IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ(WSCC)にマツダチーム・ヨーストとして参戦しているマツダ・モータースポーツのジョン・ドゥーナン代表は、同社が開発した『マツダRT24-P DPi』をカスタマーカーとして他チームに供給できると語った。
2017年シーズンより自動車メーカーがLMP2マシンをベースに外観を自社の市販車を想起させるデザインに変更したり、エンジンを載せ替えるなどの独自開発を行なったDPiマシンと、WEC世界耐久選手権/ル・マン24時間でも活躍する純粋なLMP2カーがプロトタイプクラスという同じ枠の中で争っているWSCC。
IMSA:マツダDPi、初優勝を目前で逃す。「博打を打ったが展開に恵まれなかった」
DPi規定の導入2年目を迎えた同クラスは2018年、ニッサン、キャデラック、マツダの3メーカーにアキュラを新たに加えたほか、前年限りで幕を閉じたプロトタイプチャンレンジクラスからステップアップを果たしたLMP2チームを迎え盛況を誇っている。
しかしIMSAは先ごろ、多数のLMP2チームの要望を受け2019年からプロ向けのDPiクラスとプロ-アマ選手権となるLMP2クラスというようにPクラスを分割することを発表。この決定を受けてジェントルマンドライバーを擁しながらも、今後プロ-アマクラスでは極めて難しくなる“総合優勝”に意欲をみせていた一部のLMP2チームは、その野望を実質的に諦めざるを得ない状況となった。
そうしたなかでマツダのDPiマシンが、購入を希望するチームに供給されることになれば、チームの夢の実現を助けることになるだけでなく、より多くのフロントランナーを生むことでファンを楽しませることにもつながるだろう。
ドゥーナンは「マルチマチックとともにこのクルマを作り上げた時から、いつかカスタマープログラムを展開したいと考えていた」と語った。
「2019年(の開幕)までに対応できるかどうか現時点では分からないが、マシン開発当初から他チームへの供給を想定していた」
■育成プログラムの卒業生をカスタマーチームに送り込む狙いも
マツダと一部のLMP2チームは、すでに2019年のマシン供給について協議を重ねているとみられ、Sportscar365.comでは供給先のラインアップにマツダのドライバー育成プログラム“Mazda Road to Indy”の卒業生が加わる可能性を伝えている。
ドゥーナンは来季開幕戦のデイトナ24時間でワークス以外のカスタマーカーが存在し、そのための挑戦を強いられる可能性を認める。
「我々はこれまでに、かなり短い期間にマシンの開発や大規模な改良などをこなしてきた。そうした経験を基にブランドとしてできることをやっていくつもりだ」
「また、マツダは“ロード・トゥ・インディ”“ロード・トゥ・ル・マン”というふたつの育成プログラムを卒業したドライバーたちがトップカテゴリーで活躍することを目標としている」
「もしカスタマーチームを持っていれば、若い人材をそこに送り込むことができると考えているんだ」
現時点でDPiを走らせるメーカーはマツダを含めて4社となっているが、この内、GM傘下のキャデラックが開発したキャデラックDPi-V.Rは供給数を制限しているとみられており、来季に向けても現状の4台供給からその数を増やす可能性は低い。また、2018年からワークス参戦を開始したアキュラも現状を維持する見込みだ。
一方、ニッサンDPiについては、長年のパートナーであるテキーラ・パトロンの支援が終了するエクストローム・スピード・モータースポーツの将来を含めてまったく不透明な状況となっている。
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