現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【2WDが9割の車種も!】 ブームの光と影 「四駆じゃないSUV」 なぜ流行??

ここから本文です

【2WDが9割の車種も!】 ブームの光と影 「四駆じゃないSUV」 なぜ流行??

掲載 更新 13
【2WDが9割の車種も!】 ブームの光と影 「四駆じゃないSUV」 なぜ流行??

 「SUVといえば四駆」はもう古い!?

 初代「パジェロ」に代表されるクロカンSUVが火付け役となり、1980年代後半から1990年代初めのブーム、初代「ハリアー」から始まった1990年代後半からの高級SUVの増加を経て、ここ5~6年は“第3次”ともいえる世界的なSUVブームが続いている。

【発売は2021年!! 待望の確定デザイン判明!!】新型アクア ソフト路線で尋常に勝負!!

 現在、日本で販売されているクロスオーバーやSUVのラインナップを見ると、4WD(四輪駆動)に加え2WD(二輪駆動)モデルが設定されるのは当たり前となっている。

 加えて世界的にはVWやルノーなど多くのメーカーから、4WD車を設定しないSUVも登場してきている。

 そこで、日本における人気SUVとクロスオーバーの4WD比率を調べてみたところ、意外な事実が分かってきた。なぜSUV=四駆ではなくなってきているのか? その背景に迫る。

文:永田恵一
写真:TOYOTA、編集部、SUZUKI

【画像ギャラリー】四駆が少数派のモデルも!? SUV販売ベスト15車&販売台数

現在のSUVのトレンド&人気車の傾向は?

2019年11月に発売され、2020年1月には1万220台、2月には9979台を販売し、登録車販売No.1に輝いたライズ

 現在日本で買える日本車のSUVを見回してみると、ラダーフレーム構造のボディや副変速機を持つ本格的なクロカンSUVは、トヨタ ランドクルーザー/ランドクルーザープラド、スズキ ジムニー/ジムニーシエラくらいで、ほとんどが乗用車ベースだ。

 これはSUVに主に求められた“悪路走破性”が、現在では「雪道と河原のような若干の悪路までに対応できれば多くの人は充分」と考えられているからである。

 そのため、前述のクロカンSUV以外は乗用車をベースに最低地上高を上げる、横滑り防止装置を発展させて4WD性能を高めるという考えとなっている。

 この方がコストメリットや軽量化による燃費悪化の抑制、舗装路でのハンドリングと乗り心地のバランスなど、ほとんどの人にとってメリットは大きい。

 また、現在のSUVブーム下では、クロカンSUVや乗用車ベースの高級SUV、オーソドックスなSUVに加えて、ニーズの多様化によりホンダ ヴェゼルあたりから始まったコンパクトSUVも活況。

 マツダ CX-3やトヨタ C-HRなど実用性よりも流麗なスタイルを持つスペシャリティなもの、ステーションワゴンのような乗用車にSUVの要素をミックスしたクロスオーバーなど、一口にSUVといってもSUVの中でもライトな方向のジャンルが大幅に増加している。

 そのため「いい意味でクセの強いSUV」といえるC-HRが登場から3年ほど大人気となり、5ナンバーサイズSUVとなるダイハツ ロッキー/トヨタ ライズも2019年11月に登場。

 特にライズは、2020年1月と2月は軽自動車を除く登録車の月間販売台数ランキング1位に躍り出るというヒット車となっている。

人気コンパクトSUV&クロスオーバーは2WDが圧倒!

