新型リーフなどEVのイメージが強まってきた日産だが、実はいっぽうでノート e-POWERやマーチ、ミニバンのセレナにもスポーツブランド「NISMO」モデルを設定するなど、走りに特化したモデルを積極的に拡大している。そのオーナーに向けて2017年から始まった運転講座がNISMOドライビングアカデミーだ。 その秘密は“超少人数で豪華”な点に隠されていた。
文:ベストカーWeb編集部/写真:平野学
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NISMOドライビングアカデミーとは?
左からマーチ、ノート、GT-R、フェアレディZ、ジューク、セレナのNISMOモデル。講師はスーパーGT等で活躍するプロドライバーだ
NISMO車のユーザーが自らの愛車を使って、運転のイロハを学べるドライニングレッスン、それがNISMOドライビングアカデミーだ。マーチNISMO、NISMO S、ノートNISMO、NISMO S、e-POWER NISMO、ジュークNISMO、NISMO RS、セレナNISMOを始め、NISMO車以外でもフェアレディZとGT-Rを持っているユーザーであれば参加可能。
しかも、講師陣は超豪華! “校長”は、元スーパーGTドライバーのミハエル・クルムが務め、スーパーGTチャンピオンの松田次生を始め、同GT500の千代勝正など、日産/NISMO系ドライバーの指導を直に受けられる。
“走る、曲がる、止まる”を基礎から徹底的に
左上から時計回りにフルブレーキ、定常円旋回、Jターン、サーキット先導走行の様子
今回体験したのは、3段階あるうちのステージ1と2(車はノート e-POWER NISMO)。ステージ1はサーキットで走ったことのない人向け、ステージ2はミニサーキットでサーキットの「走り方」を練習する半日プログラム。
冒頭では「座学」で、適切なドライビングポジションや、実技メニューのポイントを解説。
その実技は、全開加速、フルブレーキから始まり、コーンで作った円を回る「定常円旋回」、そしてヘアピンコーナーさながらにJの字にターンを行う「Jターン」まで“走る、止まる、曲がる”を、基礎から徹底的に学習。
その後は、ショートコースでプロドライバーによる先導走行、同乗走行を体験し、順にステップを踏んで学べるところが一番の売りだ。
目アンダー?? 講師の助言は1人1人に細かく、的確
ひとつのメニュー毎に、走行後は講師が直にアドバイス
「目アンダーですね」。『定常円旋回』の後に、講師の藤井誠暢選手(スーパー耐久)に言われたのが、このひと言だった。曰く「僕たちレーサーでもコーナーで目がパッと泳ぐと、(コーナーの最もイン側に)全然つけない。“目アンダー”って僕は呼ぶんですけど、目のアンダー(ステア)ってあるんですよ」
最初なので、ハンドルを多めに切ったり、アクセルを多めに踏んで、クルマの限界やアンダーステアを体感してみてください。そう言われて実際に運転すると、ハンドルやアクセルに意識がいけばいくほど、自然と目が外を向いてしまう。そこで冒頭のアドバイスとなるわけだ。
目を意識してもう一度トライ。5周ほどの定常円旋回を再び終えると、「3周目が一番よかったですね。その後は速く走ろうと、少しずつ(円の内側から)離れていましたよね? それはタイムが出ないパターンだと覚えておいてください」と、今度は佐々木大樹選手(スーパーGT GT500)からアドバイスが。
こんな具合で、プロがその場で直接アドバイスしてくれるから、自分の運転の何が間違っているのかが自覚できる。
サーキット走行も「はい、じゃあ自由に走って」ではなく、まずはプロの横に乗って走り方のレクチャーを受け、その後もプロの後ろに付いて走るので、とにかく運転の基本を一から学べる。
実際に、定常円旋回とJターンを組み合わせたコースでのタイムアタックでは、最初のタイムが58秒0で、受講後のタイムは54秒2と約4秒もタイム短縮。ちなみに松田次生選手が軽く流して出したタイムは52秒台。たかだか1分弱のコースで、ほとんどの参加者が秒単位でタイムアップし、まさに“目に見えて速くなっている”のだった。
“ほぼマンツーマン”を採る理由
2017年のNISMOドライビングアカデミーは、全国のサーキット(富士、岡山、鈴鹿等)で計7回開催。参加費用は、今回体験したステージ1+2で2万5000円。さらに、NISMOパフォーマンスセンター経由で申し込むと2万円。そして、驚くべきは募集台数の少なさで最大でも30台、なかには募集台数10台という回もある。講師は毎回3名のドライバーなので、参加者3人に対して1人の講師が付く場合もある豪華っぷりだ。
その理由は「台数を増やすと、1人1人をしっかり見られなくなる」というもの。この“ほぼマンツーマン体制”にこそ、NISMOドライビングアカデミーの狙いがある。
スポーツカーの真骨頂は何と言っても性能の高さにある。でも、普段そうした車の真骨頂を体感できる機会はそう多くない。車そのものだけでなく、買った後の体験も提供する。買ったお客さんにもっと満足してもらい、ファンになってもらう。ほぼマンツーマン体制は、日産が目指す新しい車の売り方なのかもしれない。
デモランを披露する松田次生選手。プロ講師との距離が近いだけでなく、プロの技を間近で見られるのも醍醐味のひとつ
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