最悪は破裂! それでなくても燃費の悪化などいいことなし
1888年、当時、獣医をしていたJ.B.ダンロップが発明したタイヤの最大の特徴は、タイヤのなかに空気が入っていること。それまでのソリッドゴムタイヤに比べ、圧倒的に転がり抵抗が少なく、乗り心地がよかった。その特徴は、今日の自動車用タイヤも同じだが、逆にいえば、空気の入っていないタイヤは、ただのゴムの固まりのようなものに過ぎない……。
【危険】浅溝タイヤは80km/hでも濡れた路面で「浮く」ことがある!
にもかかわらず、一般社団法人日本自動車タイヤ協会が2016年に実施したタイヤ点検結果によると、高速道路を走るクルマのタイヤ整備不良率は、なんと 27.3%。4台に1台以上の割合で、そのうちの20.2%が、空気圧不足だった。
タイヤの負担できる荷重は、ほぼ空気圧で決まるので空気圧の不足は非常に危険。パンクをはじめ、タイヤのトラブルの大半は、空気圧の不足によるものといってもいいだろう。空気圧の低いと、具体的に下記のような問題が生じる。 ・転がり抵抗が増えて、燃費が悪化。
・偏摩耗(片減り摩耗、肩落ち摩耗)。
・摩耗ライフの悪化。
・タイヤがグニャグニャと頼りなくなり、操縦安定性が低下。
・ハイドロプレーニングやスタンディングウェーブが発生する可能性が大きくなる。
・ホイールからタイヤビート部が外れやすくなる。
・発熱によりサイド部のコード切れや、トレッドセパレーションが発生しやすくなる。 このように、空気圧の不足は、タイヤにとって一つもいいことはない。クルマがぬかるみなどでスタックしたとき、タイヤの空気圧を半分ぐらい抜いて、タイヤの接地面積を増やしてグリップを稼ぐという、緊急脱出法があるが、空気圧が低いというのはそれだけグリップ=転がり抵抗に直結する。
みんなが気になる燃費でいえば、タイヤの空気圧が適正値より50kPa(0.5kg/c平方メートル)不足すると、燃費は市街地で約2%、郊外で約4%も悪化する。膨らませた風船が、2、3日でしぼんでしまうように、走行距離の長短にかかわらず、タイヤの空気圧も1カ月でおよそ5%減っていくので、月に一度は空気圧をチェック、もしくはガソリンスタンドで給油するたびに空気圧を点検することを習慣にしておこう。
なお、タイヤの空気圧は、タイヤが冷えた状態(冷間)で、ドアの脇などに表記されているメーカー指定の空気圧に合わせるのが基本。どうしても、走行直後のタイヤが温まった状態で空気圧調整する場合は、指定空気圧より20~30kPa高めに調整したうえで、走行後、タイヤが冷えた状態になったら必ず再調整しておくこと。
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