2019年SUV販売No.1に輝いたヴェゼルも、販売の8割強を2WD車が占め、4WD車は2割未満の少数だ

 こうした背景を考えると乗用車より幅広く使えるSUVは、日本でももう“ブーム”を通り越して、軽自動車、ミニバン、コンパクトカーに続く“柱となるジャンル”に定着していると言える。

 その証拠に2月の登録車の月間販売台数ベスト50にはSUVが15台、2月の軽乗用車の販売台数ベスト15でも9位と12位にスズキ ハスラーとジムニーがランクインしているほどなのだ。

 では、人気コンパクトSUVとクロスオーバーの駆動方式比率は実際にどうなっているのか? 各メーカー広報部に問い合わせた結果は以下のとおりだ。

・トヨタ ライズ/2WD=69%:4WD=31%(※2019年11~12月データ)
・トヨタ C-HRガソリン車/2WD=59%:4WD=41%
※C-HRハイブリッドは2WDのみ。C-HRはハイブリッドが70~80%を占めていると思われるので、C-HR全体で見た4WD比率は10%程度と想像できる。

・ホンダ ヴェゼル/2WD:4WD=85%:15%
・ホンダ フィットクロスター/2WD:4WD=80%:20%(※2019年12月下旬~2020年3月中旬のデータ)
・スズキ クロスビー/2WD:4WD=60%:40%
・新型スズキ ハスラー/2WD:4WD=70%:30%(2020年1~2月データ)

※()のないモデルは2019年の年間データ

 このように、現在の軒並み2WDが主力となっている。

なぜSUV&クロスオーバーは非4WDが主力に?

ジムニーなどの本格派は、写真のような本格的な悪路で真価を発揮するが、多くのユーザーは、もっとカジュアルな使い方がメインであり、そうした背景が昨今のSUVトレンドにも結びつく

 その理由を考えてみるといくつか浮かぶ。

【1】「悪路に強いから」という理由でSUVを買っているユーザーは意外に少ない

 上位のようなユーザーがSUVを選ぶ具体的な理由としては……

・SUVやクロスオーバーの「スタイルや高い着座位置に代表される全体的な雰囲気が好き」という選び方

・「SUVは乗用車よりリアシートや荷室が広いことが多い」など実用性の高さ

 こうした理由があげられる。乗用車に対し、走りがそれほど劣ることなく、乗用車プラス20万円程度で買えることが多いのだから、SUVとクロスオーバーが人気になるのもよくわかり、そういったユーザーなら4WDの必要性は薄い。

【2】2WDでも技術の進歩で雪道に相当対応できるようになってきた

 コンパクトSUV&クロスオーバーの2WDは、ほぼすべてが前からクルマを引っ張るFF(=前輪駆動)ということもあり、もともと雪道に弱くはない。

 さらに、近年はスタッドレスタイヤや横滑り防止装置の義務化といったクルマ周辺の雪道対応が著しく進歩していることもあり、「最低地上高が高いSUV&クロスオーバーなら2WDで問題ない」という考えも充分成り立つ。

先頭からC-HR、CX-3、ヴェゼル、エクストレイル。近年、2WD車の雪上性能が向上したことで、前3台のようなFF主体のSUVがトレンドとなっている

【3】4WDのデメリットも否めない

 乗り心地に代表されるクルマ自体の仕上がりは、車種によって異なるケースもある。ただ、昔に比べれば改善されているにせよ、4WD化に伴う重量増と動力性能や燃費の悪化は否めない。

 また、2WDと4WDの価格差も、今回調べたコンパクトクラスだとスズキ クロスビーと新型ハスラーは約13万~15万円と抑えられているが、それ以外は約20万~24万円となる。これはミドルSUVでも約20万~25万円と意外に変わらない。

 そのため、中心価格帯が200万~250万円のコンパクトクラスと中心価格帯が300万円台となるミドルクラスでは差額に対する感じ方が変わってくることもあり、特にコンパクトクラスでは2WDが人気となることもよく分かる。

◆  ◆  ◆

 現代はファッションに近い感覚でSUVを選ぶこともよくあるので「4WDは不要、2WDで充分」と考えるユーザーも多いということだろう。

 また、アメリカで販売されるSUVは、日産 アルマーダ(かつてのサファリ)やシボレータホ、キャデラックエスカレードのようなピックアップトラックベースの本格的なものにも昔から2WDがある。日本もその流れに近くなっているともいえそうだ。

