1994年の初代デビュー以来、国産ミニバンのパイオニアとして君臨してきたホンダ・オデッセイはその5代目で日本仕様の生産を終了。2021年12月24日、クリスマスイブの日のことだった。およそ28年もの長い歴史、長い冒険旅行(オデッセイの意味)に、いったん、終わりを告げたのである。
3年ぶりに公道を走らせた印象は?
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5代目オデッセイ日本仕様最終型
しかし、ホンダのミニバンファンは多く、再発売の声が高まったのも事実(ホンダの社内からも)。そこで、継続販売されていた中国生産モデルを逆輸入し、5代目オデッセイの一部改良モデルとして、日本国内に再投入することが決まった。2023年12月7日に発表、12月8日に再発売されたのである。
この@DIMEではすでに5代目オデッセイ一部改良モデルの概要について報告済みなので、ここでは、個人的には3年ぶりに公道を走らせたレポートをお届けしたい。なお、5代目一部改良型オデッセイは人気のe:HEVアブソルートのみのラインナップで、パワーユニットは2Lエンジン(145ps、17.8kg-m)+モーター(184ps、32.1kg-m)+CVT、駆動方式はFFの組み合わせのみ。グレードはベースのe:HEVアブソルート、中間のe:HEVアブソルートEX、最上級のe:HEVアブソルートEXブラックエディションの3タイプが用意され、今回試乗したのは、ベーシックタイプの17インチタイヤを履く(EX以上は18インチ)、480万400円の車両価格となるe:HEVアブソルートである。なお、先進運転支援機能のホンダセンシングはすべてのグレードに惜しみなく標準装備されている。
E:HEVアブソルートの17インチタイヤ&ホイール
ガッチリとした開閉感、バスっと締まるフロントドアを開け、運転席に乗り込めば、まずは前型とは違うホンダの最新モデルに用いられているボタン式エレクトリックセレクターが目を引く。そしてパドルシフトの装備も前型e:HEVアブソルートになかった機能装備となる。
走り出せば、出足は基本的にEV走行だ。EX以上の18インチタイヤではない17インチタイヤの装着でも、ズシリとしたパワーステアリングの操舵フィールはホンダのミニバンらしいスポーティなタッチを伝えてくる。言い方を変えれば、スポーツモデルからの乗り換えでも、納得しやすい乗り味、ステアリングフィールということだ。
5代目オデッセイは、オデッセイ初の両側スライドドアを備えた、3/4代目の低全高パッケージからまっとうなLクラスミニバンスタイルに変貌したのが特徴だったが、初期型の乗り心地はライバルメーカーのミニバン開発担当者が「オデッセイはミニバンの皮をかぶったスポーティカー。我々はそこまでできない」と言い放ったぐらいで、かなりスポーティで硬めだった。ファミリーミニバンとしてうっかり初期型を買った知り合いは、とくに家族が乗る後席の乗り心地の硬さから大ブーイングを受けた・・・なんていう話もあったほどである。もちろん、後期型ではいくぶん解消され、乗り味の骨太さは残しつつ、上質でフラットな乗り心地にまずまず満足できたことを覚えている。
この5代目一部改良型オデッセイ・アブソルートは、日本仕様最終型とプラットフォーム、パワーユニット、足回りなどに変更はないというが、少なくとも17インチタイヤを履くe:HEVアブソルートの乗り心地が硬すぎる・・・ということはない。首都高速道路のきつい段差の乗り越えでも、体験した1/2列目席なら大ブーイングとは無縁だろう。つまり、5代目オデッセイ・アブソルートとして熟成された乗り心地を、決してコンフォート寄りではないものの、手に入れているわけだ。
車内の静かさもさすが、日本におけるホンダミニバンのトップレンジに相応しいものだった。とくにロードノイズの遮断と、エンジンモードでエンジンを中高回転まで回した時の車内に侵入するエンジンノイズは快音かつ適度に遮断され、上級サルーン並みの車内の静粛性を実現している印象だ。
