1954年、東京モーターショーの前身である「全日本自動車ショウ」が開催されてから、2019年で65年が過ぎた。そんな東京モーターショーの歩みを、当時のニューモデルやコンセプトカーなど、エポックメイキングなモデルを軸に、今回は1970年代前半を振り返ってみたい。
公害や安全に対する企業姿勢の訴求が強まる
1970年の第17回ショーは、資本自由化を前に始めて輸入車が本格参加した。7カ国33社95台の外国車が展示され、本格的なインターナショナル・モーターショーとなった年だ。国産車で人気を呼んだのはショーでデビューしたトヨタ セリカだ。前年に参考出品だった三菱 ギャランGTX-1がギャランGTOとして発売されることも決まり、国産スペシャリティ時代の到来を印象付けている。一方、日産は自社初のFFとなるチェリーを発表。コンセプトカーではロータリー ミッドシップのマツダRX500が注目を集めた。
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1970年12月にマスキー法が成立して世界の目が排気ガス浄化に集まったが、いざなぎ景気で沸く1971年の第18回ショーでは、チェリークーペ、マツダ サバンナ、スバル レオーネなどニューモデルの展示が目立った。とくに軽自動車は前年のホンダZに続く、ダイハツ フェローMAX HTや三菱 ミニカスキッパー、スズキ フロンテクーペといった軽スペシャリティが出揃って覇を競っている。また11月から発売されるフェアレディ240Z(G)や参考出品のトヨタ SV-1も人気を集めた。
1972年の第19回ショーでは、酸化触媒・還元触媒やサーマルリアクターなど、独自の公害対策技術を前面に押し出した展示となった。同時にトヨタとニッサンはESV(実験安全車:Experimental Safety Vehicle)で安全性への取り組みをアピールした。ホンダはCVCCを採用してデビューしたばかりのシビックがブースの中心を占めた。一方モータースポーツマシンの展示も多く、日産KPGC110スカイライン レーシングタイプ(GT-R)の参考出品を始め、各社のレース/ラリー仕様がいっせいに展示されたのも1972年の特徴だ。市販車では27カローラレビン、サバンナGTなどモータースポーツベースのモデルも高い人気を博している。
1973年はショー開幕直前に第一次オイルショックが勃発。その余波で翌1974年のショー開催中止が決定。以降は隔年開催となるなど、波乱含みの第20回ショーとなった。それでも観客の多くはさほどの危機感は抱いておらず、1971年に展示されたトヨタSV-1の市販型セリカLB(リフトバック)や、サザンクロスラリーを制した三菱 ランサーGSR、日産 チェリーに追加されたクーペX1-Rなどが人気を呼ぶなど、速いクルマへの憧れは相変わらず強かった。
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