7月21日公開の「クルマは安くて素朴な「素」が一番!? コンパクトカー「素うどん車」12選」につづき、今回は軽ハイトワゴン編をお届けします。
まだご存知ない方のために「素うどん車」とはなんぞや、をまずはご説明します。エビ天ぷらやかき揚げなどの具がなにものっていないのが素うどん。だから、余計(?)な装備をつけていない“素”なグレードのクルマが「素うどんグルマ」。これに対して、いろんな具(装備)を乗せてお値段も張った車を「具のせグレード」と称しています。
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これっていったいどちらが割安なんでしょう? ということで、自動車ジャーナリスト渡辺陽一郎さんにお買い得度の検証ランキングをつくってもらったのが、この「素うどんグルマ選手権」です。
なお検証の結果、やっぱり「具のせ」のほうが割安だ! という結論に至ったクルマも多くありました。そちらはその度合いによって「ランキングD・E」に分類させていただいてます。
文:渡辺陽一郎、ベストカー編集部
写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年8月10日号
■ハスラー A(110万520円/CVT)
素うどんグレードのAが2万720円割安
価格が最も安い素うどんグレードはAだ。具のせグレードはXで、2個のカメラを使う緊急自動ブレーキのデュアルカメラブレーキサポート、ディスチャージヘッドランプ、アルミホイールなど、Aに比べると34万円相当の装備を加えた。それなのにXの価格は、Aに比べて36万720円も高い。
したがって素うどんグレードのAは具のせグレードのXに比べて2万720円割安だ。
軽自動車は競争が激しく大半の車種が中級の具のせグレードを割安にする。素うどんのほうが買い得、つまり「価格差−装備換算額」がプラスの金額になるのは珍しい。
Aがそれを可能にしたのは、法人やレンタカーの需要を視野に入れてメーカーオプションの設定も省き、アイドリングストップや Sエネチャージまで非装着にしたからだ。それでもエンジン本体の効率が優れ、JC08モード燃費は26.6km/Lに達する。
■素うどんグレード:A(110万520円/CVT)
■具のせグレード:X(146万1240円/CVT)
■価格差:36万720円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:34万円
■価格差−装備換算額=2万720円
●素うどんグレードのお買い得度:Aランク
■N-BOX Gホンダセンシング(138万5640円/CVT)
戦略的な価格設定の素うどんN-BOX
N-BOXのようなスライドドアを備えた全高が1700mmを超える軽自動車は、実用装備を充実させた具のせグレードを140万~150万円に設定する。
いっぽう、ワゴンRやムーヴなど、スライドドアを備えない全高が1600~1700mmの車種は130万円前後が具のせグレードの価格帯だ。
ホンダではN-WGNやN-ONEの設計が古くなり、売れ筋の軽自動車は、実質的にN-BOXのみだ。この1車種で、ワゴンRやムーヴの顧客まで奪わねばならない。
そこでN-BOXは素うどんグレードのGホンダセンシングを割安にして、130万円台に設定した。具のせなG・Lホンダセンシングに比べて10万円相当の装備を省くが、価格は11万3400円も安い。この価格ならワゴンRやムーヴの顧客も取り込める
■素うどんグレード:Gホンダセンシング(138万5640円/CVT)
■
具のせグレード:G・Lホンダセンシング(149万9040円/CVT)
■価格差:11万3400円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:10万円
■価格差−装備換算額=1万3400円
●素うどんグレードのお買い得度:Bランク
■キャストアクティバ X(122万5800円/CVT)
最も安価な素うどんグレードでも装備充実!
