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【古いクルマもOK! でも納期待ちも多し!】 「後付け」踏み間違い防止アイテム 3種をレポート!

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【古いクルマもOK! でも納期待ちも多し!】 「後付け」踏み間違い防止アイテム 3種をレポート!

 高齢者を中心とするブレーキペダルの踏み間違いからの悲惨な交通事故により、最近急激に注目度が上がってきているのが“後付け踏み間違い防止装置”。

 だが、その使い心地や実際の作動に問題はないのか? など疑問がいっぱいだ。

【気づかぬうちに自分が“暴走中”!!?】 事故を誘発? その運転は大丈夫??

 そこで“今話題の後付け安全装置”の本当のところをチェックするため、注目の3アイテムについて、自動車ジャーナリストの佐藤篤司氏に実際に試乗、レポートしてもらった。

※本稿は2019年7月のものです
レポート・文:佐藤篤司/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年8月10日号

■踏み間違いを電気的に感知 オートバックスセブン『ペダルの見張り番II』

●価格:4万3200円(工賃込)

 2016年からアフターパーツとして発売され、人気商品となっていた「ペダルの見張り番」。現在いくつかの改良が施され、今年から「ペダルの見張り番II」にバージョンアップしている。

 前バージョンの頃からこの商品は使用状況などが非常に明確。作動するのは0~10km/hの範囲内、つまり信号待ちや駐車場から発進する時の踏み間違いに対応するものである。

 また対応するのは電気的にアクセル制御を行うクルマであり、経路の途中にカプラーを割り込ませ、誤ってアクセルペダルを一気に床まで強く踏み込んだ場合などに、アクセルの電気信号を制御することで誤発進を防止する『オーバーアクセルキャンセラー(OAC)』。

 制御するのはあくまでアクセルのみで、ブレーキを制御することはない。また、ワイヤーによってエンジンを制御しているそれ以前のクルマには取り付けられない。

 さらに「アイサイトなどをはじめとした最新の衝突安全装備のクルマにも、取り付けは基本的に行わない」と同社IR広報部の鈴木政和氏は説明する。

『ペダルの見張り番II』が装着されたセレナを実際に運転してみたが、もう少し警告音が大きくてもいいように感じた

 実際にサンプルカーの日産セレナに乗り込んで試してみた。停車時から一気にアクセルを床まで踏み込む。

 するとタコメーターの針がアイドリング状況から一瞬だけ1000回転くらいまでフワッと上昇するが、すぐにアイドリングまで落ちてアクセルを踏み続けても上昇しない。

 一方、クルマはクリープほどの速度で前進を続ける。同時にドライバーにはブザーとランプによって踏み間違っていることを知らせてくれる。通常ならばここでドライバーが踏み間違いを認知してペダルから足を離すはずだから、暴走は避けられる。

 そして例え踏み間違っていることの認知が遅れたとしても、先行車にクリープの速度でコツンと当てる程度で終わることができるワケだ。暴走事故になるか、軽い物損事故ですむか、その差は天と地ほどの差がある。

 また、パニックになった時、「アクセルとブレーキを同時に踏まれることがあります。その場合はブレーキ動作が優先され、アクセルは制御されます」と鈴木氏。

 このブレーキ動作が優先される『ブレーキオーバーライドシステム(BOS)』を備えることでも誤発進は防止できることになる。

現在はオートバックス専売の商品となっている『ペダルの見張り番II』。本体と車種ごとのハーネスが必要になり、価格は工賃込みで4万3200円

 それでも「ペダルの見張り番II」は、あくまでもアクセルの制御を行うのは極低速での踏み間違いがあった場合。10km/hを超える速度では作動しない。

 さらに脇道から幹線道路への合流など“急加速が必要な場合”のことも気になる。仮に作動したら、やはり交通の流れや後続車からの追突などの問題があるのでは? という懸念があった。

 少し気になったのは踏み間違いが起きた際のブザーの音量が少し小さいことと、パイロットランプが小さいこと。非常事態ともいえる状況の間違いを犯しているのだから、もう少し大きな警報音などでもいいように感じた。

