを身をもって理解できただけでも、久々に自宅から外へ出てみた意味はあったのかもしれない。

などと考えながらも、あきらめずに走ってさえいればいつか目的地には着くもので、我々も着いた。余市の「柿崎商店 海鮮工房」なるお店である。

建物はまあまあ大きく、1階部分が海産物や肉、あるいは乾物などを売る市場様のショップとなっており、2階は大食堂様のタベルナになっている。

腹が減っていたため2階のタベルナへ直行すると、各メニューの値段はやや高い。観光地価格というほどでは決してないが、「準観光地価格」といったニュアンスであろうか。そしてタベルナ内を見渡してみると、大陸からの観光客も何人かいらっしゃる模様。うむう、余市のごとき(失礼ながら)辺境の町にもインバウンドの波は押し寄せているのか……と驚きつつ、とにもかくにも「磯丼」なる貝づくしのどんぶりを注文し、素早くサーブされたそれを食らってみる。

……うまし。つぶ貝と北寄貝、帆立貝にて構成された丼であるため、「貝ばっかりだと途中で飽きるかな?」とも危惧したのだが、杞憂であった。あまりに新鮮でうましであるため一瞬で食ってしまった。ちなみに、付帯された味噌汁はかなり簡素な、言ってみればどうでもいい感じの汁であったのだが、これの出汁もまた玄妙きわまりないもので、一瞬で飲みきってしまったことを報告しておきたい。さらにちなみに言えば、ひと口分けていただいた柳田カメラマン注文の「海鮮丼」も、非常にうましであった。

このレベルの丼を出すタベルナが運営しているのだから、1階のショップで売っている海鮮もおそらくうましなのだろう。筆者はさほど吟味することもなく新巻き鮭的なものを1本購入し、ヤマトの宅配瓶にて自宅へ送った。鮭は980円、都内への送料は約1500円であった。

海産物をもとめてやってきたのは「柿崎商店 海鮮工房(北海道余市郡余市町黒川町7丁目25)」。余市駅のすぐ近くで写真は人気のつぶ貝などをつかった磯丼。旅に出て初めてわかることがたくさんあるさて。中年男2人旅のレポートをダラダラ続けすぎても、各位は苦痛であろう。以降はスピーディかつコンパクトにご説明つかまつる。

続いて訪れた札幌市内では、小学校時代の旧友N君と会うことができた。到着時刻が見えなかったためノーアポでの不意打ちだったのだが、無事会えて良かった。そしてN君とは20年ほど前に筆者の責任によって起きたある出来事により、ややぎくしゃくした関係にあった。いや、少なくとも筆者は20年間ずっとそう思っていたため、N君と会うのは実は少々怖かった。

だがN君は、そんなことはもう忘れたのか、あるいは忘れたふりをしてくれたのか、小学生時代と変わらぬ親密さでもって、筆者を旧友として扱ってくれた。我々は固い握手をし、近日の再会を誓って別れた。

これで旅は終わりである。具体的にはこの後も、新千歳にてボルボXC60 AWD D4 R-Designを返却し、家人への土産物を買って飛行機の2等席に乗り込むという業務は残っているわけだが、すべては些事である。あ、しかしボルボXC60のD4は素晴らしく乗り味が良く燃費も良好で、そして雪道性能も格別であった。それだけはノンタイアップでビシッと言っておきたい。

それはさておき、今回久々に自宅のドアを開けて「外」に出てみて、本当に良かったとわたしは思っている。先ほどのN君の反応を含め、世の中の実際の事象とは、イン・ザ・ドアで巡らしている思考とはずいぶん違う形で存在し、そして流れているものだ。

そのことを改めて確認するために、人は時おり旅に出る必要があるのだろう。

文・伊達軍曹 写真・柳田由人 編集・iconic

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