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【クラシックカーディーラー】トラックのドライバーから珍しいクラシックカーの輸入販売へ クルマ馬鹿なんだね(笑) ガンバレー!

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【クラシックカーディーラー】トラックのドライバーから珍しいクラシックカーの輸入販売へ クルマ馬鹿なんだね(笑) ガンバレー!

レイモンド アユーブ: カーローダーからクラシックカーディーラーへ。彼はレバノンからやって来た。最初は車を積む運送ドライバーとしてスタート。現在、レイ アユーブ(43歳)は、珍しいクラシックカーの輸入販売をしている。

アメリカでお馴染みの食器洗い機のキャリアにちょっと似ている。1997年7月29日、19歳でドイツにやってきたレイモンド アユーブは、ドイツ語を一言も話せなかった。勉強がしたくて語学を習い、ハンブルクの港で荷役のアルバイトをして生活費を稼いでいた。船上で、船外で。「車」、「クレーン」、「ショベルカー」。車輪のあるものなら何でも」とレイは言う。

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その時、ドイツは彼にとって約束の地だったのだ。彼の父親は、ベイルートの北に自動車修理工場を持ち、レバノンを走る数多くの古いメルセデスタクシーを修理している。13歳になったレイは、初めて車のハンドルを握り、父親の白い1964年型「シボレー インパラ」で村中を走り回った。そして、15歳のときには、ずっと、「戦争が終わったばかりで、何もかもが荒んでいた」と、レイは語る。

高校卒業後、ベイルートで車の整備士になるために学んだ。もちろん、夢はメルセデスの整備だった。「その後、ドイツに行って何か新しいことを学び、いずれ戻って来て、ドイツの基準で自分の工房を開こうと考えていました」と彼は振り返る。

だが結局は違う結果となった。ハンブルクに留まり、2013年に郊外のノルトハイデ地方にあるヴェレに移り住む。元VWのディーラーを借り、すべてを改造したのだ。そして今、そこで自分の夢を叶えている。珍しいクラシックカーを売ることだ。

レイは自らアメリカのビッグカーオークションに出向く

この日の作業場の隣には、ドバイから輸入したトヨタの「ランドクルーザー FJ45」のピックアップが置かれている。壊れないのと同じくらい修復されていないのに、17,000ユーロ(約235万円)弱もするのだ。1つ先のホールでは、ブルーの「ダットサン280Z」を修理している職人がいる。この国では、この日本車はほとんど知られていない。1975年から1978年にかけてアメリカのみで販売され、長いボンネットの下には、2.8リッター直列6気筒が搭載されている。レイは、お客さまが求めるものをすべて提供している。

港での仕事を通じて、ドイツへの車の輸送方法を知っているのだ。そして、レイは自らアメリカの大きなカーオークションに足を運ぶようにもなる。レイは言う。「私は、そういうものの仕組みを知らなかったんです。最初はただ見ているだけだったが、次第に人脈を広げ、入札し、商品を買い付け、ハンブルクに運び、修復する。そんな車種は米国車ではなく、主に日本や欧州のメーカーのモデルです。たとえばポルシェ、VW、そしていつもダットサン」。

そこに座って、ジンを2、3杯飲む・・・

壁には、大きなライブのチケットが貼られている。彼は、世界で最も華やかなクラシックカーのオークションのひとつであるアリゾナ州スコッツデールにいた(数週間前、メルセデス300SLガルウィングが600万ユーロ=約8億4千万円でオークションにかけられたが、レイにとっては異次元のモデルだった・・・)。フロリダ州フォートローダーデール、カリフォルニア州モントレーにも行ったことがある。「そこに座って、2、3杯のジンを飲みながら、フェラーリが4,600万ドル(約63億5千万円)で売れるのを見るんだ(笑)」。

「ヴェルクツヴァイ(Werkzwei)」がレイの会社名だ。「クルマに第二の人生を与えたい、それが名前の由来です」。クルマを修復して完成させるために納屋を借りて改造しているのだ。現在は、1963年製の「VW T1」が「サンババス」として69,000ユーロ(約950万円)で販売されている。この車は、レイが日本から持ち帰り、レストアしたものだ。

コロナが輸入を阻止

彼のチーム: マスターコーチビルダーのイェンス マイヤー(62歳)は、かつて「フォード エスコートRS2000」でラリークロスのドライバーをしていた。その息子のパトリック(34歳)は画家、アレックス ライヒェルト(22歳)はメカトロニクス技術者として活躍している。

そんなビジネスだが、実際にはなかなか難しい。「長い間、経済的に苦しかったんです」とレイは言う。コロナ禍で、彼は旅行もできず、何も輸入することができなかった。そこで、現在では「フォード トランジット」や「オペル モッカ」の中古車など、日常的に使う車も販売し、事業を継続させている。

「でも、今、私は自分の夢を生きている」とレイは言う。そして、彼自身の車の艦隊は? 父親がレバノンで乗っていた、1960年代の「ランドクルーザー」、「シボレー インパラ」も所有している。当時はレイがボンネットに座っていたが、今では彼の子供たちがボンネットの上でポーズをとっている。しかし、まだハンドルを握ることは許されない(笑)。

プロフィール: レイモンド アユーブ

1978年レバノン生まれ、1997年よりドイツ在住。2011年、レバノン人のグラフィックデザイナー、カーラ(会社のロゴは彼女が作成)と結婚。2人の子供と一緒に、ハンブルク近郊の田舎に住んでいる。レイモンドはレバノンに自分の「トヨタ ランドクルーザー FJ40(1981年製)」を持っている。

【ABJのコメント】 私には想像もつかないほどの境遇の人が世界には多い。レバノンで戦争への不安を胸に抱きながら生活しなくてはいけない、という過酷な心情をおそらくいつまでたっても深い部分までは理解することは、平和で温室のような国に住んでいては感じることはできないであろう。それでもそこに住む人と同じ共通言語である「自動車」を通じて、少しでもコミュニケーションがとれることは、一人の自動車好きとしては素直にうれしく思う。

レイモンドのコレクションのガレージを見ると、そこにあるのは決してお金の価値だけで集められた自動車のみではないことがわかる。

ナローの「911」と初代「レンジローバー」と「マスタング」と旧い「ランドクルーザー」、そしてフォルクスワーゲンのバス。僕にはこの車種のセレクトを見ただけで(僭越ではあるけれど)、彼の自動車への愛情と、彼の自動車趣味が実にバランスのとれたまっとうなものなのかが直感的にわかるような気がする。そこにはフェラーリやランボルギーニの姿はないけれど、自動車好きの秘密基地は、(通常は)その人の好きな自動車とアイテムで統一感なく、知らない人には理解できないようなセレクションであることが多い。でもそれで良いのだと思う。その人が好きな自動車の世界は、その人の頭の中に描いた絵の具の色で描かれているし、それは他の人と違っていて当然であろう。どんな世界でどんな生活をしていても「自動車が好き」という共通言語はみな同じだし、だからこそ趣味の世界というのは素晴らしいともいえるのである。(KO)

Text: Holger Karkheck 加筆: 大林晃平 Photo: autobild.de

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