 さて、取り付けは車種にもよるが90分ほどで、価格は本体+車種別ハーネス、そして工賃込みで4万3200円。国産車の210車種ほどに対応しているが、現在は注文や問い合わせが殺到している状況で、2カ月以上のウェイティングが発生する場合もあるという。

●オートバックスセブン(TEL:0120-454-771)


■シンプル構造でほとんどの車種に取り付け可! ナンキ工業『STOPペダル』

●価格:9万9800円(税抜)/工賃:概ね2万~4万円(車種によって差あり)

「2010年頃から開発を進めてきました。誤発進による事故をゼロにしたい、それが目的です」と話すのはナンキ工業の南平治社長だ。

ナンキ工業の南平治社長(写真)が開発したのが『STOPペダル』。開発試作用見本を前に語ってくれた

 同社の「STOPペダル」はペダルを踏み間違え、アクセルペダルを強く踏み込んだ時にだけ、アクセルペダルがそのままブレーキペダルの役割を果たす構造。

 もちろん普段はいつもどおりにブレーキペダルとアクセルペダルは使える構造になっている。

 さらに機械式で構造は実にシンプル、取り付けも比較的短時間で簡単。南社長の説明用サンプルを使っての説明で作動などを聞くかぎりは作動について理解できるが、説明を聞いただけではまだ不安を払拭できなかった。

 まずはどんな踏み込み状況でブレーキがかかるのか? そして急ブレーキになった場合に後続車に対する影響はどうかなど、気になる点はあった。

 さっそく、サンプルの軽ワゴンに乗り込んで試乗である。まず、走り出しで踏み間違いを起こし、床までアクセルをガツンと踏み込む。これでアクセルペダルとブレーキペダルは一体となり、ブレーキを踏んでいる状況と同じになるため停車する。

実際にSTOPペダルが取り付けられたクルマに試乗。アクセルペダルを強く踏み込んだ時にだけ、ブレーキペダルの役割をも果たしているのだ

 その停車はもっとガツンと一瞬にして止まる急停車になるのかと思ったが、予想よりもソフトにスーッと自然に停車してくれる。

 だが、少し強めに加速したりするだけでいちいち停車していたのでは後続車に対してもリスクがある。が、その懸念はすぐに払拭された。

 ごくふつうにアクセルを操作したり、たとえ少しばかり強めの加速のためにアクセルを煽った程度では、作動しないのだ。だから普段はほとんど違和感なく運転できる。

 だが、一度ペダルを踏み間違った状況でガツンと床まで踏み込んでみる。通常のアクセルの踏みしろの奥に1回抵抗を感じた。そのポイントからさらに踏み込んだ時に作動してブレーキがかかるようになっている。

ハンドル右側横には「ON/OFF」の切り替えスイッチが付く。このスイッチを押すことで、STOPペダルの作動を自分で切り替えることが可能だ。今回の一般道での試乗時にはさほど必要性を感じることはなかったが、高速走行だと必要になるかもしれない

 要するにドライバーがアクセルをブレーキペダルと思い込んで、全力で踏み込んだような時にのみ作動するという感じだ。

 こうしたシステムであるため、もちろん車検にも対応している。これは実際に試してみないと理解できないかもしれない。

 また、このシステムにはワンタッチのキャンセルスイッチが装備されている。高速道路での合流など急加速が必要な場合、さらには坂道発進など強く踏み込む可能性のある場合は、念のためにキャンセルすることもできるのだ。

 だが、試乗してみて感覚的に、ごくふつうの運転での加速(もちろん合流などの強めの加速)でSTOPペダルが作動することはなかったため、このキャンセルボタンはあまり必要ではないかもしれないと感じた。

STOPペダルが装着されたエブリイワゴンを試乗してみた。一般道での試乗だと、アクセルペダルを強く踏み込んだ踏みしろのさらに奥にポイントがあり、そこからさらに踏み込むとシステムが作動する

