リフトアップから旧車風、スポーツまであらゆるスタイルにマッチ
自動車メーカーの中でも売れ筋のジャンルである軽自動車は、ニーズの多様化もあって車種ラインアップが着々と増えている。今まではワゴンRやムーヴといったハイトワゴン系が人気だったが、最近は1BOXやクロスオーバーSUV、2シーターオープンなど個性的なスタイリングを持つ軽自動車も支持されている。その一方で軽自動車では昔から馴染みのある「ハッチバック」が、カスタマイズ業界で注目を集めていることはご存じだろうか。例えばスズキならアルト、ダイハツならミラやエッセといった全高が低くてコンパクトなボディを持つカテゴリーだ。
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なぜ人気かというと、新車時の車両販売価格がそれほど高いわけではないため、中古車は比較的手頃な価格で流通している。車種によっては4ナンバーの商用モデルも設定されており、快適装備は乏しくても自動車税が5ナンバー車よりも割安であることから、あえて4ナンバーを選ぶという人も多い。ユーザー層も免許を取って初めての愛車として選ぶ若者から、子どもが大きくなってミニバンが必要なくなり、自分用のおもちゃとして買い換える年輩まで幅広い。
またハッチバックはカスタマイズ業界でも盛り上がっており、以前取り上げた軽トラックと同じくスタイリング自体がシンプルであることから、どんな仕様に振ってもカッコ良く決まる。今回はハッチバックをベースとした、カスタマイズの一例をご紹介しよう。
レトロ系ハッチで旧車風カスタムを楽しむ
お金に余裕があればケンメリやジャパンなどのリアル旧車をイジりたいところだが、中古車の値段がますます高騰し、実際に買ってもかなりの維持費がかかる今となっては簡単には手を出すことができない。そこで肩の力を抜いてゆる~くイジれる軽自動車の出番。イカツさや存在感は本物の旧車にはかなわないけれど、カスタマイズ次第でそれっぽい仕様に近付けることは可能。
その中でもコンパクトなボディを持つ軽ハッチバックは、少々すばしっこいボーイズレーサー的なスタイルを表現するにはもってこい。特にダイハツ・ミラジーノのようなクラシカルにアレンジしたモデルは、旧車で定番のカスタマイズが違和感なくハマる。小振りなスポイラーを付けてレトロなホイールをセットするだけで、懐かしい雰囲気を楽しむことができる。
手頃な値段で買えるL700型ミラジーノを、少ない手数で懐かしいヤンチャスタイルに仕上げたのがKLC(http://www.klc-div.com)。デモカーは自社ブランド「Y’s(ワイズ)」の小振りなチンスポと、ダックテール形状のリアウイングを装着。ウイングはリアゲートに穴を開けてリベットで取り付けているように見えるが、このリベットはダミー。実際は両面テープで貼り付けるだけとお手軽。当時テイストが強まるイエローのヘッドライトカバーも自社のアイテムだ。メッキを多用したレトロなミラジーノの魅力を生かしつつ、ワルっぽいスタイリングに仕上がる。
リフトアップでイカツく&かわいく決める
ジムニーや軽トラなど、軽自動車界では大ブームのリフトアップスタイル。全高が低いハッチバックは車高の低さが際立つという理由でローダウンが人気だが、リフトアップも似合うことを証明してくれたのが軽自動車用チューニングパーツを得意とするシュピーゲル(https://www.spiegel.co.jp)。ベースは現行型のHA36型スズキ・アルト。愛くるしいスタイリングや充実した安全装備など、魅力がたっぷり詰まった1台だ。
キモとなる足まわりは、自社のオリジナル車高調「アップバースト」でリフトアップ。車高を上げて肉厚のブロックタイヤを履かせることで、コンパクトなアルトが力強いフォルムに大変身。リフトアップのベースとしては珍しい車種だけに、高い注目度が得られるだろう。またしっかりと安定した走りを楽しむことができるのも、車高調ならではのメリット。オフロードを走る機会が多い人にもお勧めだ。
