屋根にロボットが載った様子のおかしいスカイライン
映画やドラマにおいて、作品それぞれの人気をはかるのに、その作品がどれだけパロディ化されているか、というのは重要な尺度であろう。自動車とその模型という世界において言えば、どれだけモデル化されているかだけでなく、デフォルメものに取り上げられる度合いも、その人気をはかるモノサシと言えるのではないだろうか。
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ここで採り上げている、グンゼ産業(現GSIクレオス)の「ピンクタイフーン」も、そんな尺度となりうるデフォルメモデルのひとつだ。このキットは1981年リリースの品だが、とうに型落ちになって久しい二代も前のハコスカをモチーフとしているのだから、C10型系スカイラインの人気の高さが窺われる。ここでお見せしている完成品は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」273号のハコスカ特集のために制作されたものだ。以下、作者のコメントをお読みいただこう。
「今回はハコスカ特集……ということで、普通に考えると怒り顔のC10系スカイラインの作例が集まることになるが、それでは辛気臭いのではと思い、ちょっと笑えるものを加えたいという判断から、今回はデフォルメモデルを作ることとした。と言うのは後付けで、実際にはただ自分が作りたかっただけです。
元々グンゼのデフォルメモデルは好きで、小学校低学年の頃は『おっとっとちびっこ』のシリーズをよく作ったものだ。『ターボット』シリーズについては、中学年に上がってから目にしたものだったと思う。箱を手に取り、『これ欲しい……!』と思った記憶はあるのだが、結局買って作ったことはなかった。周囲の同級生などに比べると私のお小遣いは明らかに少なかったので、アオシマのチューニングカーなどリアルなスケールモデルを優先して買っていたせいであろう。同じグンゼの『BOY』シリーズなども、欲しかったが結局買わずじまいだった。
ランプ類のクリアーレンズ化が効果を発揮!
そんな訳で、長らく「作ってみたいキット」の筆頭だったターボットのハコスカだが、今作るならどうするか、という部分にはちょっと悩まされた。タイヤはF1のものに置き換えようか、などとも考えたが、径の合うものが意外とないので、そのままにした。モーターライズも活かしてみたかったが、当時と今では電池のサイズが微妙に違い電池ボックスに収まらない、ということは以前、これもグンゼの1/24マクラーレンMP4/3を作ったときに思い知らされたので、試しもせずにプランから除外。ランプ類のレンズのクリアー化のみ行い、それ以外はほぼ素組みとした。
ところで、『ターボット』という名称は『ターボ+ロボット』という意味の造語だと思いこんでいたのだが、実はそれだけではないことを最近知った。魚のイシビラメの英名でもあるのだそうである。魚……そこで思い出したのが、ハコスカのデザインモチーフは魚である、ということ。
C10型系スカイラインを手掛けたデザイナーの森典彦氏は、「スピードを表わす形を考えていて魚を思い浮かべたんです。(中略)サーフィンラインは魚のような流線形を考えていて閃いたんです」と語っている(『スカイライン GT-R ファイル』スタジオ タック クリエイティブ刊より引用)。とすれば、まさにグンゼのターボットこそ、ハコスカについて深く語る際に不可欠なキットと言えるのではないだろうか。と、無理矢理に意味を持たせて文章を結びたい」
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みんなのコメント
素の状態では単3電池1本で走り、ターボットを差し込むとスイッチが切り替わって2本の電池が直列繋ぎになって速く走るようになるという、けっこう考えられたプラモデルでしたが、後が続かなかったんで不人気だったんでしょうね。