 現在は問い合わせがやはり殺到していて数カ月のウェイティング状態である。価格は税抜き9万9800円。工賃は車種によって差はあるがおおむね2万~4万円。

●ナンキ工業(TEL:048-223-6420)

■アクセルとブレーキをひとつにまとめたアイデアもの! ナルセ機材『ワンペダル』

●価格:18万3600円(税込・車両持ち込みの場合は取付工賃別)

「見張り番」も「STOPペダル」も、これまでの操作感を踏襲しながら踏み間違いによる誤発進などを制御する装置だったが、このナルセ機材の「ワンペダル」は、その名のとおり、ブレーキとアクセルペダルを改良によって一体化し、ひとつのペダル化したアイデア商品である。

シングルタイプ(右足用)とダブルタイプ(両足兼用)の2種類がある

 大きなブレーキペダルと、その右側に横にスライドさせて操作できる棒状のアクセルペダルを取り付ける。

「普段は右足を横にずらしながらアクセル操作し、ブレーキングは通常どおり踏み込んで行う。つまり踏み込むのはブレーキの時だけであり、踏み間違いもなくなる訳です」とナルセ機材広報部、ワンペダルアドバイザーの荒田晃慎氏。これならば踏み間違い自体が起きないことになる。

 アクセル操作のコツは「足先だけで操作するのではなく、膝を右に開く感じで操作するとよりスムーズに走れるでしょう」と荒田氏。

 実際に試乗してみると確かに“踏み込んでブレーキ、横にずらしてアクセル”というこれまでと違う操作はギクシャクしていた。

 だが10分程度走行しているうちに、その操作感に慣れ、ごくふつうにドライブができるようになっていた。また、取材日には宮崎県三股町の西村尚彦副町長も試乗に来られていた。

西村尚彦・宮崎県三股町副町長

「最初は少し戸惑いましたが20分くらいで慣れました」と西村副町長。実際に自分のクルマに装備して、どんなものかを知ったうえで、町の高齢者たちなどにも装着を一考してもらいたいという。さらには「補助金なども検討する可能性もあります」とも。

 また、このワンペダルを装備しているタクシードライバー、米津鶴彦氏は「この装置を装備して7年ほど。もう手放せません。本当に踏み間違いなど暴走による悲惨な事故を少しでも減らしたい一心で、乗客の皆さんにもパンフレットなどを渡して薦めています」という。

 なんとこれはナルセ機材に依頼されたワケではなく、米津氏のボランティアだという。

ふだんの運転時は右足を横にずらしてアクセル操作を行う

 試乗を終え、ひとつ懸念したところは常に足がブレーキペダルの上にあるようなものであるから、引き吊りのようなことにはならないかという点だ。

 ところがワンペダルはその点の対策も講じてあり、通常の運転では起きない構造になっているという。「ローテクだからこそシンプルで、そして確実に作動する」と荒田晃慎氏。

 こちらも現在、問い合わせや注文が殺到している。ペダル自体を交換してしまうため、価格は右足用で税込み18万3600円(車両持ち込みの場合は取り付け工賃別)と少し高価だ。

●ナルセ機材(TEL:0968-73-1511)

【番外コラム】 政府、「自動ブレーキ車限定免許」を検討へ

 最近の高齢ドライバーによる暴走事故の頻発を受け、政府が関係閣僚会議のなかで交通安全の緊急対策をとりまとめ、最新の自動ブレーキを採用している安全運転サポート車の普及と免許返納者へのタクシー定額乗り放題などの対策を盛り込んだ。

 これは今年4月に起きた東京・池袋での死傷事故を受けたものだが、自動ブレーキについては国内独自の基準を新たに設け、新車販売時の搭載を義務づけるとともにこういった先進安全装置が装着されたクルマに限定された免許制度の創設へ向けて動き出す。

 具体的には実施に向けた課題などを検討し、今年度内に実施するかどうかを決定する見込みだという。


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