風吹裕矢の愛車として子どもたちを熱狂させた
1970年代中ごろ、子どもたちの周りにあるさまざまなモノがクルマ関連グッズと化した空前絶後の「スーパーカーブーム」。当時の子どもたちを熱狂させた名車の数々を回顧するとともに、今もし買うならいくらなのか? 最近のオークション相場をチェック。今回はブームを象徴する漫画『サーキットの狼』の主役カーとして人気を集めたロータス「ヨーロッパ」です。
長年抱いていた「サーキットの狼」の謎が解明! ロータス「ヨーロッパ」で風吹裕矢と同じことができるのか調査しました
ブームの火付け役となり、スーパーカーとして語られることに
スーパーカーブームの火付け役となったのは、1975年から『週刊少年ジャンプ』での連載がスタートした漫画『サーキットの狼』である。池沢早人師さんによるこの大人気漫画には実在するクルマが数多く登場。主人公、風吹裕矢の愛車として公道やサーキットでバトルを繰り広げたロータス ヨーロッパもその中の1台だ。
ブーム全盛時はランボルギーニ「カウンタック」やフェラーリ「BB」シリーズが子どもたちのヒーローとして君臨していたので、12気筒エンジン、ミッドシップレイアウト、リトラクタブルヘッドライト、ウェッジシェイプのスーパーカーが一番エライといった風潮があったが、ヨーロッパは4気筒エンジンを積んだライトウェイトスポーツカーでありながら『サーキットの狼』の影響でバリバリのスーパーカーとして語られることになったわけである。
JPSカラーをまとったヨーロッパ スペシャルの存在感も抜群だった
ロータス初のミッドシップレイアウト量産ロードカーとして1966年にデビューしたヨーロッパは、シリーズ1、シリーズ2(1968年登場)、ツインカム(1971年登場)、スペシャル(1972年登場)と発展し、後継モデルの「エスプリ」とバトンタッチするかたちで1975年に生産終了となった。
仕様が異なる4モデルが存在していたわけだが、そのような変遷のことなどまったく気にしていなかった往時の子どもたちが魅了されていたのは、最終型となったヨーロッパ スペシャルであった。『サーキットの狼』の劇中に登場した風吹の愛車もカッコよかったが、ロータスF1チームのカラーリング(JPSカラー)をイメージしたゴールドのピンストライプがボディの各所に入っているヨーロッパ スペシャルの存在感は圧倒的で、6気筒および8気筒スーパーカーのそれを凌駕し、カウンタックやBBの横に並んでも遜色ないオーラを放っていた。
池沢早人師さんが若き日に見惚れたヨーロッパとは?
ちなみに、『サーキットの狼』に登場したロータス ヨーロッパは池沢早人師さんが実際に乗っていた愛車がモチーフで、ナンバープレートまで同じであった。以前お会いした際に池沢さんは語ってくれた。
「リアウイングは当時グラチャン(1971年から富士スピードウェイで開催されていた富士グランチャンピオンレースのこと)をやっていたショップに頼んで造ってもらったモノだったんだよ。ファイバーに2点だけで固定するのは無理がある、ということで、ロッドを介してセンターにも支点を設けた点がポイントだね。レース好きならではの発想でしょ? リアウイングを付けようなんて」
また、このようにも話してくれた。
「若い頃はS30型フェアレディZに乗っていたんだ。その後、22歳のときにトヨタ2000GTを買って乗っていたんだけど、ある日、そのときの地元だった新井薬師でロータス ヨーロッパを目撃したんだよ。リアにウイングが付いた赤いシリーズ2で、白いラインが入っていた。うわぁ、凄くカッコイイって素直に思ったね。もうすぐ24歳になるというタイミングで自分も買ったわけ。僕のはリアウイングが付いた白いヨーロッパ スペシャルだったけど、『サーキットの狼』に登場させたのは、新井薬師で見た赤いシリーズ2とは真逆のカラーコーディネイトにしたんだ。つまり、ボディカラーが白で、赤いラインを入れたんだよ」
そのようなエピソードを子どもの頃に知っていたら、風吹の愛車に対する見方が少し変わっていたのかもしれないが、実車の世界ではゴールドのピンストライプを特徴とするロータス ヨーロッパがスーパーカーブームを盛り上げ、いまでも各地のイベントでその雄姿を披露しているのであった。
オークションでは高騰傾向だが今ならまだ現実的なゾーン
大手のミニチュアカーメーカーが現在も題材とするほどの人気モデルであるロータス ヨーロッパも、数年前から価格が高騰してきている。2020年10月にアメリカでRMサザビーズが開催した「The Elkhart Collection」オークションでは、JPSカラーの1973年式ロータス ヨーロッパ スペシャルが4万7600ドル(当時レートで邦貨換算約498万円)で落札されている。
値上がりする前はライトウェイトスポーツカーのエントリーモデル的な価格で流通していたが、もはや、そういう時代ではないのだ。とはいえ、同時代の12気筒エンジンスーパーカーたちと比べればまだまだ現実的な価格帯であり、スーパーカーブーム世代にとっては狙い目とも思える。
ブラックのボディにゴールドのピンストライプが入ったヨーロッパ スペシャルを3桁万円で買えるならラッキーだと言えるだろう。
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散歩中のワンコと目が合う
地底人と出くわす事がある