「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、プジョー RCZだ。
プジョー RCZ(2010年)
スポーツカーやスペシャルティカーに憧れ、所有したいと思っても、現実を考えるとセダンやワゴンばかり乗っている・・・という人は少なくないはず。やはり、スペシャルティなクーペは走りとスタイルを優先させた、とてもゼイタクなクルマといえるだろう。だが思い切ってクーペを手に入れたい、と思ってみたものの、日本メーカーのクーペは減るばかり。だが、輸入車には魅力的なモデルが豊富にラインアップされている。
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そんなインポート クーペの中でも、最近の注目株はプジョーが日本に送り込んだ「RCZ」だ。数字を車名としていた従来のプジョー車とは異なり、高性能モデルに付けていた「RC」の称号と、究極を意味する「Z」を組み合わせたこのクルマ、メカニズムの下地はCセグメント ハッチバックの308から受け継いだFF車だが、ワイドに張り出した前後のフェンダーや、ルーフの左右を走るアルミのアーチ、いかにも手のかかっていそうなダブルバブルのルーフ&リアウインドーなど、フランスのオシャレ心にあふれている。
エンジンは1.6L 直4のガソリン直噴ターボ。BMWと共同開発したものだが味付けはプジョー独自で、200ps版が左ハンドル/6速MT、156ps版が右ハンドル/6速ATの組み合わせで導入される。今回試乗したのは、156psのベースモデルで車両価格は399万円。とはいえ、ナッパレザーシートなど装備は極めて充実しており、200ps仕様と異なるのはタイヤが18インチと1サイズ小さいくらいだ。
イージー&スポーティ派にちょうど良いセッティング
コクピットに乗り込むと、着座位置は実用車を得意としてきたプジョーとは思えないほどに低い。サイドウインドーが小さく包まれ感が強いが、狭苦しさがないのは例のダブルバブルルーフのお陰だろう。インパネの基本デザインも308系と大差ないものの、革張り&ダブルステッチ入りとなかなか豪華だ。右ハンドルでもステアリングやペダルにきちんと正対するドライビングポジションも良い。
室内は2シーターと割り切ったほうがいい。いちおう2名分のリアシートはあるが、背もたれは立っているし、ヘッド&フットスペースも最小。イザというとき2人乗れる保険のようなもので、普段はバッグ置き場と考えるのが無難だ。一方、ラゲッジスペースは長めのリアデッキの恩恵で321Lと意外に大容量だ。トランク側のレバーでリアシートバックを倒せば、639Lにまで拡大できる。
エンジン特性は、フラットトルクだ。低速域からトルクがしっかり出ているのは直噴ターボならではで、6速ATをうまく扱うと2000rpm以下でほとんどのシーンをこなす柔軟性がある。100km/h巡航のエンジン回転数は2100rpmとやや高めながら、高速主体ならオンボードの燃費計は11km/L台をコンスタントに出していた。これなら経済性も問題ないだろう。
オープンロードでアクセルを深く踏み込むと、快音とともに6600rpmのレブリミットを目指す。フラットトルクなので盛り上がり感はないが、厚みのあるトルクは1.6Lとは思えないほどだ。6速ATは低いギアがあまりクロスしておらず、今回の試乗でも2速では回り過ぎ、3速ではパンチ不足を感じることもあった。それでも、イージー&スポーティ派にはちょうどいいところだろう。
フットワークはしなやかだ。235/45R18というタイヤサイズを考えれば、ギャップのアタリもマイルドだ。その分、ステアフィールは少しダイレクト感に欠け、初期ロールもフワリと来るので最初はタイミングがつかみにくかったが、そこそこのペースで流していると、この適度な緩さが心地良くなるだろう。
■プジョー RCZ(AT) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4290×1845×1360mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1350kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:115kW<156ps>/6000rpm
●最大トルク:240Nm<24.4kgm>/1400-3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●タイヤ:235/45R18
●当時の価格<税込み>:399万円
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みんなのコメント
とにかくあちこち壊れます。
それでも買うなら信頼できる店で買うことですね。