現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則143】2代目アウディS8はV型10気筒5.2FSI搭載のスーパーリムジン

ここから本文です

【ヒットの法則143】2代目アウディS8はV型10気筒5.2FSI搭載のスーパーリムジン

掲載 更新 1
【ヒットの法則143】2代目アウディS8はV型10気筒5.2FSI搭載のスーパーリムジン

2003年に登場した2代目アウディA8に、2006年、ようやくS8が追加されている。穏やかでシンプルながら上質な雰囲気のラグジュアリーセダンに搭載されていたのは、なんとランボルギーニ・ガヤルドと同じV10ユニット。控えめな外観とはうらはらに、とんでもないスーパーリムジンだった。Motor Magazine誌では、真冬のドイツで行われた国際試乗会から、そのスーパーパフォーマンスをリポートしている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年2月号より)

A8のプレステージ性をさらに際立たせるS8の存在
1994年、当時アウディの代表取締役社長であったピエヒ氏の指揮の下、アウディは総アルミボディと4WDシステムなどのハイテク装備などでラグジュアリーセダンのセグメントに打って出た。

【くるま問答】アイドリングストップ機能はよいことばかりではない。OFFスイッチはいつ使う?

そのアウディA8はそれまでこのクラスにはなかった価値観で、一躍、ドイツをはじめとしたヨーロッパでメルセデスSクラス、そしてBMW7シリーズに次ぐポジションを獲得した。そしてその成功は、そのままシンボリックにアウディのプレステージ性の確立に繋がっていったのである。

さらにこのA8を際立たせたのがS8の存在であった。このスーパーリムジンは、このクラスでもオーナー自らがステアリングを握る機会の多いドイツにおいて、若々しくスマートに見られたい彼らに好まれたのである。これは先代のA8の中に占めるS8の割合が12%もあったことで証明されている。

さて、このS8の新型がベースモデルのフルチェンジ後2年にしてようやく登場した。全長5mを越えるアルミ製ボディに搭載されるエンジンは、同じグループ内のスポーツカー、ランボルギーニ・ガヤルドと同じV10ユニット。しかもシリンダーヘッドを新たに直噴式へと変更し、ストロークは92.8mmのままボアを84.5mmへ2mm拡大して総排気量を5204ccとしている。

その結果、最高出力は450ps/7000rpm、最大トルクは540Nm/3500rpmと6L W12エンジンとほぼ同等の数字を叩き出すことになった。

このコンセプトを聞いて、1886年のトリノ・ショーに登場したランチア・テーマ8.32を思い出した。このモデルはランチア・テーマという普通の4ドアサルーンにフェラーリ328のV8エンジンを押し込んだ非常にユニークな存在であった。

しかしスーパースポーツカーとセダンのコラボレーションである新型S8の外観は、ドイツ流に控えめだ。ベースモデルのA8との違いは、わずかに意匠の異なるグリルと小さなS8バッジ、左右2本のエグゾーストパイプくらいしかない。

310km/hまではすべて何の問題もない
大きさのわりに、相変わらず非常に軽いアルミ製ドアを閉めて広大なキャビンに腰を落とす。ここにもA8との明確な差はない。それでもアルミとレザー、そしてピアノブラックのインテリアトリム、さらにツートーンのスポーツシートが確かにスタンダードには見られなかった精悍さとスポーツを表現している。

通常の方式でキーを捻るといとも簡単にV10が忙しく動きだす。外気温は氷点下だったにもかかわらず、スロットルペダルの動きに対して敏感にタコメーターの針が反応する。

水温計の針が動くのを見るや直ぐにスタート。6速ATが軽やかに、そしてスムーズに速度を増してゆく。その一方で、勇ましいインテークサウンドが高まる。市内からアウトバーンへと入り、スピードを上げる。3速、4速、やがてリミッターが効くはずの250km/hに達するが、スピードメーターの針は上昇を続け、280km/hほどで柔らかな壁に当たるような感じでリミッターが効いた。

アウディのエンジニアによれば「310km/hまではエンジン、駆動系に問題はない。ただしこうした速度を長く保つにはタイヤの問題があるのでむやみにリミッターを外すことは勧めない」そうだ。このセッションでは、エアサスペンションがショックをうまく吸収して快適性をもたらすことも確認できた。

この後、飛行場の一部を使ったテストコースでスラロームテストをすることができた。こんなコースではプッシングアンダーが出るだろうと思ったが、意外や意外、非常にコントローラブルで驚いた。ステアリングはシャープで軽快、しかも正確なので、パイロンから数cmのところを狙ったとおりに抜けることができ、しかも素早い切り返しに音を上げることもなかった。試乗車にはオプションのセラミックブレーキが装備されていたが、その性能も驚くべきものであった。

それはそうと、テスト当日はひどい天気となった。早朝は快晴だったが気温はマイナス2度で路面には凍結が見られ、その後、雨が降って来たと思ったら、すぐに雪へと目まぐるしく変わった。ドイツでは天気予報でさえ平気で「晴れのち曇、のち雨のち雪、続いて晴れ!」とアナウンスしたりしている。

こんな時に4輪駆動のS8は頼もしい。冬などは特に霧や大雪の影響でフライトスケジュールも信頼できないから、ビジネスマンにとっては貴重な存在だ。

ところで、日本ではこのS8はどう受け入れられるのだろうか。日本でもこの価格帯のモデルは好調な販売を記録している。アルミボディ、V10エンジン、クワトロというアイコンは、きっとユニークなリムジンを求めるヒルズ族の注目の的になることだろう。(文:木村好宏/Motor Magazine 2006年2月号より)



