■話題の新型軽自動車デビュー直前情報
2019年3月下旬に、日産は新型「デイズシリーズ」、三菱は新型「eKシリーズ」を同日に発表。すでにさまざまなメディアで取り上げられていますが、デビュー直前情報として、現時点で判明している内容を紹介します。
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新型軽自動車は、日産と三菱が共同開発し、日産からは「デイズ」、三菱からは「eKワゴン」という車名で販売されることは従来と変わりません。軽自動車を開発するために日産と三菱がジョイントで設立した「NMKV」という会社が全体を取りまとめ、企画をおこなったのも従来通りです。
しかし、先代と違うのは開発体制。従来はNMKVから三菱へ開発を委託していましたが、新型は日産へ開発を委託し、日産が中心となり設計をしました。
すなわち、今回のモデルが史上初めて日産が開発した軽自動車ということを意味しています。一方で、生産に関しては先代同様に三菱自動車が担当。すべて岡山県にある水島製作所で作られるのです。
開発の中心が三菱から日産に変更された理由が気になるところですが、NMKVの遠藤淳一CEOによると「先進安全機能や運転支援システムを盛り込むためには、日産で開発したほうがメリットが多いと判断した」と説明しています。
新型軽自動車の車両としての特徴は、「新プラットフォーム」「新パワートレイン」そして「先進安全技術」の3点です。
「新プラットフォーム」の特徴は、従来に比べて室内の前後長が広がっていること。軽自動車は、車体のサイズに制約があるので全長は旧型と同じですが、前後席の間隔も荷室も奥行きも広がっているというから驚かずにいられません。
室内空間を広げられた理由の秘密はエンジンルームにあるようです。設計を見直すことでエンジンルームの前後長を短くし、エンジンルームと室内の仕切りを前に出すことで室内長を拡大しました。
正式発表前なので詳細はまだ公表されていませんが、もしかすると後席足元の広さはクラストップに躍り出るかもしれません。
パワートレインの要となるエンジンは、新開発ユニットを採用。ポイントは、ロングストローク化によるトルクアップで、走りはじめから力強く感じられるといいます。
驚くことに、ルノーが基本設計した「BR08」というエンジンをベースに、軽自動車用に最適化して設計したというのです。ルノーのエンジンをベースにしたメリットとして、「必要な図面が従来の半分ほどで済んだから開発がスピーディだった」とNMKVの遠藤淳一CEOは具体例を教えてくれました。
■先進運転支援システムの進化
もうひとつの特徴が、日産が開発を担当することになった大きな理由でもある先進安全技術や運転支援技術です。
大きなトピックは、先進運転支援システムの軽自動車初採用。日産は普通車と同様に「プロパイロット」、初搭載となる三菱自動車では「MIパイロット」という名称で採用しました。
これは、高速道路走行時にドライバーがアクセルやブレーキの操作をしなくても前を走るクルマにあわせて速度を最適に自動調整し、車線の真ん中を走るようにハンドル操作もアシストしてくれる仕掛けです。
ホンダも「N-BOX」など軽自動車で同様の機能を備えていますが、そちらは低い速度域になるとシステムの作動が止まり、渋滞時には機能しません。しかし、「デイズ」や「eK」では渋滞での停止保持までおこなう、より高度なタイプが用意されています。
また、カメラとソナーを併用する踏み間違い衝突アシストは、離れた車両や人も検知し、速度も約25km/hまで対応と高機能。さらに、エンジン出力を抑えるだけでなく後退まで含めてブレーキを作動させるのは軽自動車として唯一です。そのうえ、サイドエアバッグやカーテンエアバッグまで全グレードに標準装備するのも特徴といえるでしょう。
興味深いのは、三菱で用意される「eK X(クロス)」というモデルです。なんと新型「eKワゴン」には従来のようなカスタム仕様が用意される、アウトドアテイスト溢れるクロスオーバーSUVがラインナップされると発表されました。
一方で、日産は上級仕様として従来通りの「デイズ ハイウェイスター」が用意され、両車で異なる展開となっているのです(日産には「eK X」のようなクロスオーバーSUVは用意されません)。
三菱の益子修CEOは「eK X」について「行動範囲を広げたい人に向けた、三菱らしいモデル」と期待を語ってくれました。
両社の新型軽自動車に関し、日産自動車専務の星野朝子さんは、「軽自動車戦略はNMKVを通して両者のうまみをだしてきた。その集大成がこの新型軽自動車」といいます。詳細が発表されるのは2019年3月28日です。
また、三菱「eKシリーズ」は、同年3月14日から予約受注を開始しているのに対して、日産は公式には3月中発売としか発表していません。このあたりも両社における販売戦略の差を感じられます。
【了】
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