昨年にSUVになるという噂のあった次期型クラウンに、今度は「前輪駆動になる!」という内容の報道が……。カムリと同じFF用のGA-Kプラットフォームを採用することになるだろうという。
この報道のように、クラウンがFFレイアウトを採用した場合、その次期モデルはこれまでのクラウンオーナーを納得させるだけの乗り味を実現することはできるのか?
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モータジャーナリストの岡本幸一郎氏は次のように考察する。
文/岡本幸一郎
写真/TOYOTA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】FFになったそれはクラウン? 画像を見ながら考えてみませんかー!
■現行型クラウンはそんなに売れてないわけではない!?
少し前にはSUVになると報じられて驚いていたら、今度は前輪駆動のFFになるという新たな情報が出て、さらにビックリしているところだ。そういえばマツダが開発中のFR車とプラットフォームを共有するという話もあったはず。いったいどうなっているんだろうか。
真実はいずれ明らかになるだろうが、とりあえず次期クラウンがなくなることはなく、何らかの形で存続することは間違いないと考えてよさそうだ。
次期型型クラウンの予想CG。FF用のGA-Kプラットフォームを採用するという情報があるが、FFでもFR的なプロポーションは維持できるのだろうか?
それにしても、セダンの低迷が言われるようになってひさしいが、こうしてさまざまな憶測がなされるのは、ついにクラウンも本格的にこれまでのままでは立ちいかなくなってきたということだろうか。
そこで、トヨタ広報の協力を仰いで、ゼロクラウン以降の販売の傾向を調べてもらったのがこちらである。
筆者がトヨタ広報に協力を仰ぎ作成したクラウンの販売傾向。世代ごとに購入層が高齢化しつつスポーティ仕様の販売比率が伸びている。どの世代も法人需要を個人需要が上回る。代替えの割合が大きい。といった情報が読み取れる
意外と世代間での販売台数の差が小さいことや、やはりクラウンを乗り継ぐ人が多く、とくに現行型では増えていること、アスリート系の販売比率が高いこと、オーナーの平均年齢が上がっているであろうことなど、表を見ていろいろ思い至るところはあるが、現行の15代目も、それほど状況は悪くないというのが率直な印象だ。
■「販売苦戦」の本当のトコロ
2018年6月に発売された15代目は、同年末までに4万台近くを販売し、月販目標台数として掲げていた4500台を翌2019年3月まで、同年2月を除いて大半の月で余裕をもって達成した。
15代目こと現行クラウン。定性的に「売れていない」と言われてはいるが、販売開始から3年足らずで10万台以上売れている
以降は目標には届いていないが、2019年も年間で3万6125台を販売。
翌2020年は、それまでトヨタ店の専売だったところ5月から全店で扱われるようになったものの、コロナ禍の影響もあって、2万2173台まで落ち込んだとはいえ、2021年5月までに3年たらずで約10万7000台も販売しているのなら、充分に健闘しているように思える。
このご時世に月販4500台というのは現実的には目標設定が高すぎる感もあり、そこに達していないことから販売苦戦と評するのも違う気がする。
ここ20年ほどのクラウンを振り返ってみると、12代目のゼロクラウンはパーソナルなイメージもあり、オーナーの若返りを図ることもできて、成功だったと思う。次の13代目では、ハイブリッドがひとつの顔になった。こちらも概ね成功だったと思う。
12代目の通称「ゼロクラウン」。この世代から、若い世代の購買比率を気にする素振りが見られるようになった
12代目の正常進化版である13代目。ハイブリッド仕様がひとつの顔になり、一方のアスリートはサーキットで下手なスポーツカーをカモれるようなスポーティ志向になった
次の「Re BORN」と打ち出した14代目では、アスリートの顔が話題となった。リボーン=生き返るというほど死んでもいないのにと思ったものだが、意気込みは伝わってきた。