キャストは全高が1600mmを超える実用的なハイトワゴンだが、車種の性格は趣味性を重視している。そのためにキーフリーシステムやエアコンのオート機能を省いた価格の安いグレードはない。
いい換えれば最も安価な素うどんグレードのXが、ムーヴなどほかの車種でいえば、具のせグレードに相当する装備を採用している。
したがって具のせグレードを素うどんグレードよりも割安にするといった価格操作も行っていない。XとG・ SA3を比べた場合、価格差と加わる装備の価格換算額が、ピッタリ同額になる。
■素うどんグレード:X(122万5800円/CVT)
■
具のせグレード:G・SA3(141万4800円/CVT)
■価格差:18万9000円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:18万9000円
■価格差−装備換算額=0円
●素うどんグレードの買い得度:Cランク
■タント L(122万400円/CVT)
具のせグレードに比べ1万5200円割高
具のせグレードX・SA3は、価格が最も安いLに、安全装備のスマートアシスト3、左側スライドドアの電動機能、キーフリーシステムなど21万5000円相当の装備を加えたもの。
価格の上昇は19万9800円だから、具のせグレードのX・ SA3は、素うどんグレードのLに比べて、1万5200円割安になる。言い換えればLはXに比べて割高で、お買い得度もマイナスになった。
■素うどんグレード:L(122万400円/CVT)
■
具のせグレード:X・SA3(142万200円/CVT)
■価格差:19万9800円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:21万5000円
■価格差−装備換算額=マイナス 1万5200円
●素うどんグレードの買い得度:Dランク
■デイズ J(115万7760円/CVT)
素うどんグレードのほうが2万960円割高
先頃、デイズは、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備をカメラ方式に改め(2018年5月)、歩行者の検知も可能にした。
これを全車に標準装着したうえで、素うどんグレードのJは価格が116万円弱に収まる。
具のせグレードのXはアラウンドビューモニターなどJに17万円相当の装備を加えた。それで価格上昇は14万9040円だからXはJに比べて2万960円割安。Jは割高になる。
■素うどんグレード:J(115万7760円/CVT)
■
具のせグレード:X(130万6800円/CVT)
■価格差:14万9040円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:17万円
■価格差−装備換算額=マイナス 2万960円
●素うどんグレードのお買い得度:Dランク
■ムーヴ L(111万2400円/CVT)
具のせグレードが装備満載でお得!
具のせグレードのX・SA3は、素うどんグレードのLに、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備のスマートアシスト3、キーフリーシステム、アルミホイールなどを加えた。
これらを価格に換算すると18万5000円だが、価格の上乗せぶんは16万2000円に抑えたから、X・SA3は2万3000円割安だ。
逆に素うどんグレードのLは割高で、お買い得度はDランクになる。
■素うどんグレード:L(111万2400円/CVT)
■
具のせグレード:X・SA3(127万4400円/CVT)
■価格差:16万2000円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:18万5000円
■価格差−装備換算額=マイナス 2万3000円
●素うどんグレードのお買い得度:Dランク
■ウェイク D(135万円/CVT)
具のせグレードとの価格差は32万4000円!
ウェイクは全高が1800mmを超えるから、車両重量は装備が簡素な素うどんグレードのDでも990kgだ。
そこで具のせグレードはGターボ SA3とした。Dに比べるとターボが装着され、安全装備のスマートアシスト3なども加わる。
これらは35万円に相当するが、DとGターボSA3の価格差は32万4000円だ。GターボSA3は2万6000円割安で、Dは割高になる。
■素うどんグレード:D(135万円/CVT)
■
具のせグレード:GターボSA3(167万4000円/CVT)
■
価格差:32万4000円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:35万円
■価格差−装備換算額=マイナス 2万6000円
●素うどんグレードのお買い得度:Dランク
■ワゴンR FA(107万8920円/CVT)
価格自体は素うどんグレードが110万円以下でお手ごろなのだが…
