エコドライブは周囲の流れや通行量をみて調整すべき
環境に優しい、燃費が良くなるエコドライブ。その各種ノウハウが、環境省のHPをはじめ、いろいろ紹介されているが、なかには首をかしげたくなるものも……。
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というのも、一台一台の燃費を優先すると、かえって道路全体の流れが悪くなり、渋滞を引き起こし、結果として、多くのクルマの燃費を悪くすることが多々あるからだ。
典型的なのは、「ふんわりアクセル」や「eスタート」。1t以上あるクルマの停止慣性は非常に大きいので、一気に加速させるには、大きなエネルギーが必要になる。ゆえに穏やかにアクセルを踏んで発進すれば、たしかに好燃費につながるだろう。
しかし、通行量の多い道でそれをやると、一回の青信号で交差点を通過出来るクルマの代数が減ることになり、結果として流れを悪くし、やがて渋滞を招くことに……。
通行量がある道路で、信号待ちで止まり青信号になったら、あるいは一時停止箇所できちんと一時停止を行ったら、左右の安全を確認したうえで、できるだけ速やかに発進、巡航速度までスムースに加速したほうが、全体のエコにつながるというもの。
本人は、地球にやさしい「正義の」ふんわりアクセルのつもりでも、周囲の目には、やや迷惑な「ノロノロ発進」と映っている場合が少なくない。
「減速時は早めにアクセルを離そう」というのも同様。前方が赤信号だったり、クルマが詰まっている場合は、早めにアクセルから足を離すというのは、正しいエコドライブだと思う。
F1でも、コーナー手前で、早めにアクセルをオフにし(lift)、惰性でクルマを走らせ(coast)、燃費を稼ぐリフト&コーストという走法があるぐらいで、ブレーキを踏むぎりぎりまでアクセルを踏んでいる必要はないのだが、なかには青信号の交差点のかなり手前から、アクセルを戻して惰性で走り出す人も……。
その交差点で、たとえ右左折するにしても、ウインカーを出すタイミングぐらいまでは、普通の速度で走り、ウインカーを出してから、ブレーキを使ってしっかり減速というのが、マナーに適った走りというもの。
自分の燃費だけを上げて周囲の迷惑になる「エゴドライブ」に注意
さらに言えば、信号が変わりそうなタイミング(青→黄)の場合、交差点を通過するだけなら、あくまで制限速度内で少し加速してでも、より多くのクルマが一度の青信号で通過した方が、環境には優しいはず(黄色になってから急加速せよ、といっているわけではない)。
にもかかわらず、まだ青信号なのにアクセルを戻して徐行して、そのクルマだけノロノロ交差点を通過し、後続車は黄色・赤信号で停止というパターンは、意外によく見かける。こういう「エゴドライバー」は本当に勘弁してもらいたい。
「車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転」というのも、たしかに理屈は合っている。しかし、道路のキャパと、通行量、時間帯によって、適切な車間距離は変わるもの。周囲の流れに合わせ、程よい車間距離をキープするのが、大人のドライバーで、自分だけ理想的な車間距離をキープするのも、いかがなものだろうか?
また、高速道路の自然渋滞の6割は、上り坂や、下り坂から上り坂に変化するサグ部で発生した速度低下が原因とされる。こうした上り坂では、たとえ瞬間燃費が悪くなったとしても、アクセルを踏み足して、平地と同じ速度がキープできるようにしないと、渋滞が発生し、多くの人の時間と燃費が無駄になるので気を付けてほしい。
そしてとくに気になるのは、こうした周囲の流れを顧みない、独りよがりのエゴドライブは、エコカーオーナーの方が顕著な傾向があるということ。
エコカーの素晴らしさは、普通の走り、普通のペースで走っても、エコカー以外のクルマより、ずっと燃費が優れているという点にある。
エコカーほど、燃費が気になり、燃費モニターをにらめっこしながら「さらなる省燃費を」とチャレンジしたくなる気持ちもわからなくもないが、周囲を巻き込む燃費トライアルはかえって迷惑。
そこまで燃費を気にする人は、「渋滞を避け、余裕をもって出発」したうえで、「高速道では速度を控える」(一説では、目標速度を5km/h抑えると、5%程度燃料消費が少なくなる。ただし走行車線でどうぞ)なり、夏でも早朝・夜間を利用して、「エアコンの利用を控える」といった、エコドライブ・テクニックを駆使して、どんどん記録を更新してもらいたい。
エコドライブもやり過ぎればマイナスも多い。みんなで少しでも渋滞を減らし、目的地まで、最短距離をスムースに走り、エンジンをかけている時間が最短になるようにするのが、本当の意味でのエコドライブになるのではないだろうか。
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