現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【最新モデル試乗】心ゆさぶる欧州車イーター、クラウンスポーツのダイナミックポイント

ここから本文です

【最新モデル試乗】心ゆさぶる欧州車イーター、クラウンスポーツのダイナミックポイント

掲載 24
【最新モデル試乗】心ゆさぶる欧州車イーター、クラウンスポーツのダイナミックポイント

全身で躍動を伝えるスタイリングが素晴らしい

 16代目クラウンの第2章が本格スタートした。フレッシュな造形で驚きを与えたクロスオーバーの発売から1年以上が経過。新登場のスポーツは4タイプある新生クラウンの中でも、ひときわ異彩を放つ。まるでコンセプトカーがそのまま世に出てきたイメージである。

トヨタ・クラウン・スポーツのプラグインハイブリッドモデルが登場

 20代の若手デザイナーが描いたイメージスケッチが素晴らしかったので、それを忠実に再現しようと開発陣は奮起。絶対にカタチにするという強いモチベーションのもと、生産サイドにも協力してもらい、特別な工法と最新のシミュレーション技術を駆使して、市販にこぎつけたという。

 クロスオーバー(全長×全幅×全高4930×1840×1540mm/ホイールベース2850mm)に対し、スポーツ(同4720×1880×1565mm/2770mm)は走りを意識した造形である。クロスオーバー比で全長とホイールベースを詰めるとともにオーバーハングを短くし、大径ホイールを組み合わせたことで、タイヤが四隅で踏ん張った凝縮感を演出した。全高はクロスオーバーより少し高くなっているが、SUVとしては抑えられている。ライバルと目されるポルシェ・マカンやメルセデスGLCクーペよりも明確に低い。

 グラマラスなボディパネルは街の建物や木々がクルマにどのように映り込むかを意識し、その変化の美しさを意識しながらデザインしたもの。最大の難所だったというリアフェンダーは、ボリューム感満点。見れば見るほど1枚の鉄板でよくこんな形状のパネルを量産できるものだと感心した。

 インテリアは、かつてないアシンメトリーなカラーを採用。助手席側と運転席側で配色を変えることで、適度な包まれ感と、運転するワクワクを感じてもらえるようにしたという。
 ユーティリティ面ではハッチバックである点が特徴。スタイリングを重視し荷室容量を多少は割り切ったというものの、不便に感じることのない広さが確保されている。

 クーペ的なキャビン構成ながら乗降性に優れ、運転しやすいパッケージングにまとめたのも特筆ポイント。外見から想像するよりも居住性はいい。適度に高めのアイポイントがもたらす運転席からの視界は心地よく、あまり期待していなかった後席も、ヒップポイントの高さや着座姿勢の工夫により落ち着ける。ヘッドクリアランスはセダンよりもむしろ広い。ニースペースやヒール段差も十分に確保されており、後席に大切なゲストを招く際にも躊躇しなくていい。

燃費で輸入車を圧倒。徹底した足回りのこだわりに感動した

 パワートレーンは、熟成のハイブリッドがメイン。スポーツはPHEVの2グレード構成だが、先行発売された2.5リッターのハイブリッドは経済性に優れる。1.8トンを超える車両重量のSUVながら、21.3km/リッターのWLTCモード燃費を達成した点は素晴らしい。

 ハイブリッドはトヨタにとってはごく当たり前のシステムながら、欧州勢と比較するとアドバンテージが際立つ。輸入車で、これほど燃費がいいクルマはない。高回転域まで回したときのエンジン音に色気がなく、物足りなさを感じる場面はあるが、応答遅れは小さくパフォーマンス的にも満足できる。

 開発陣は、足回りについて「ただ硬いだけがスポーツではない」という思いを貫いたと語る。パッケージング/部品/チューニングという、大別して3つの要素のすべてで、新たなスポーツ像を追求したという。実際にドライブしても、硬さを感じない仕上がりになっていた。

 それぞれの要素を見ていこう。まずパッケージング面では、ショートホイールベース化するとともにオーバーハングを短くする手法で、物理原則に則って俊敏な回頭性を得ることを追求。部品については、クロスオーバーと同様に、後輪を操舵するDRSと左右の後輪にベクタリング機構を備えた4WDシステムを搭載した。そのうえで入念なチューニングを施してクロスオーバーとの個性の違いを明確にし、一般道から高速まで、どの速度域でも俊敏な動きを実現できるよう味付けしたという。

 乗り心地面はサスペンションの摩擦低減にこだわり、路面からの入力をいなすように作り込んだ。スポーツの足は引き締まっていながらもよく動く。スポーティさとしなやかさを巧みにバランスさせた印象である。

 先読みして運転操作をサポートするというPDA(プロアクティブドライビングアシスト)は、先発の車種では少々おせっかいな感じがあったが、それがだいぶ薄れていた点も好印象。しかもスポーツモードでは、より俊敏な回頭性を楽しむことができる。万人にとって有益なデバイスに違いない。

 スポーツは「革新と挑戦」をキーワードとする16代目クラウンの中でも、イメージリーダー的な立場を占める。世界を見わたしても、これほど存在感があり、走りも楽しめて、しかも燃費や実用性にも優れる1台は貴重である。スポーツは、多くの魅力を放つパーソナルカーの代表といっていい。 

