乾燥している冬場に活躍していた?
冬になると、クルマのドアを触ろうとして静電気で「バチッ!」となるケースもあるのではないでしょうか。かつて、クルマを利用する際の静電気を抑制する目的のためによく使われていたカー用品があります。「アースベルト」または「アースゴム」と呼ばれた製品です。
アースベルトを装備したクルマ。矢印が示すゴムが静電気を逃がしている(乗りものニュース編集部撮影)。
1970年代から1980年代のクルマにはよく、リアバンパー付近からゴムのようなベルトが、路面を引きずるように装着されていました、これがアースベルトです。数は激減しましたが、現在でも一部カー用品店などで販売されています。
このカー用品はクルマに溜まった静電気を大地に逃がす「アース」の役割を持っていました。
ベルトには導線が内蔵されており、そこから静電気を地面に逃がします。ただ、現在のクルマはバンパーが樹脂製であることが多く、電気を通さないため、車体下のマフラーやタンク付近など金属部品を探して取り付けるケースが多いようです。
しかしこのアースベルト、実は重大な欠点がありました。車体に溜まった静電気は逃がせたとしても、人体にたまった静電気の除去はできませんでした。そのため、たとえベルトを垂らしていた状態でも「バチッ!」っとすることがありました。
一方、人間側の静電気を除去するグッズも年々増えていくと、わざわざクルマから垂らす「アースベルト」を装備した車両は激減していくことになります。
ただ、アマチュア無線やオーディオを楽しむ人は、その後も積極的にアースベルトを使っていました。静電気により発生するノイズを抑えられるとされていたからです。しかし、ポール型アンテナなど、ほかに静電気対策のカー用品が登場すると、そういった商品に人気は移っていきました。
既に廃れてしまったといっていいアイテムのせいか、現在販売されている商品のなかには「懐かしのアイテム」とうたっているものもあり、一種のドレスアップアクセサリーとして取り付けている人もいるようです。また、アースベルトの製造メーカーによると、車内無線を楽しむ人たちには未だに根強い人気があるとのことです。
ちなみに、クルマの乗り降りの際の静電気を避けるコツとしては、降車時はクルマのドアストライカー(固定金具)、乗車時はコンクリートの壁や柱、床などを触ることが有効のようで、短時間触るだけでも静電気抑制の効果があるようです。
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