この記事をまとめると
■ひと月の販売台数が二桁・三桁などという“モテないクルマ”が存在
【月販数十台のクルマも】売れない車種を販売し続ける理由とは?
■これらのモデルには共通項が見受けられる
■この記事では4つの例を挙げ、具体車種とともに解説する
“モテないクルマ”にはいくつかの共通項が見受けられる
コロナ禍や半導体など部品供給の遅れの影響をモロに受けて、2021年上半期の新車販売台数は記録的な低水準となってしまいました。
でも、そんななかでも売れてるクルマはちゃんと売れていて、乗用車1位となった「ヤリス」「ヤリスクロス」「GRヤリス」は合算で11万9112台。前年比247.5%のアップというから驚きですよね。
軽自動車の1位は鉄壁の「N-BOX」で11万551台。こちらもライバルの猛追があるにもかかわらず、前年比109%のアップとなっています。
しかしそんな花形がいる一方で、ひっそりと姿を消していくような儚いクルマも、ひと月の販売台数が二桁・三桁などというモテないクルマもあるわけです。
そうしたクルマたちを見てみると、いくつかの共通項があると考えられます。今回はそれを紐解いてみたいと思います。
1)名前だけ引き継いでいるが中身はほとんど別モノ
1つ目の共通項は、「名前だけ引き継いでいるけど、中身はほとんど別モノ」ということ。
代表的なモデルは日産シーマやホンダ・インサイトなどですが、かつて「シーマ現象」という言葉まで生み出したほどバカ売れした、日産の顔とも言える高級車がシーマ。成功者の証として、多く人が憧れたものでした。
ただ、現在のシーマはフーガのボディを拡大して、かつてプレジデントが担っていたショーファードリブン的な役割も持たせつつ、パワーレインを共用したほとんとフーガのロングホイールベースバージョンのようなモデル。
かつてのシーマはドライバーズカーの頂点という位置付けだったので、ちょっと名前だけ的な印象があるのではないかと感じます。
インサイトも初代は低燃費世界一を狙ったとても個性的なクルマで、デザインもインパクトがあったものでした。
2代目はやや実用性重視のハイブリッドモデルに変化したものの、クーペライクなデザインや低燃費重視の姿勢は変わらず、インサイトの名を一躍有名にしたモデルとなりました。
しかし現在は、北米での販売がメインということもあって、ボディは大きくやや高級志向に。乗れば良いクルマなのは十分にわかるのですが、やはり名前が一緒の別のクルマのように感じる人も多いかもしれません。
2)二番煎じなのに一番目のモデルより魅力がない
2つ目の共通項は、キツい言葉を使ってしまいますが「二番煎じなのに一番目のモデルより魅力がない」ということ。これはあっという間に姿を消してしまった、ダイハツ・キャストアクティバやキャストスポーツを見ても感じるところです。
もちろん、個々で見たり乗ってみると、キャストも真面目に作られた良いクルマでした。でもどうしても、キャストアクティバにはハスラーが立ちはだかり、キャストスポーツにはアルトワークスが立ちはだかっていたわけです。
買う側もそこは、乗り比べてから検討するのは当然。となると、ネームバリューとしては先に人気が出ている方が有利なので、よっぽどインパクトのある良さだったり、目玉的な装備がないと、購入には踏み切れないところだと思います。
数年後には人気になっている可能性もある!
3)時代が早かった
3つ目の共通項は、ただただ残念な「時代が早かった」という時期尚早なモデルたちです。
実際、2005年6月に発表して12月には販売終了となってしまったホンダ・エレメントや、2007年から2010年までと短命に終わってしまったクロスロードといったモデルたちは、新車当時は個性的すぎて販売がうまくいかなかったのに、時代の流れとともにやっとその魅力が理解され始め、そこに目をつけた人たちが飛びついて中古車価格がグンと上がったという状況。
ゴッホの絵が、本人亡き後にようやく世間に認められたというようなことが、クルマにも起こりうるというのは興味深いところです。現在、マツダのMX-30もとても個性的で販売では苦戦していますが、何年後かに大人気となるような可能性もあるのではないでしょうか。
4)高級・上質という言葉が期待値を上げすぎている
4つ目の共通項は、「高級・上質という言葉が期待値を上げすぎている」ということ。
昔から、同クラスのライバルと比べて「ワンランク上」とか「高級車」などという言葉をCMやカタログで使うのはナンセンスと言われてきましたが……。すでに生産終了がアナウンスされたトヨタ・エスクァイアに、ややそんな印象を受けていた人もいるのではないでしょうか。
ノアとヴォクシーがあり、中身は同じということはみんな知っていることなので、どちらかというと本当の高級感というよりは、小手先で高級感を演出しているように見えてしまったのかなとも思います。
価格設定からしても、アルファード/ヴェルファイアのような高級感を出すのは難しいはずですが、買う側からするとそのレベルを期待してしまうという、その感覚のズレもあったのではないかと思います。
ということで、時代の空気や景気、ライフスタイルや流行など、いろんな要素が奇跡的にぴたりとハマると大ヒットモデルが生まれる、そうでないとモテないクルマになってしまう。そんなことが見えてきたように思います。
でも数年後に時代が変わり、いきなり脚光を浴びるクルマもいるのがとても面白いところ。今後も、クルマたちのモテ度に注目していきたいと思います。
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みんなのコメント
マツダは車種ばかり増やしても、総売り上げ台数は下降線の一途。
同じ価格で車買うならトヨタにするわ~って最終的に行き着く