着々とEV化が進む4輪と比較して、2輪のEVと言えば原付きスクーターベースが主流である。別格としてBMWもあるが、価格も100万円超えだ。実はHONDAが125ccベースの『PCX ELECTRIC』を製品化したのだが、価格上の問題なのか、現状では企業向けリース販売しかおこなっていない。
つまり我々に試乗する機会はなかったのだが、宮古島で『PCX ELECTRIC』のレンタルサービスが3月6日より開始された。なぜ東京ではなく離島で、さらになぜソフトバンクが、そんな疑問を解決すべく現地へ飛んだ。
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●合い言葉は「Over the Bridge」
宮古島でレンタルバイクサービスを実際におこなうのは、宮古カレンである。宮古島と言えば橋、島内は来間大橋、伊良部大橋、池間大橋の3つの橋がかかっている。いずれも、かなり長くアップダウンがあるためレンタサイクルで走るのは厳しい。それが、レンタルバイクなら無理なく渡れるのだ。さらに『PCX ELECTRIC』は125cc相当なのでタンデムができる。電動バイクなので走行音がほとんどなく、ヘルメットを被ったままドライバーとパッセンジャーで会話ができてしまうのだ。宮古カレンを運営するカレンスタイル代表取締役社長 松良文子さんは「波の音、風の音、海の匂いを感じながら橋を渡って欲しい、私たちが提供するのは移動手段ではなく、新しいアクティビィティです」と語った。
レンタルができるのは実車を常設する3つのホテルと配車が可能な4つのホテルで、前日17時までに予約すれば配車してもらえる。料金は1日1万2960円(税込)で、2人分までのヘルメット、ウエア、グローブのレンタル代、電気代、保険代が含まれる。航続距離はスペックでは41kmだが、実際は50km近く走れるようだ。島内のカフェや売店など16ヵ所にバッテリー交換スポットを設けて、電池が少なくなった場合は充電ではなく、電池交換で素早く対応する。充電池は島内に約70個用意された。
試乗会の会場となった来間大橋は全長1690mで完成当時は日本最長の大橋。橋から見える海の色の青さは沖縄No.1と言っても過言ではない。
無料で渡れる橋では日本最長の3540mもある伊良部大橋。距離が長いのでバイクで走るのに最適。伊良部島には下地島空港17エンドと呼ばれる観光スポットもあるが、3月23日から空港周回道路が車両通行止めに、ただし徒歩なら通行可能。
池間大橋は全長1425mで宮古ブルーの海の色を満喫できる。池間島はNHK朝の連続テレビ小説「純と愛」のロケ地としても有名なビーチがあり、岩の隙間がハート型見えるハート岩がある。
カレンスタイル代表取締役社長 松良文子さんが宮古カレンと宮古島の大橋の魅力について語った。
島内の大橋を渡るための道路沿いはバッテリー交換スポットが用意され安心してツーリングが楽しめる。
スクーターの燃料計のアイコンがプラグになっているバーグラフで電池残量をチェックできる。
●ソフトバンクが2輪車のコネクテッド機能を検証
次世代のクルマに欠かせないのがコネクテッドである。クルマが通信で外部で接続された状態がコネクテッドであり、走行中のデータを蓄積することで自動運転のAIの進化を加速させるためにも重要な役割を果たすと言われている。これを2輪車でも実現するためにソフトバンクはHONDAと提携して『PCX ELECTRIC』に通信モジュールを搭載して車両と走行データを収集してソフトバンクの通信網を使いリアルタイムで専用クラウドに送信する。これらのデータを分析して電池の残量管理、走行速度、位置確認、車両が転倒していないかどうかの見守りなどができるようになるという。また、観光客の行動を分析して、誘致の有効な手段や、宮古カレンの効率的な運用などに役立てたり、HONDAの車両開発にも活用する予定である。
ソフトバンク常務執行役員 小菅良宏氏は30年ぶりにタンデムしたことで電動バイクの素晴らしさを実感、この新たな世界で小さな1歩が踏み出せる歓びについて語った。
防水防塵仕様の車載用通信モジュールはCAN通信を使ってバイクと接続される。また外付けのGPSアンテナとも接続されている。
宮古島市長 下地敏彦氏が駆けつけ「オーバーザブリッジ、オーバーザレインボー、オーバーザフューチャー」と祝辞を贈った。
●電動スクーターの使い勝手はエンジンと変わらない
HONDA『PCX』はもともと自動変速のスクーターなので、電動化された『PCX ELECTRIC』の走行手順も、ほとんど変更はない。キーレスエントリーなので、まずスマートキーを持って車両の2m以内に近づく。これでメインスイッチが使用可能になる。通常は右側のハンドルロックの位置にノブがあるので、これを押して回して6時の方向で電源OFF、そこから左に回すと電源ONになる。この状態でサイドスタンドを外して、左側のブレーキレバーを握って、右側のスターターボタンを押せばモーターが始動する。その音は極めて静かだった。右手のアクセルを開ければスクーターはスルスルと走り出す。その加速は穏やかで、2名乗車時もトルクがあるため加速は変わらないという。
走り出して感じるのは、無音であること。ジェット型のヘルメットを使っているので風の音がするが、タイヤの走行音などは聞こえない。そして、確かに匂いも感じられる。これがもっとパワフルなマシンなら、攻めた走りをしようなどと思うが、ジェントルな加速なので、そんな気になれない。もちろん走りを楽しむのではなく、宮古島を体で感じることがコンセプトなので問題ない。どの道も交通量が少なく渋滞しらずなので、イライラすることもなく、マイペースで目的地へ向かえる。ただし、細い道も多く、信号がないので、一時停止を守って左右の確認を怠ってはならない。来間大橋は30kmほどで走るとどこまでも海の上を一直線に進んでいく気分が味わえる。
女性とタンデムすると同乗後に「バイクは臭いし、うるさいのでもう乗りたくない」というショッキングなコメントをもらうことがあるが、『PCX ELECTRIC』ならその心配は皆無だ。インカムなしで走行中に会話できるほど静かで、オイルやガソリンの匂いもしない。これは1人で乗るにはもったいないマシンなのだ。もしレンタルする機会があれば、タンデムがオススメだ。それから運転にはAT小型二輪(原付二種)免許が必要になる。普通自動二輪または大型自動二輪でも問題ない。普通免許を持っていれば最短2日で取得できるので、この機会に教習所で取っておくのもいいかもしれない。
ずらりと並んだレンタル用の『PCX ELECTRIC』、宮古カレンのオリジナルカラーだ。
車両にはELECTRICのエンブレムが輝き、デカールによってカスタマイズされている。
マシンを走らせるには、まずメインスイッチを回して電源をONにする。
左ブレーキを握って、スターターボタンを押すとモーターが始動する。
表示は液晶モニターなので撮影が困難。中央のバー表示に加えて、右下にパーセントで電池残量が表示される。
重さ10kgのバッテリーを2基搭載している。
ロックを外すと、バッテリーにはキャリングハンドルがあり簡単に着脱できる。
充電は100Vで家庭用コンセントからもできる。
バッテリー交換スポットの1ヵ所である「狩保マッチヤーズ」を取材させてもらった。店内には清涼飲料水、酒、食料品から日用雑貨、釣り道具などあらゆるものが揃っていた。
入口のカウンターの脇に充電器に乗せられたバッテリーがあった。これならすぐに交換できそうだ。
最南端の池間島にある交換スポット、海カフェ「Loophole」。
大橋を走行するイメージカット。左右が海というだけでも非日常の気分になる。
写真・文/ゴン川野
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