ピンククラウンという奇抜なアイデアも具現化した。ハイブリッドの存在感が一気に高まったのもこの世代だ。そして現行の15代目は、そのコンセプトをさらに発展させた世代と解釈している。
ピンククラウンで話題になった14代目。保守的なイメージに挑戦するポップなカラーを2013年発売、特別仕様車とした
■15代目は独プレミアムに真っ向勝負を仕掛けた
思えば、現行クラウンが登場した頃に開発関係者と話す機会があった際に、ドイツのプレミアム勢のセダンが日本でも好調に売れているのだから、クラウンもやればできるはずという旨を話したことを印象深く覚えている。そのためにRSのようなモデルを本腰を入れて開発した。
乗り心地は多少犠牲にしても走りを優先したような味付けは、販売的にはどうかと思っていたのだが、オーナーの年齢層が上がっているにもかかわらず、この路線を支持する層が一定数いることは表でも明らかだ。
外観について、フロントデザインは先代のアスリートでやりすぎたところを、その特徴を巧く残してクラウンらしさを表現しつつも、嫌悪感を抱かせることのないものとなったのはよいことだと思う。
半面、シックスライトウインドウは裏目に出たような気がしてならない。クラウンに新風を吹き込もうとこれまでと違うことに挑戦したのはわかるのだが、RS系はまだしも、標準系はいまだに似合うとは思えないまま。周囲からもあまりよい評判は聞こえてこない。
現行型は先代型に比べてフロントデザインはよくなったが、「シックスライトウインドウ」はクラウンに合っていないのではないか?
一方、現行型の登場当初は安っぽいという声の小さくなかったインテリアは、昨年末のマイナーチェンジで大きく改善されている。
■FF化によるメリットはコストだけではない?
FF用のGA-Kプラットフォーム。本質的にFFよりFRのほうが走りの質が高いはずだが、これを採用するカムリやレクサスESの走りは評価が高く、近年のトヨタ/レクサスだと完成度はFRよりFFのほうが高く感じるという
肝心の若返りについては、あまり成功しているわけではなさそうな様子がうかがえるが、もし次期型がFFになるとすると、ざっくりいうとカムリの和風高級版となる。カムリの日本仕様はすでにハイブリッドのみであり、いまやクラウンはハイブリッドの販売が圧倒的だ。
そしてクラウンはRS系が受けているのに対しては、カムリやレクサスESにも設定のあるスポーティ系モデルの評価が高いことからして、これまでのクラウンオーナーを納得させるだけの走りを実現することはそれほど難しくないように思う。
高級車としての走りを追求するうえで、本来的にはFFよりもFRのほうが有利であり、イメージ的にもFRのほうが「格上」であることには違いなく、クラウンもFRのままでいてくれるにこしたことはないが、合理的に存続させるにはFF化がベターと考えても不思議ではない。
加えて、現行のトヨタ車やレクサス車のハイブリッド車に関しては、振動の処理をはじめ、走りの完成度はFF車のほうが高いとかねがね感じている。おそらく今後もしばらくはその傾向が続きそうに思う。
ひょっとすると、そのあたりも考慮してクラウンもFFにしたほうが好都合と判断したのかもしれない。
■若い人を取り込むための攻守バランスはどこに
駆動方式もそうだが、開発陣はおそらくデザインや走りの方向性をどうするかに頭を悩ませていることに違いない。若い人を取り込めなければ、オーナーの平均年齢が上がるのは当然だが、何か新しいものがあれば若い人が振り向くとも限らないし、その逆もある。
どうこういってもこれだけの販売を維持できているのは、これまでもたびたび見せてきた「攻め」の姿勢が功を奏した面が小さくないことの表れ。一方でクラウンとしての「守り」の側面もそれはそれで求められる。
現行型はモデルライフの途中だが実に約7割の人がクラウンからの代替であり、次期型の内容次第で離れる人もいるだろうが、今後も乗り継ぐ人にいかに不満を与えないようにしつつ新しいものを取り入れていくか、「攻め」と「守り」のさじ加減が問われる。
クラウンは長い歴史を持ち、開発時は攻めと守りのバランスに熟考が求められる。次期型のデザインはどうなるのか。本当にFFになってしまうのだろうか
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FRとは根本的に土俵が異なる。