2023年10月19日、日産はジャパンモビリティショーでお披露目する予定の次世代EVコンセプト「ハイパーパンク」(以下、親しみを込めてパンクと呼称する)を発表。同月3日の「ハイパーアーバン」、9日の「ハイパーアドベンチャー」、そして17日の「ハイパーツアラー」(ツアラー)をあわせて、合計4台の出展車両すべて(?)が明らかになった。
次期ジューク、エルグランドへの期待感を煽る2台
最新の第4弾ですべてがそろっているのか、はたまたさらに隠し玉=サプライズが存在するのかどうかはわからない。けれど、後半戦に搭乗した「ハイパーパンク」(以下、親しみを込めてパンクと呼称する)と「ハイパーツアラー」(同じくツアラー)に関しては、先行した2台とは別の意味で世間的に盛り上がっているようだ。
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その理由はそれぞれに、「3代目ジューク!?」とか「ついにエルグランドがフルモデルチェンジ!?」などといった、少しばかりリアル寄りな妄想と期待感を煽ってくれる存在であるからなのだろう。
今回のプロモーションにあたって興味深いのが、4台のコンセプトモデルそれぞれに、ユーザーターゲットとしてひとりのキャラクターが設定されているところ。たとえばパンクの「YUKI」は、「Z世代から絶大な支持を集めるコンテンツクリエイター」をイメージしているという。
「私の創作は、私そのもの。全て納得いくものを発信する!」という彼女のコメントはまさに自信満々。音楽クリエイターとして楽曲を製作しながら、3D CGのモデリングもこなすなど、自らの感性を武器にトレンドリーダーとして活躍している。
果たしてそんな強靭な自我と確信を持った美人さんが実在しうるかどうかは判然としない。もしかするといそうな気もする。けれどある意味、こうした恐ろしくピンポイントなターゲッティングは、初代ジュークの「唯我独尊」ぶりをほうふつとさせるところも面白い。
パンクについては、コンパクトクロスオーバーのフォルムに23インチの大径ホイールを四隅に力強く配したシルエットは、まさにジュークのデザインお作法そのものと言えるだろう。最新のコネクティビティ技術=インターフェイスをイノベーションの核としてとらえているあたりにも、インテリアのそこかしこにバイクイメージを思い切りよく盛り込むなど、かなり攻めていた初代に通じるものがあるような気がする。
残念ながら2代目ジュークは待望されつつも日本市場に導入される気配はいまだない。けれど、日産の未来を支えるBEVラインナップの一翼を担う存在として、注目度の高いコンパクトクロスオーバージャンルにきっちりバリューのある「強い」ネーミングを投入・・・というシナリオは、なかなかに筋が通っていると思う。そろそろ、期待してもいいだろうか。
BEV化がもたらすスケールメリットを表現
さてもう1台のツアラーに似合うキャラとして選ばれたのは、KEI。YUKIと同世代か、もう少し年上らしき女性だ。「宇宙旅行などの未来の旅をサポート委するスタートアップ企業の役員」と設定されている。社交的で仲間が多く、人生を楽しむ時間をなによりも大切にしている・・・こちらは、なんとなく身近に実在するような気がする。
ツアラーのカテゴライズは、ずばり「プレミアムEVミニバン」。エクステリアから快適な旅をイメージさせるために、滑らかなボディパネルとシャープならキャラクターラインを絶妙に組み合わせたデザインを採用している。日産はこれを「日本の伝統美を表現する」ものとして定義した。「次期エルグランド」に対する期待感を煽るのは、こうしたキャラクター付けの兼ね合いにもポイントがありそうだ。
もっとも注目すべきは、BEV化されたことによるパッケージングの革新だろう。オフィシャルな売りとしては完全自動運転技術の採用によって、運転席と助手席を後席と向い合せにすることができる、という「シートアレンジの妙」がある。だがどちらかといえば、それを実現するための技術的アプローチのほうに、プレミアムなミニバンとしての将来性を期待したい。
公開されたリリースを読むと具体的にはまず、「小型化した各コンポーネントを統合し」というくだりに興味津々。コンポーネンツの集約化はサイズの小型化=ユーティリティの拡大のみならず生産性、ひいてはコスト面でもメリットが大きいと思われる。
さらに「高いエネルギー密度の全固体電池」が搭載される。日産は2021年に発表した「Nissan Ambition 2030」という長期ビジョンの中で、2028年までに全固体電池を実現することを宣言している。ツアラーはそういう意味で、しっかり近未来のBEVに求められる技術的理想の日産的実現を、イメージさせてくれていると言える。
フォートナイトの世界で、本当の魅力を「実体験」
ちなみにツアラーの駆動方式は、進化型の「e-4ORCE」が搭載されるという。現行のエクストレイルにも採用されている電気駆動4輪制御技術の進化版だけに、一気にリアリティが増すような気がするではないか。
ことほどさようにともすれば「夢物語」と思えるコンセプトカーたちから、リアルにつながるきっかけのような「何か」を見つけるためにもぜひ、JMSの日産ブースを訪ねて欲しい。加えて、人気シューティングゲーム「フォートナイト」のプレイが可能な環境にあるのなら、ゲーム内の「NISSAN ELECTRIFY THE WORLD」でその世界観を体験してみて欲しいと思う。
そもそも今回の4台は、コンセプトカーと言いながらも3D CGとしてのポリゴン感が恐ろしく明確なところが特徴。だからこそ、その本当の魅力を理解するためにはやはり、バーチャルな空間で「目の当たりにする」しかないように思える。
10月19日からは、クロス新宿ビジョン(東京 新宿駅東口資金の街頭ビジョン)において、ダイナミックな先行プロモーションVがパワープレイされているという。そちらも、お見逃しなく(10月25日までの期間限定)。
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