■個性的で魅力あふれる限定車を振り返る
「限定」という文字には人を引きつける魔力があるようです。クルマの場合は台数限定や期間限定で販売されるモデルを「限定車」と呼びますが、近年はとくに台数限定の限定車が大いに話題となっています。
限定車のなかには装備が充実してお買い得な特別仕様車や、スタンダードなモデルラインとは異なる仕様のモデルもあり、どちらも人気となるケースが散見されます。
近年、発表と同時に注目されるのがモデルライフの最後を飾る「ファイナルエディション」や、高性能車の性能をさらに高めたモデルで、毎回のように争奪戦が繰り広げられ、発表と同時に完売もしくは抽選販売されることも珍しくありません。
一方で、そこまで激しい争奪戦に発展していなくても、振り返ってみると大いに魅力的な限定車が存在。そこで、見つけたら即買いの限定車を、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「カローラツーリング 2000リミテッド」
2019年9月にトヨタは12代目となる「カローラ」シリーズを発売。海外で販売するカローラと共通のプラットフォームながら、ボディサイズを若干小さくして日本市場に対応したことが大いに話題となりました。
ボディタイプはセダンに加えステーションワゴンの「カローラツーリング」を設定。カローラツーリングは今では数少ない新型ステーションワゴンであるだけでなく、シャープなデザインとなったフロントフェイスに流麗なフォルム、6速MT車をラインナップするなど、スポーティな面を強調したモデルとなっています。
スタンダードモデルに搭載されるパワーユニットは、1.8リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドと、1.8リッター直列4気筒自然吸気、1.2リッター直列4気筒ターボの3タイプですが、2020年6月に2リッター直列4気筒エンジンを搭載した特別仕様車「カローラツーリング 2000リミテッド」を、500台限定で発売。
この2リッターエンジンは最高出力170馬力を発揮する「ダイナミックフォースエンジン」で、これまで「RAV4」やレクサス「UX」に搭載され、高効率でパワフルという特徴があり、今では数少ない2リッター自然吸気エンジンです。
トランスミッションはパドルシフト付10速スポーツシーケンシャルシフトマチック(CVT)が組み合わされました。
外装では、切削光輝+ブラック塗装の17インチアルミホイールや、シルバーメタリック塗装のルーフレールなどを特別装備し、カラーリングも特別色を設定。
通常のモデルラインでは設定されていないエンジンを搭載した限定車は、ハイスペックなスポーツモデルでは珍しい存在ではありませんが、カローラツーリングのような比較的実用的なモデルはレアなケースです。
さらに、2021年4月にはアウトドアテイスト特別仕様車「カローラツーリング アクティブライド」を500台限定で発売。同じく2リッター・ダイナミックフォースエンジンを搭載しています。
●フィアット「パンダクロス」
1980年に、フィアットの新時代の大衆車として初代「パンダ」が誕生しました。内外装は巨匠ジョルジェット・ジウジアーロによるデザインで、シンプルながら秀逸な外観とパッケージング、安価な価格で大ヒットを記録しました。
その後、一旦は系譜が途絶えましたが2003年にすべてを一新した2代目が登場し、現行モデルのパンダは3代目で、日本では2013年から販売されています。
3代目では4WDモデルの「パンダ4×4」が遅れてラインナップされ、日本では限定車として数回販売されましたが、さらにパンダ4×4をベースに本格的なオフロードモデルに仕立てられたのが「パンダクロス」です。
パンダクロスの外観はパンダ4×4とシルエットは変わっていませんが各部の意匠は大きく変更され、とくにフロントフェイスはパンダクロス専用のワイルドな印象へと一新。
アンダーガード状の前後バンパーや、独自のデザインとなっているヘッドライトまわり、最低地上高を15mmアップするなど、ワイルドなイメージです。
パワートレインはパンダ4×4のものを受け継いでおり、最高出力85馬力を発揮する900cc直列2気筒ターボエンジン「ツインエア」を搭載し、トランスミッションは6速MTのみが組み合わされ、フルタイム4WDシステムにはセンターデフに電子式デフロックを採用するなど、高い悪路走破性を実現しています。
パンダクロスは欧州ではカタログモデルでしたが、日本では2020年10月に150台限定で発売され、さらに2021年4月には第2弾として215台が限定販売されました。
優れた悪路走破性を持つコンパクトカーという、かなり希少なモデルではないでしょうか。
●ルノー「カングー ディーゼルMT」
ルノーが日本で販売するモデルのなかで、長年ベストセラーに君臨していたのがトールワゴンボディで後席スライドドアの「カングー」です。
初代カングーが誕生したのは1997年で、日本では2002年に発売されると5ナンバーサイズに収まるコンパクトなボディに、トールワゴンながら優れたハンドリングが高く評価されて次第に人気が高まりました。
そして、2007年に2代目カングーが欧州でデビューし、日本では2009年に発売。一気に大型化したボディには賛否両論ありましたが、デザインや広い室内、初代と同じく走りが好評で初代以上のヒット作になります。
日本で異例のヒット作となった2代目カングーですが、本国では2021年3月に3代目が登場して日本での発売時期は未定ですが、すでに2代目の生産は終了しました。
この2代目カングーの有終の美を飾る最後の限定モデルが、2021年7月に発売された「カングー ディーゼルMT」です。
その名のとおり1.5リッター直列4気筒ディーゼルエンジンを搭載し、トランスミッションは6速MTのみで、日本におけるカングーシリーズでは初のディーゼル車となっています。
外観はガソリン車と大きく変わっておらず、デイタイムライトやエンブレム、グリルまわりの一部が塗装されるにとどまり、内装も変更されていません。
もともとルノー・ジャポンはこれまで何度もカングーの限定車・特別仕様車を販売しており、どれも完売する人気ぶりでしたが、限定400台のカングー ディーゼルMTはわずか数日で完売したといいます。
まだ、デリバリーが始まったばかりで中古車市場にはほぼ出回っていませんが、まさに見つけたら即買いの1台といえるでしょう。
※ ※ ※
ここ数年の限定車で問題になっているのが「転売ヤー」の存在です。文字どおり価格が上がることを見越して購入し、購入価格以上の価格で転売する人たちの総称ですが、コンサートチケットなどのダフ屋行為と異なり、物品を転売する行為自体は違法ではありません。
しかし、本当に欲しい、クルマの場合は乗って楽しみたい人が手に入れられないという結果となるため、モラルに反するという意味で批判されています。
メーカーも抽選販売や受注期間限定で販売することで転売対策をおこなっていますが、トヨタのディーラーは新型「ランドクルーザー 300」を販売する際に、転売と輸出を禁ずる誓約書にユーザーがサインすることを求めて話題となりました。
ただし、やはり転売は違法行為ではなく商取引の一環であることには変わらず、抜本的な対策はメーカーが潤沢に供給するしかないのが実情で、そうなると、もはや限定車の意味もなくなってしまいます。
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みんなのコメント
これは孔明…くるまのニュース記者の罠じゃ!
中古車屋からお駄賃もらった提灯記事の通常運行。
無塗装樹脂バンパー自体は合理的だし嫌いじゃないが、そもそもなぜか日本でイメージカラー推しされてるカングーのレモンイエロー、こんなの本国フランスや海外では見たことないやつ。