商用向けのアルトバンは70万円台から購入でき、ベース車を安く買って浮いたお金をカスタマイズ費用に充てるということも可能。他と被りたくない人は、ハッチバックでリフトアップするというのはいかがだろうか。
遊び心あふれるフェイスチェンジテクニックに注目
軽自動車はバンパーやヘッドライトなどを丸ごと交換して、全く別モノのクルマに見せるフェイスキットも人気。こちらのクルマはルパン三世の愛車としてもおなじみの2代目フィアット・500かと思いきや、実は2005年~2011年に販売されたダイハツ・エッセ。「シンプルでおしゃれなカジュアルミニ」をコンセプトとした、ミニマムなハッチバックである。
滋賀県で中古車ショップを営むケーズマート(https://ks-mart.jp/)は、エッセをフィアット・500風に変身させるキットを開発。良質な中古のエッセにパーツを組み込み、コンプリートカーとして販売している。エッセのイメージを徹底的に消すため、フロントバンパーはフェンダーと一体成型。ヘッドライトやウインカーなどの灯火類も純正を使わず、つぶらな丸型形状を採用して実車フィアットの雰囲気に近付けている。
リアまわりも小さなミニ純正テールランプをセットしたリアバンパー、純正に被せるリアゲートパネルで印象をガラッと変えた。
本物のフィアット・500は年式を考えると故障などのトラブルも想定されるが、比較的年式が新しいエッセなら安心感も高い。キュートでスタイリッシュなクルマに乗りたい人にも最適と言える。
プレーンなミラ・トコットにスポーツテイストを注入
自動車メーカーが本気で作ったコンセプトカーにも注目したい。ダイハツが東京オートサロン2019で発表したのは、プレーンでスクエアなフォルムを持つミラ・トコットをホットハッチ風味にモディファイした、「ミラトコットスポルザVer.」。大きな開口部を持ったフロントバンパーや大きなルーフエンドスポイラー、ディフューザー形状のリアバンパーなどスポーティなエアロパーツで武装。さらに往年のミラ・TR-XXやシャレード・デトマソにも設定があった、赤×黒の2トーンカラーで走りのムードを盛り上げる。
内装も手を抜かず、シートやドアトリムなどを外装と同じく赤×黒でコーディネート。カーボン風にアレンジしたパネル類や赤のプッシュスタートスイッチなど、細かいところまで凝っている。
あくまでもコンセプトカーであるため現時点では市販化のアナウンスはないが、現在新車で買える軽ホットハッチはアルトワークスくらいなので、対抗馬として販売すれば売れそうだ。関係者の方、ご覧になってましたらぜひご検討を。
モータースポーツでも活躍する軽ハッチバック
S660やコペンといった2シーターのスポーツモデルに限らず、軽ハッチバックでもスポーツ走行を楽しむことができる。軽オンリーの耐久レースやジムカーナではアルトやミラが活躍しているし、ヴィヴィオやトゥデイなどの旧規格車も未だに現役。軽自動車の中では車重が軽いため競技ベースに最適で、チューニングパーツも多く出回っている。また非力なNAエンジンでも、ドライバーのテクニックで十分カバーできる点も魅力的。各地でNAだけのレースも開催されており、非常に盛り上がっている。
地元のサーキットなどで開催される走行会に、黒のJA4型ホンダ・トゥデイで積極的に参加しているというHさん。エンジンはNAをベースにキャブ化した上で、ヨシムラのGSX-R用キャブやハイカムなどを導入。ビート用のエキマニやワンオフで製作したマフラーによって抜けも良く、大幅なレスポンスアップを実現。
外装もGTマシン風のワイドフェンダーやオーナーの自作というリアディフューザーなど、中身に相応しい作り込み。追加メーターがスマートにインストールされたダッシュボードも自作というから驚きだ。ここまで気合いを入れて作り込むと、気持ち良いほど楽しく走れるだろう。
このように、軽ハッチバックは様々なスタイリングが似合うと言うことをお分かり頂けただろうか。あまりお金をかけずに思いっきり遊べるクルマが欲しい人は、ぜひご検討を。
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