アウディS8 主要諸元
●全長×全幅×全高:5062×1897×1424mm
●ホイールベース:2944mm
●車両重量:1940kg
●エンジン:V10DOHC
●排気量:5204cc
●最高出力:450ps/7000rpm
●最大トルク:540Nm/3500pm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●最高速:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:5.1秒
※欧州仕様

[ アルバム : アウディS8 はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

新UI・オーガニックGUIプラス搭載で特大サイズ2画面表示対応、ケンウッド“彩速ナビ”2024年モデル・TYPE Sシリーズ4モデル発売
新UI・オーガニックGUIプラス搭載で特大サイズ2画面表示対応、ケンウッド“彩速ナビ”2024年モデル・TYPE Sシリーズ4モデル発売
レスポンス
内装の質感にビビる!! 生産はわずか数百台のみ! ビートルのオシャレ番長モデルの「ヘブミューラー」
内装の質感にビビる!! 生産はわずか数百台のみ! ビートルのオシャレ番長モデルの「ヘブミューラー」
ベストカーWeb
25歳でルノー「キャトル」とマツダ「ロードスター」の2台体制!「できる限りの整備は自分でやっています」
25歳でルノー「キャトル」とマツダ「ロードスター」の2台体制!「できる限りの整備は自分でやっています」
Auto Messe Web
【2タイプのちょうどいい】 ホンダ新型フリード先行公開 「エアー」/「クロスター」を設定
【2タイプのちょうどいい】 ホンダ新型フリード先行公開 「エアー」/「クロスター」を設定
AUTOCAR JAPAN
メガーヌR.S.の最終モデルと人気のカングーを展示! アルカナの試乗もできます! ルノーブース出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
メガーヌR.S.の最終モデルと人気のカングーを展示! アルカナの試乗もできます! ルノーブース出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
LE VOLANT CARSMEET WEB
8年ぶり全面刷新! ホンダ新型「フリード」初公開&6月発売! まるで“ミニ”ステップワゴン!? シエンタライバルは何が変わった? みんなの反響は
8年ぶり全面刷新! ホンダ新型「フリード」初公開&6月発売! まるで“ミニ”ステップワゴン!? シエンタライバルは何が変わった? みんなの反響は
くるまのニュース
アンシスがAIを活用したバーチャルアシスタント「AnsysGPT」のリリースを発表
アンシスがAIを活用したバーチャルアシスタント「AnsysGPT」のリリースを発表
レスポンス
6人全員が快適に過ごせる夢のような最上級ミニバン降臨! レクサスLMに6座モデルを追加
6人全員が快適に過ごせる夢のような最上級ミニバン降臨! レクサスLMに6座モデルを追加
WEB CARTOP
【ストリーモ】特定小型原付モデル「ストリーモS01JTA」を5/31まで580台限定販売!
【ストリーモ】特定小型原付モデル「ストリーモS01JTA」を5/31まで580台限定販売!
バイクブロス
【ハーレー】最新モデルが試乗できる! 6/1・2に横浜で開催される「BLUE SKY HEAVEN 2024」のバイクプログラムを発表
【ハーレー】最新モデルが試乗できる! 6/1・2に横浜で開催される「BLUE SKY HEAVEN 2024」のバイクプログラムを発表
バイクブロス
【GASGAS】試乗でオリジナルグッズがもらえる「GASGAS テストライドフェア」を5/11~6/2まで開催!
【GASGAS】試乗でオリジナルグッズがもらえる「GASGAS テストライドフェア」を5/11~6/2まで開催!
バイクブロス
高速道路で見かける「謎のスペース」何のため? ちょっと「休憩」に使っても大丈夫? うっかり“違反”にならない「正しい使い方」とは
高速道路で見かける「謎のスペース」何のため? ちょっと「休憩」に使っても大丈夫? うっかり“違反”にならない「正しい使い方」とは
くるまのニュース
立川祐路がスーパー耐久富士公式テストに参加。「楽しんで走れたら。僕らは賑やかしで出ます(笑)」
立川祐路がスーパー耐久富士公式テストに参加。「楽しんで走れたら。僕らは賑やかしで出ます(笑)」
AUTOSPORT web
そんなクルマあったっけ……なインテグラのご先祖! 1代で姿を消した不人気5ドアハッチ「クイント」とは
そんなクルマあったっけ……なインテグラのご先祖! 1代で姿を消した不人気5ドアハッチ「クイント」とは
WEB CARTOP
レクサスが最上級ミニバン「新型LM」発表! 全長5.1mで「超豪華3列シート」採用! 新たに「6人乗りモデル」が追加に 1500万円
レクサスが最上級ミニバン「新型LM」発表! 全長5.1mで「超豪華3列シート」採用! 新たに「6人乗りモデル」が追加に 1500万円
くるまのニュース
【ホンダ フリード 新型】「“ちょうどいい”と言葉でいうのは簡単」それでも目指した唯一無二の価値とは
【ホンダ フリード 新型】「“ちょうどいい”と言葉でいうのは簡単」それでも目指した唯一無二の価値とは
レスポンス
ロールスロイス、ラグジュアリーSUVの頂点へ…『カリナン』に改良新型
ロールスロイス、ラグジュアリーSUVの頂点へ…『カリナン』に改良新型
レスポンス
知らない人多すぎ!「電動キックボード」の無免許運転が多発!? ややこしい「免許&ヘルメット不要」の条件とは
知らない人多すぎ!「電動キックボード」の無免許運転が多発!? ややこしい「免許&ヘルメット不要」の条件とは
くるまのニュース

みんなのコメント

1件
  • >日本ではこのS8はどう受け入れられるのだろうか

    後日談としては、全く受け入れられないどころか、話題にすらなりませんでしたね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2091.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

178.01720.0万円

中古車を検索
S8の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2091.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

178.01720.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村