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音も振動も上質だったのになぜ消えた? 軽自動車から4気筒エンジンがなくなった理由とは

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音も振動も上質だったのになぜ消えた? 軽自動車から4気筒エンジンがなくなった理由とは

 エンジン自体の質は魅力だがコストや燃費の面で厳しかった

 現在発売されている軽自動車のエンジンはすべて3気筒(2017年末現在)が採用されている。1989年発売のレックス(後期型)から2012年に自社製サンバーの生産を終えるまで4気筒を採用し続けたスバルを除き、80年代以降の軽自動車のエンジンは3気筒が主力だ(以前は2気筒)。

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 軽自動車に3気筒が採用される理由は大きく分けて2つ。その1つはコストで、車両価格が安いゆえに登録車(いわゆる普通車)よりもさらにコスト管理がより一層厳しくなる軽自動車では、部品点数が多くなる4気筒よりも3気筒のほうが安上がりなので有利となる。

 2つ目の理由は、660ccという小さな排気量では、4気筒よりも3気筒の方がフリクションなどのエネルギーロスを小さく抑えやすく、燃費面でも有利。過給をしないNAエンジンの場合、1気筒あたりの理想的な排気量は500cc前後といわれるので、総排気量が660cc以下の小さな軽自動車のエンジンで4気筒を採用すると低速トルクを太らせるのが難しくなるなどの問題が多い。普通に考えれば、軽自動車には4気筒よりも3気筒のほうが適しているといえる。

 それでもなお、4気筒には3気筒よりも振動が少なく静粛性に優れ、高回転型にしやすいなどのメリットも多々あるので、スバル以外のメーカーも過去には軽自動車に4気筒を採用した例は少なくない。

 コスト管理を厳しく徹底することで有名な、鈴木 修会長率いるスズキは、軽自動車への4気筒の採用にとても消極的で、エントリーモデルのアルトや主力のワゴンRでは一度も4気筒を採用していないが、1989年にプレミアムな軽自動車として設定した初代のセルボモードには4気筒を採用。小さな高級車として一定の人気と評価を得た。

 ダイハツはそんなスズキと差別化をはかるべく、ムーヴには初代から3代目までスポーツグレードに4気筒を採用し続けたなど、スバルに次いで4気筒の採用例が多い。

 3代目のミラに設定したアバンツァートRという硬派なスポーツモデルや、電動ルーフ部分が手作業にて組み立てるという凝った作りの初代コペンには4気筒を採用。3代目ミラのアバンツァートRは全日本ラリー選手権などのモータースポーツの現場で長らく大活躍し、初代コペンも軽自動車の域を超えた走りの良さが高く評価されたなど、いずれも名車の誉れが高い。

 三菱は、かつては自社ブランドの象徴的な存在でもあった本格派クロカンSUVのパジェロの軽自動車版、パジェロミニに4気筒エンジンを採用。1気筒当たり5つのバルブを備えた20バルブエンジンとするなど、軽自動車としては極めて贅沢な仕様となった。

 軽自動車の4気筒化が早かったのはマツダで、1962年発売の初代のキャロルに採用。当時の軽自動車トップ人気のスバル360を超える性能や乗り味を狙ったことが4気筒エンジン採用の狙いだ。

 このように、軽自動車の4気筒は高級路線を向いたモデルやスポーツ性を本気で高めたモデルに搭載されることが多かったが、主力モデルや売れ筋グレードに採用される例はほとんど見られない。

 やはり4気筒は3気筒よりもコスト高となり、軽量化や低燃費化でも不利なので、ただでさえ利益率が低く、経済性が求められる軽自動車では採用されなくなってしまった。

 1989年以降、頑なに4気筒を採用し続けたスバルも、4気筒ならではの振動の少なさや高回転域でのスムースさなどがマニアや玄人筋から高く評価された一方、利益率の悪さが常に問題としてつきまとった。

 スバルの場合は、サスペンションやボディなど、エンジン以外にも軽自動車らしからぬ性能と品質を与えることにこだわった結果、軽自動車の自社生産から撤退することを余儀なくされてしまったのは記憶に新しいところである。

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