トヨタ・クラウンスポーツ主要諸元

グレード=Z
価格=THS 590万円
全長×全幅×全高=4720×1880×1565mm
ホイールベース=2770mm
トレッド=フロント:1605/リア:1615mm
車重=1810kg
エンジン=2487cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=137kW(186ps)/6000rpm
最大トルク=221Nm(22.5kgm)/3600~5200rpm
モーター最高出力=フロント:88kW(119.6ps)/リア:40kW(54.4ps)
モーター最大トルク=フロント:202Nm(20.6kgm)/リア:121Nm(12.3kgm)
WLTCモード燃費=21.3km/リッター(燃料タンク容量55リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:19.1/22.7/21.6km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:リア:ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/45R21+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m

こんな記事も読まれています

かつては最速の「前輪駆動」 クーペ・フィアット UK版中古車ガイド(2) 5気筒ターボは長寿命!
かつては最速の「前輪駆動」 クーペ・フィアット UK版中古車ガイド(2) 5気筒ターボは長寿命!
AUTOCAR JAPAN
アルファGTVとシャシーが共通! クーペ・フィアット UK版中古車ガイド(1) バングルの自己主張ボディ
アルファGTVとシャシーが共通! クーペ・フィアット UK版中古車ガイド(1) バングルの自己主張ボディ
AUTOCAR JAPAN
ポルシェvsトヨタの首位争いは横転クラッシュのSCで仕切り直しに。混戦のまま終盤戦へ/ル・マン決勝18時間後
ポルシェvsトヨタの首位争いは横転クラッシュのSCで仕切り直しに。混戦のまま終盤戦へ/ル・マン決勝18時間後
AUTOSPORT web
【途中経過】2024年WEC第4戦/第92回ル・マン24時間 決勝18時間後
【途中経過】2024年WEC第4戦/第92回ル・マン24時間 決勝18時間後
AUTOSPORT web
なぜクルマに「馬のひづめ」? ナゾの昭和カスタム文化 どんな意味があったのか?
なぜクルマに「馬のひづめ」? ナゾの昭和カスタム文化 どんな意味があったのか?
乗りものニュース
ニッサン新型「小さな高級車」公開! オシャ内装&タフ外装の「コンパクトSUV」に「斬新デザイン!」の声も! 「新キックス」米登場で反響集まる
ニッサン新型「小さな高級車」公開! オシャ内装&タフ外装の「コンパクトSUV」に「斬新デザイン!」の声も! 「新キックス」米登場で反響集まる
くるまのニュース
トラックドライバーを苦しめる「高速深夜割引」の改訂! 高速料金を自腹で払う運転士には痛手でしかない
トラックドライバーを苦しめる「高速深夜割引」の改訂! 高速料金を自腹で払う運転士には痛手でしかない
WEB CARTOP
井戸田潤、2台のメルセデス・ベンツで揺れる恋心!?ファミリーカー購入決断か!?
井戸田潤、2台のメルセデス・ベンツで揺れる恋心!?ファミリーカー購入決断か!?
グーネット
電動車2650台以上提供! 「トヨタ」はなぜ、パリ五輪参加にこれほど労力を注ぐのか
電動車2650台以上提供! 「トヨタ」はなぜ、パリ五輪参加にこれほど労力を注ぐのか
Merkmal
愛車の履歴書──Vol41. 大黒摩季さん(前編)
愛車の履歴書──Vol41. 大黒摩季さん(前編)
GQ JAPAN
なんというスケール…高速道路上の巨大「足場要塞」ついに潜入 「石ころ一つ落とさない」ために準備6年!? 今まさに格闘中!
なんというスケール…高速道路上の巨大「足場要塞」ついに潜入 「石ころ一つ落とさない」ために準備6年!? 今まさに格闘中!
乗りものニュース
テインの車高調「フレックスZ」がシエンタ、ヤリスクロス、RAV4、インプレッサスポーツの適合を追加
テインの車高調「フレックスZ」がシエンタ、ヤリスクロス、RAV4、インプレッサスポーツの適合を追加
レスポンス
イギリス流の高級──新型レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーD300試乗記
イギリス流の高級──新型レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーD300試乗記
GQ JAPAN
「モータースポーツは残酷だ」アルピーヌA424の初ル・マンは2台ともにエンジントラブルでリタイア
「モータースポーツは残酷だ」アルピーヌA424の初ル・マンは2台ともにエンジントラブルでリタイア
AUTOSPORT web
「ぶら下がっているタイプの給油器」見なくなったのはなぜ!? 数を減らすのも仕方ない理由とは
「ぶら下がっているタイプの給油器」見なくなったのはなぜ!? 数を減らすのも仕方ない理由とは
乗りものニュース
日本じゃ買えない“日本ブランドのプレミアムSUV” アキュラ「MDX」2025年モデルが米国で登場 MDXってどんなクルマ!?
日本じゃ買えない“日本ブランドのプレミアムSUV” アキュラ「MDX」2025年モデルが米国で登場 MDXってどんなクルマ!?
VAGUE
車の「ナンバープレート」 「記念に」取っておける!? 長年親しんだ“思い出のナンバー” 手元に残す方法とは
車の「ナンバープレート」 「記念に」取っておける!? 長年親しんだ“思い出のナンバー” 手元に残す方法とは
くるまのニュース
【F1メカ解説】ライバルに追い付かれつつあるレッドブル、リヤウイング翼端のトレンドに新たな風を吹き込むか
【F1メカ解説】ライバルに追い付かれつつあるレッドブル、リヤウイング翼端のトレンドに新たな風を吹き込むか
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

24件
  • blu*****
    欧州でのデザイン評価はヒョンデやキアに後塵を拝する日本勢・・・
    いい加減しっかりデザインにも力を入れて欲しい
  • pik********
    欧州車イーターって何?コンプレックス丸出しw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

26.8890.5万円

中古車を検索
クラウンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

26.8890.5万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村