■新開発のハイブリッドはパワー重視のセッティグ
これまで「オーリス」と呼ばれていたCセグメントハッチバックが、この夏に登場した後継モデルから「カローラスポーツ」と車名を変更するなど、日本でもカローラの改革がはじまっています。その改革は日本だけにとどまりません。
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10月4日から一般公開がはじまった「世界5大モーターショー」のひとつ、パリモーターショーですが、そのトヨタブースでの主役となったのが、世界初公開となる、この「カローラツーリングスポーツ」でした。
名前が示すように「カローラ」ファミリーの1台で、日本でも発売されている「カローラスポーツ(欧州名:カローラ)」と多くのメカニズムを共用して作られたステーションワゴンです。
ただし、ハッチバックに比べると全長は283mm伸びて4653mmに、ホイールベースも60mm伸びて2700mmとなりました。伸びた全長のうち、ホイールベース延長分のほとんどは後席足元スペースの拡大に、残りは荷室の奥行き延長に使われて実用性向上を果たしています。なお、荷室容量は598Lとなっています。
注目はパワートレインです。ガソリンエンジンもありますが、主力はハイブリッドとなります。日本のカローラスポーツにも採用されている1.8リッターエンジンを備えたハイブリッドと、新登場となる2リッターエンジンを組み合わせたハイブリッドが選択可能です。
これまでもトヨタには直列4気筒とV型6気筒など、エンジンが大きく違う2タイプのハイブリッドを選べる車種はありましたが、ほぼ近い排気量の2種類のエンジンが選べるハイブリッドは今回が初めて。システム出力は1.8リッターエンジン車が122馬力なのに対し、2リッターエンジン車180馬力と排気量がわずか200cc違うだけとは思えないほど差がついています。
ハイブリッドシステムはどちらも「THSII」ですが、新開発された2リッターエンジン+モーターのハイブリッドの狙いは、燃費の良さはキープしつつ、さらに高い走行性能を実現することです。80kw/220Nmのモーターに、セルを1.8リッター用の168個から180個へと増やし、電圧を201.6Vから216.0Vへ高めたバッテリーを組みわせています。
また、加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に、電池からの電力を高め、リニアで伸びのある加速感を実現する仕掛けも搭載。このハイブリッドは、単純な動力性能だけでなくドライバビリティも高めたシステムなのです。では、どうしてこのシステムは新たに開発され、欧州仕様の「カローラ」に搭載されるのでしょうか。
それはディーゼルエンジンが廃止されたことも影響しています。新型「カローラ」にも、1.2リッターのガソリンターボエンジンはありますが、ディーゼル車はありません。
トヨタは今後、欧州でも乗用車にはディーゼルエンジンを搭載せず、そのかわりにとしてハイブリッドモデルを幅広く展開するとしています。そこで燃費の良さに加え、ディーゼルのようなトルクフルな走りを求めるユーザーに対して、新開発の力強いハイブリッドで訴求していくというわけです。
■日本導入は2019年の夏以降と予想
筆者(工藤貴宏)はパリモーターショーの会場に足を運んで、自分の目で「カローラ ツーリングスポーツ」を確認しました。まず驚いたのはその美しさ。バランスの取れたプロポーションに加えて、流麗なデザインでトキメキを感じずにはいられませんでした。
気になるのは日本への導入ですが、現在日本で販売されている「カローラ」のワゴンは「カローラフィールダー」で、これは「ヴィッツ」系のプラットフォームを使った車体の小さな日本専用車です。対して「カローラ ツーリングスポーツ」は「プリウス」などと同じ「TNGA-Cプラットフォーム」を使ったCセグメントのワゴンで、車格も車体サイズもひとまわり大きく、もし日本で発売されるとしても価格上昇は避けられないでしょう。
しかしながら、カローラの改革を進める流れもあって、日本でもこの「カローラ ツーリングスポーツ」が販売されるとも言われています。デビュー時期は、来年の夏以降ではないでしょうか。
ところで、このモデルの先代は「オーリス ツーリングスポーツ」と呼ばれていました。しかし欧州において「オーリス」が「カローラ」へと車名変更したことに伴い、新型は「カローラ ツーリングスポーツ」となったのです。
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