 ただ、雪道などを走る際には、やはり4WDのメリットは絶大だ。

 それだけに「冬場に雪道を走ることがそれなりにある」など迷っているなら、処分する際の査定で差額を回収できることもあり、きちんとしたスタッドレスタイヤを履くことを前提に4WDを選ぶのを勧めたい。

【画像ギャラリー】四駆が少数派のモデルも!? SUV販売ベスト15車&販売台数

こんな記事も読まれています

新型[デリカ]が衝撃デザインでデビューへ!! [クルマが透ける]機能まで!? 2026年登場で600万円か
新型[デリカ]が衝撃デザインでデビューへ!! [クルマが透ける]機能まで!? 2026年登場で600万円か
ベストカーWeb
ベンツが神話だった70年代の「W123」…驚きの安全性と最新テクノロジーは当時の国産車では足元にも及べない知恵が詰まっていました
ベンツが神話だった70年代の「W123」…驚きの安全性と最新テクノロジーは当時の国産車では足元にも及べない知恵が詰まっていました
Auto Messe Web
ブリヂストン 新スポーツタイヤ「ポテンザ RE-10D」発売 サーキットでのタイム短縮追求
ブリヂストン 新スポーツタイヤ「ポテンザ RE-10D」発売 サーキットでのタイム短縮追求
グーネット
サーキットも普段使いも!クラシカルなフルバケット「ジータIVクラシック」発表 ブリッド
サーキットも普段使いも!クラシカルなフルバケット「ジータIVクラシック」発表 ブリッド
グーネット
メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待
メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待
AUTOCAR JAPAN
竹岡圭さん「XCRスプリントカップ北海道」参戦!三菱&トーヨータイヤがサポート
竹岡圭さん「XCRスプリントカップ北海道」参戦!三菱&トーヨータイヤがサポート
グーネット
シンプルデザインで車内にマッチ タテ・ヨコ回転OKの車載スマホホルダー シズカウィル
シンプルデザインで車内にマッチ タテ・ヨコ回転OKの車載スマホホルダー シズカウィル
グーネット
アウディの充電施設、2か月で600名利用 新料金プランでサービス提供開始 東京・紀尾井町
アウディの充電施設、2か月で600名利用 新料金プランでサービス提供開始 東京・紀尾井町
グーネット
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か
AUTOSPORT web
V8×MT×FR採用! 新型「スポーティセダン」初公開! “青感”高めた「豪華内装」が超カッコイイ「CT5-V ブラックウイング ル・モンストルE」アメリカに登場
V8×MT×FR採用! 新型「スポーティセダン」初公開! “青感”高めた「豪華内装」が超カッコイイ「CT5-V ブラックウイング ル・モンストルE」アメリカに登場
くるまのニュース
マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
AUTOCAR JAPAN
駐車の際の「前向き」「後ろ向き」問題…日本での正解をお教えします! 米国で「前向き」が多いのは防犯上の理由もありました
駐車の際の「前向き」「後ろ向き」問題…日本での正解をお教えします! 米国で「前向き」が多いのは防犯上の理由もありました
Auto Messe Web
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
AUTOSPORT web
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
AUTOCAR JAPAN
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
レスポンス
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
AUTOSPORT web
新型「4WDスポーツ車」初公開! レトロな「丸目」に超ハイパワー「V型8気筒エンジン」搭載! “日本専用”の特別なベントレーに衝撃の声!
新型「4WDスポーツ車」初公開! レトロな「丸目」に超ハイパワー「V型8気筒エンジン」搭載! “日本専用”の特別なベントレーに衝撃の声!
くるまのニュース
デコトラの命ともいえる電飾! LEDが台頭するもいまだ電球派もいる理由とは?
デコトラの命ともいえる電飾! LEDが台頭するもいまだ電球派もいる理由とは?
WEB CARTOP

みんなのコメント

13件
  • デザインだろ‼︎
  • AWDメインでやってるのはスバルくらいで次点で三菱くらいでしょ。その他大勢はスタンバイシステムだし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

165.4200.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

10.8403.9万円

中古車を検索
ジムニーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

165.4200.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

10.8403.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村