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ベントレーが「W型12気筒」エンジンの生産終了を発表。大排気量マルチシリンダーエンジンは終焉へと向かうのか

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ベントレーが「W型12気筒」エンジンの生産終了を発表。大排気量マルチシリンダーエンジンは終焉へと向かうのか

2023年2月23日(英国現地時間)、ベントレーはW型12気筒ガソリンエンジンの生産を2024年4月に終了すると発表した。生産終了までには、10万台以上のW12エンジンが生産されたことになる予定だ。

狭角V型エンジンを合わせたユニークなW型エンジン
ベントレーの、というよりは正確にはフォルクスワーゲン グループのW型エンジンは、狭角V型エンジンを2つ組み合わせたもので、シリンダーバンクは4つ備わる。つまりW12エンジンは、狭角V6エンジンをふたつV型に組み合わせている。このエンジンは、2001年の東京モーターショーにフォルクスワーゲンが出展したコンセプトカー「W12 ナルド」に初搭載された。

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その後、フォルクスワーゲンのフェートンやトゥアレグ、アウディ A8など、フォルクスワーゲン グループの車両にW12エンジンは搭載された。ベントレーでは、2003年に発表された初代コンチネンタルGTからW12エンジンが搭載されている。また、ブガッティ ヴェイロンには狭角V8エンジンを組み合わせたW16エンジンが搭載された。フォルクスワーゲン グループで最後までW12エンジンを搭載していたのはベントレーだったが、ついに2024年4月でW12エンジンの生産を終了することになった。

ベントレーは「ビヨンド100」と呼ばれる戦略を通じ持続可能な未来に向けて加速しており、W12エンジンの生産終了はその一環となる。2030年までに全モデルラインを完全に電動化し、ベントレーは、CO2の車両平均排出量を0g/kmまで削減することを目指している。この戦略の一環としてベンテイガとフライングスパーにはハイブリッドモデルが導入され、これらのモデルは予想を上回る支持を受けている。

W12エンジン搭載車をご所望なら、オーダーはお早めに!
2024年、W12エンジンの生産が終了すると、ベントレーの全モデル ラインナップにハイブリッド パワートレーンのオプションが用意される。そして、代表車種であるコンチネンタルGTに初めて搭載され、この20年間、比喩的にも文字どおりの意味でもベントレーを動かしてきたW12エンジンは、その歴史に幕を下ろすことになる。

ベントレー W12エンジンの最もパワフルなバージョンの開発作業は最近終了した。マリナーが製作するわずか18台のベントレー「バトゥール」に搭載される、この強力なエンジンは、究極のイテレーション(開発サイクル)により、最高出力は750ps、最大トルクは1000Nmを発生することが確定している。トルクの増大により、ベントレーらしい「トルクの山」は1750rpmから5000rpmまで続き、5500rpmで最大のパワーを発揮する。

非常に過酷な一連の耐久性テストを経て、改良されたバトゥール用のW12エンジンは、これまでと同様に信頼できることが証明されたため、これまでで最もパワフルなロードゴーイング ベントレーに搭載される。なお、バトゥールは既に全車売約済みだが、コンチネンタルGT、ベンテイガ、フライングスパーのスピードバージョン、コンチネンタルGT マリナー、フライングスパー マリナーに搭載される659ps版のW12エンジン搭載モデルは、引き続き限定数で注文することが可能だ。

最後のW12エンジンを搭載するこれらのスピードモデルおよびマリナーモデルは、人気になることが予想される。史上最後の12気筒ベントレーを手に入れたいと考えるカスタマーは、その受注終了時期が市場毎に異なるので、なるべく早く販売店に連絡して欲しいとベントレーはアナウンスしている。

もはや大排気量マルチシリンダーエンジンは風前の灯火か?
ベントレーは、クルーにあるカーボンニュートラルなベントレーの工場でW12エンジンを一つ一つ手作業で組み立て、テストしている22人の熟練工全員を再教育し、再配置する予定だ。また、W12エンジンの生産施設は、プラグインハイブリッドモデルに使用される他のベントレーエンジンのための拡張ラインに移行する予定だ。

2003年に6.0LツインターボのW12エンジンが初めて導入されて以来、クルーのエンジニアリング チームは、パワー、トルク、排気ガス、洗練性の面でエンジンの性能を継続的に向上させてきた。この20年間で、出力は37%、トルクは54%向上しながら、排気ガスは25%削減された。当初は、制御システムの進化と最適化、オイルや冷却設計の改善、ターボチャージャー技術、より効果的な噴射・燃焼プロセスによってこれらを実現した。

だが2015年のベンテイガの発売にあたり、W12は完全に再設計され、気筒休止、直噴およびポート噴射、ツインスクロールターボを特徴とするエンジンとなり、現在もこのバージョンが生産されている。

W12エンジンは、職人の手によって6.5時間かけて組み立てられ、その後、3台の専門診断機によって1時間以上にわたる高度なテストが行われる。毎週、1台のエンジンが長時間のテストサイクルで運転され、検査のために完全に分解される。

そんな「職人技術の塊」のようなW12エンジンも、カーボンニュートラルや電動化の波に押され、退陣を余儀なくされる。もはや、大排気量のマルチシリンダーエンジンは、どこのメーカーにおいても生産縮小もしくは終了を迎えているのは、時代の流れからして仕方ないことなのかもしれない。

ちなみに、ベントレーのW12エンジン工場は、2023年にその生産開始から20周年を迎えるころには10万5000基以上のエンジンを納品してきたことになるという。

[ アルバム : ベントレーのW12エンジン はオリジナルサイトでご覧ください ]

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