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フォーミュラEは想像以上に面白い!──波乱のレース展開だった香港戦レポート

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フォーミュラEは想像以上に面白い!──波乱のレース展開だった香港戦レポート

“電気自動車のF1”と呼ばれることもあるレースが「FIA フォーミュラE チャンピオンシップ」だ。FIA(国際自動車連盟)主催の電気自動車レースで、2014年から始まった。今年で5年目のシーズンを迎える。

今シーズンは2018年12月15日に開幕し、13戦開催される。サーキットではなく、世界各国の都市やリゾート地の市街地特設コースでおこなわれる。

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タイヤ(ミシュラン社製、1レースで1セットしか使えない!)やシャシー(ダラーラ社製)、バッテリーはすべてのチームがおなじ。しかし、電気モーターやインバーター、トランスミッション、マネジメントメントシステムは、各チームが独自に開発したものを搭載する。なお、レースは1日で予選と決勝の両方がおこなわれる。

現在参戦しているのは、「DSオートモビル」、「ヴェンチュリ」、「マヒンドラ」、「ジャガー」、「アウディ」、「BMW」、「NIO」、「ヴァージン」、「日産」。今後、「ポルシェ」、「メルセデス・ベンツ」も参戦予定という。ちなみに、今回、3月10日におこなわれた香港戦には10チーム・22台が参戦した。

フォーミュラEのユニークなルールに「アタックモード」と「ファンブースト」というものがある。アタックモードは、一時的にパワーアップ(200kWから225kW)して走行出来るルールだ。レース2周目からアタックモードは使用可能で、使用できる時間はレース毎に異なるという。また、使用中はドライバーの頭上にあるLEDライトが青色に点灯する。

もうひとつのファンブーストは、さらにユニークだ。ファンがオンラインで好きな選手に投票、投票数の多かった上位5名のドライバーに「エキストラパワー」がプレゼントされるのだ。このエキストラパワーはレース中1回のみ使用可能で、モーターを10%前後(約40ps)パワーアップできる。

2018~2019年シーズンは、マシンが「Gen2(第2世代)」へ大きく変わった。第2世代はシャシーが新型になり、また安全性が向上した。

また、前シーズンまではバッテリー容量の都合上、レース中にマシンの乗り換えが必要だったが、Gen2は容量が増えたため、それもなくなった。後輪の回生ブレーキも新システムが採用された。

今回、筆者は2019年3月10日におこなわれた香港のレースで、今シーズンから参戦した「日産 e.dams」を取材した。

日産がフォーミュラEに参戦中であることを知らない人も多いだろう。なぜ、フォーミュラEに参戦したのか? 現地にいた日産グローバル・モータースポーツ・ダイレクターを務めるマイク・カルカモ氏に聞いた。

「日産のEVは、1947年に登場した電気自動車『たま』に遡ります。つまり、EVについてはパイオニアであり、かつ現在は『リーフ』などの販売によって業界をリードする存在です。ですから、ロードカーのみならずレーシングマシンでもEV業界をリードしたいと思ったから参戦しました。また、フォーミュラE参戦によって、EVの有用な基盤技術を得ることができます。市販車の開発にも役に立つはずです」と、述べた。

日産 e.damsは、初戦のサウジアラビアでセバスチャン・ブエミ選手が6位、ルーキーのオリバー・ローランド選手が7位だった。第2戦のマラケッシュではブエミ選手が8位、第3戦のサンディアゴでは、ブエミ選手がポールポジションを獲得したものの、両選手ともにリタイヤした。第4戦のメキシコシティでも、ローランド選手が4番手でスタートしたものの、2台とも電欠によりリタイヤに終わった。フォミューラEの優勝ドライバーは毎回変わっており、F1などと異なり“絶対王者”がいない。

第5戦となった香港の市街地に特設されたコースは全長約1.8kmだ。ローランド選手にコースの印象を聞くと、「エンジニアとコースを歩いたけど、きちんと整備されていない箇所が多かったですね。また、コース幅の狭い箇所が多く、壁も多い。比較的、難しいコースですね」と、述べた。

難しいコースを攻略する秘策はなにかあるのか? ブエミ選手に聞いた。

「決勝は雨の予報なので、より緻密なエネルギーマネージメントが重要になります」

ちなみにローランド選手は、「香港戦に限った話ではないですが、(自身が)太りやすい体質なので、総重量をすこしでも軽くするべく、体重のコントロールにも気を使っていますよ」とのことだった。

予選・決勝前日のフリー走行で、選手たちは雨にぬれた路面を走行し、レース本番に備えた。しかし翌日は、雨が降り続けると言われた予報に反してときどきぱらつく程度。路面はあっという間にドライへ……。気温18度だった。

予選は、ローランド選手がトップタイムを記録。予選タイムの上位5人が進める「スーパーポール」に進出し、2位に入った。

決勝レースは、2番グリッドからスタートしたローランド選手が、早々にトップへ。しかし、マヒンドラのパスカル・ウェーイン選手とジェローム・ダンブロジオ選手の接触によって赤旗が出てしまい、一時中断されてしまった(なお、2台はともにリタイア)。

このアクシデントもあり、7周目にローランド選手は大きく順位を落とす。その後、トップを走っていたアウディのバード選手がオーバーランし、DSオートモビルのロッテラー選手がトップに。

熾烈なトップ争いのなか、ブエミ選手も途中6位まで順位を上げたもののサスペンショントラルブによってリタイア。その後、各チームがアタックモードを使用し、バード選手とロッテラー選手の一騎打ちとなるなか、ローランド選手はメカニカルトラブルにより30周目にリタイアした。

そのあとは波乱の展開で、2番手を走っていたバード選手がトップのロッテラー選手に追突し、ロッテラー選手の右リアタイヤがパンク。ロッテラー選手は順位を大きく落とし、バード選手がトップでゴールを通過した。

優勝はバード選手が……と、思いきや、ロッテラー選手への追突行為について審議された結果、降格となってしまい6位に。優勝は、次点のヴェンチュリーのモルタラ選手だった。

日産チームが、両選手ともにリタイアだったのは残念だった。ぜひ今シーズン中に優勝する姿を見たいものだ。レース自体は相当面白かった。ルールは少し複雑かもしれないが、見ていて飽きない。EVは、市販車のみならずモータースポーツの世界をも変えるだけの力があるのでは、と思うのであった。

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