ワゴンRは法人を含めて仕事に使われることが多く、そのため素うどんグレードのFAも価格を110万円以下に抑えられている。いっぽう、具のせグレードのハイブリッドFZは、マイルドハイブリッド、エアロパーツ、LEDヘッドランプなどを備える。この換算額は30万円だが、FAと比べた時の価格上昇は27万1080円だ。したがってハイブリッドFAは2万8920円割高ということになる。
■素うどんグレード:FA(107万8920円/CVT)
■
具のせグレード:ハイブリッドFZ(135万円/CVT)
■価格差:27万1080円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:30万円
■価格差−装備換算額=マイナス 2万8920円
●素うどんグレードのお買い得度:Dランク
■スペーシア ハイブリッドG(133万3800円/CVT)
具のせグレードは17万円高いが実質割安
スペーシアは、素うどんグレードも含めて、全車がマイルドハイブリッドを備えている。具のせグレードのハイブリッドXは、素うどんグレードのGに、両側スライドドアの電動機能を加えた。
スライドドアは手動式だと操作に体力を要するから電動式が便利だ。総額で17万円相当の装備が加わるが、Gと比べた時の価格上昇は13万5000円に収まる。Xは3万5000円割安で、Gは割高だ。
■素うどんグレード:ハイブリッドG(133万3800円/CVT)
■
具のせグレード:ハイブリッドX(146万8800円/CVT)
■価格差:13万5000円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:17万円
■価格差−装備換算額=マイナス 3万5000円
●素うどんグレードのお買い得度:Dランク
■アトレーワゴン カスタムターボRS・SA3(153万3600円/4速AT)
装備充実の具のせグレードのほうがお得
アトレーワゴンは、ハイゼットバンをベースにしたワゴンで、エンジンを前席の下に搭載して車内を広げた。大容量の荷室が備わる。その代わり車両重量は1トンを超えて、最も安価なカスタムターボRS・SA3でもターボを装着させた。具のせグレードのカスタムターボRSリミテッドSA3は、17万円相当の装備を加えて価格上昇は11万8800円。カスタムターボRS・SA3に比べて5万1200円割安になる。
■素うどんグレード:カスタムターボRS・SA3(153万3600円/4速AT)
■
具のせグレード:カスタムターボRSリミテッドSA3(165万2400円/4速AT)
■価格差:11万8800円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:17万円
■価格差−装備換算額=マイナス 5万1200円
●素うどんグレードのお買い得度:Eランク
■エブリイワゴン JPターボ(142万5600円/4速AT)
一見、素うどんグレードのほうがお得に見えるのだが
エブリイワゴンは、軽商用バンをベースに開発されたワゴンで、広い荷室を備える代わりにボディが重い。全車がターボを装着した。具のせグレードのPZターボは、素うどんグレードのJPターボにディスチャージヘッドランプやアルミホイールなど21万円相当の装備を加え、価格上昇は14万400円に収まっている。したがってPZターボは6万9600円割安で、素うどんグレードのJPターボは割高だ。
■素うどんグレード:JPターボ(142万5600円/4速AT)
■
具のせグレード:PZターボ(156万6000円/4速AT)
■価格差:14万400円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:21万円
■価格差−装備換算額=マイナス 6万9600円
●素うどんグレードのお買い得度:Eランク
■デイズルークス S(131万7600円/CVT)
具のせグレード・Xを大幅に安く
全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた軽自動車は、具のせグレードを140万~150万円に設定する。
デイズはライバル車に対抗すべくXを大幅に安くした。
Xは素うどんグレードのSにアラウンドビューモニター、左側スライドドアの電動機能、インテリジェントキーなど23万円相当の装備を加え、価格上昇は11万8800円だ。つまりXは11万1200円割安、素うどんグレードのSは割高になる。
■素うどんグレード:S(131万7600円/CVT)
■
具のせグレード:X(143万6400円/CVT)
■価格差:11万8800円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:23万円
■価格差−装備換算額=マイナス 11万1200円
●素うどんグレードのお買い得度:Eランク
まとめ
今回軽ハイトワゴンを調べてわかったのは、全般的に具のせグレードの割安感が強く、素うどんグレードは相対的に割高になりやすい。ハスラー、N-BOX、キャストまでが素うどんグレードのお買い得感が高く、それ以降は割高感が増していく。価格の絶対値を低くして法人需要を狙っている。
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