動力性能に関しては全グレード同一だが、モータ―パワーに余裕があるため、ストロングハイブリッドならではのスムーズかつトルキーな加速力が持ち味だ。アクセルオフからのアクセルオンでのレスポンス、トルクのツキも申し分なく、走りやすさに直結。前型e:HEVアブソルートになかったパドルシフト(減速セレクターと呼ぶ)によって、スピードコントロールがしやすくなり、下手にブレーキを踏むよりずっとスムーズな減速が可能だから、乗員もより快適にドライブを楽しめることになる。パドルシフト(減速セレクター)は決してスポーティな走りを楽しむためのものではないのである。
まだ未試乗だから、5代目改良型のe:HEVアブソルートEX、ブラックエディションの18インチタイヤの乗り心地や操縦性は現時点で断言できないが、2021年に国内仕様の最終型、18インチタイヤ装着車に乗ったこの@DIMEの試乗レポートでは、「最新のオデッセイ・アブソルートは、硬質な走りの質感、スポーティな操縦性、ミニバンとは思えないフットワークテイストはそのままに、乗り心地を改善。今や家族からのブーイングなど出ないであろう乗り心地(決して柔らかくはないが)、完成度を誇っている」とあり、よりスポーティなミニバンを望むなら、乗り心地が多少、硬くなったとしても、EXグレードの18インチタイヤ装着車が理想的になるに違いない。
E:HEVアブソルートEXブラックエディション
電子パーキングブレーキ、AC100V/1500Wコンセントの設定にはやや不満も
そうそう、オデッセイの2列目席はキャプテンシート(ベンチシート仕様なし)に着座してみれば、パワー化はもちろん、アームレスト、ミニトレー、折り畳み式テーブルの高級感が新しい。前型はプレミアムクレードルシートと呼ばれ、シート表皮下に20mmほどのウレタン層を用いていたシートのソファ感覚のかけ心地の良さは今も健在(フレーム、クッションなどは不変だそうだ)。居心地そのものは文句なくレベルアップしている。EXグレード以上は本革シートとなり、一般的には硬めのかけ心地になるのだが、このプレミアムクレードルシートを基本とした新本革パワーシートのかけ心地は体に優しい一流の仕立てであることを確認できた。ちなみに2列目キャプテンシートはロングスライドも可能で、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で膝周り空間は実測約780mm!!に達する。最新のアルファードが同530mmだからその差は歴然。前席が遥か遠い・・・と思えるほどの足元の広さが自慢である。
ただし、5代目国内仕様で不満だった電子パーキングブレーキの作動に関しては、そのままだ。つまり、発進する際は、アクセルペダルを踏めば自動解除されるのだが、パーキングブレーキをかける際は、インパネ右端のスイッチによる手動なのである(今や軽自動車のN BOXだって全自動だ)。それも作動方向が逆だったりして、改善を願っていたところだが、そうはならなかったのが残念。また、e:HEVモデルにトヨタや日産のHVミニバンにも用意されるAC100V/1500Wコンセントの設定がないのも(e:HEVステップワゴンも)、アウトドアや車中泊全盛の時代、そして災害時の電源供給の可否としても、これまた残念である。
とはいえ、国産ミニバンの中で、オデッセイの属するLクラスは(アルファードやエルグランドはLLクラス)ほぼ唯一の存在であり、またこれほどまでにスポーティに気持ち良く走れるミニバンはそうはない。その意味では貴重な1台の復活と言っていい。
ホンダ・オデッセイ
文・写真/青山尚暉
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みんなのコメント
頭悪い雑誌は直ぐアルヴェル引き合いに出して比べるけど、オデッセイは何処のモータージャーナリストのインプレ見ても走りの良いミニバン目指してる事が分かる。
根本的にトヨタのミニバンとは方向が違うんだよ。
ミニバンに其れ求めてるのか?な話しだけだと思うが、欧米でも走りのミニバンは存在するし、ホンダは走りに拘るメーカーだからユーザー層は限られるがアリだろ。