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「バブルマツダ、フラッグシップセダンの競演」センティアエクスクルーシブ×MS-9 30タイプIV【ManiaxCars】

掲載 更新 34
「バブルマツダ、フラッグシップセダンの競演」センティアエクスクルーシブ×MS-9 30タイプIV【ManiaxCars】

3.0L V6エンジンを搭載したFRモデル、充実装備でクラウンセドグロに対抗!

ルックスと乗り味は和製ジャガー的

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1991年5月、それまで君臨していたルーチェに代わり、マツダの新世代フラッグシップセダンとして登場したのがセンティアだ。直線基調のデザインだったルーチェに対して、三次元曲面が連続する有機的なスタイリングとされたセンティアは、新しい時代の幕開けを感じさせるのに十分なインパクトを持っていた。

それに遅れること5ヵ月、センティアの兄弟車としてアンフィニチャンネルからMS-9がデビュー。相違点はフロントグリルやホイールのデザインなどわずかなもので、基本的にはバッジ違いのモデルだ。いずれも、エンジンは3LV6のJE-ZE型(200ps/27.7kgm)と2.5LV6のJ5-DE型(160ps/21.5kgm)の2種類が用意された。

取材車両はどちらもJE-ZE型を搭載する前期型の最上級グレード。センティアはエクスクルーシブ、MS-9は30タイプIVとなる。JE-ZE型はHCルーチェに搭載されたエンジンの改良版で、最高出力は変わらないけど、最大トルクが向上。その発生回転数も4500rpmから3500rpmへと低められ、実用域における扱いやすさを高めた。

2台が目指したのは、クラウンやセドリック/グロリアなどに代表される日本の伝統的な高級セダンとは一線を画すコンセプト、デザイン、走りだ。その一方で、ほぼ時を前後して登場したシーマやレジェンドなどの“新興勢力”とも対峙しなければならなかった。思えば、国産フラッグシップセダンもなかなか熱い時代だったな、と。

そんなライバルたちがひしめき合う中を生き抜くための、決意表明とも受け取れる文言がMS-9のカタログにある。いわく、『プレステージだけでは語り切れない新しい価値』。あたかもクラウンやセドリック/グロリアを挑発するかのようなフレーズが、当時のマツダの勢いを表しているようだ。

まずはMS-9 30タイプIV。販売期間はわずか2年と3ヵ月で、マツダの経営が大きく傾いた時期と重なるため、マイナーチェンジを待たずセンティアに統合されるという悲しい過去を持つ。

ボディ色でインフィニットブルーもしくはシルバーミストメタリックを選ぶと内装色はグレー。最上級グレードのエクスクルーシブはオーストリアのシュミットフェルドバッハ製本革シートが標準となる。前席は運転席4ウェイ、助手席2ウェイのパワーシート。ちなみに、センティアにはないMS-9専用ボディ色としてブラックフォレストマイカが用意されていた。

また、前輪に対して後輪が低速域では逆位相、中高速域では同位相に切れる車速感応型4WSを全グレードに搭載。後ろから下回りをのぞくと、リヤサスメンバーには後輪操舵用のステアリングラックが確認できる。デュアルテールマフラーはサイレンサー内にバルブが設けられ、低速時は1本、高速時は2本で排気を行なうように自動制御。静粛性と排気効率を両立する。

続いてセンティアエクスクルーシブ。カタログのトップを飾るまさにその仕様で、20数年の時を超えてタイムスリップしてきたかのような抜群の程度を誇る。

ボディ色は、デビュー当時のイメージカラーであったボルドーマイカ。内装色はベージュ系のトープとなる。カタログを開けば、この組み合わせを延々と見ることができるが、実車ではかなり珍しかったりする。ステアリングホイールとATセレクターレバーはもちろん、アシストグリップまで本革巻き。センターコンソールパネルには本杢があしらわれている。

さらに、この個体には今や激レアアイテムとなった純正オプションやアクセサリーが満載。たとえば、ハーフシートカバーとの同時装着も可能な折り畳み式シートバックテーブル。当時のカタログを見ると取り付け工賃込み4万4300円のアクセサリーだ。

また、ソーラーベンチレーションシステム(太陽電池内蔵チルトアップ付き電動スライドガラスサンルーフ)とハンズフリーテレフォンシステムは、エクスクルーシブだけに用意されたセットオプションだったりする。

右Cピラー部のパーソナルランプ(1万5500円)や、スピーカーボード中央のビルトイン式カーエアクリーン(三菱製空気清浄器トープ/5万円)も純正アクセサリー。

外装では、ステンレスの輝きが高級感を一層高めるフロントエアダムスカート(2万2300円)、サイドシルモール(2万4500円)、ホイールアーチモール(1万5300円)、ルーフバイザー(1万3700円)なども、もれなく装着される。

さて、試乗だ。まずエンジンは排気量3Lだけど、思いのほか低中速トルクが細い印象。高速道路での追い越しはメーター読み130km/h以上で巡航していればあまり気にならないけど、法定速度を守ってる限り4速のままだと加速が物足りなく、意識的に3速キックダウンを使いたくなるほど。もちろん、回せばパワーは出てくるけど、フラッグシップセダンのパワーユニットとしては相性がいまひとつのような気がする。

当たりが柔らかくコンフォートな足回りは、そのセッティングが絶妙。道路の継ぎ目や起伏などを越えた時、ピッチ方向の動きは割と大きめに出るのに、ロール方向の動きはしっかり規制されている。記憶をたどってこれまで試乗したことがあるクルマに当てはめるなら、実はその最終型が時期的にセンティア/MS-9と微妙にオーバーラップしてるジャガーXJ12(シリーズIII)に近い乗り味だと思う。

ここにもうひとつ付け加えるなら、前後オーバーハングの感じとか尻下がりのトランクリッドとか、センティア/MS-9が醸し出す雰囲気はジャガーに似てなくもない…というのは言いすぎか!?

それと、評判がイマイチな4WSの印象も悪くはなかった。リヤの独特な動きに慣れるまで腰やお尻にムズムズ感が残るが、全長5mに迫るクルマとしてはおそろしく小回りが利くし、高速道路でのレーンチェンジでは抜群の安定感を見せてくれたからだ。

■MS-9 30 TYPEIV

車両型式:HDES

全長×全幅×全高:4925×1795×1380mm

ホイールベース:2850mm

トレッド(F/R):1510/1525mm

車両重量:1640kg

エンジン型式:JE-ZE

エンジン形式:V6DOHC

ボア×ストローク:φ90.0×77.4mm

排気量:2954cc 圧縮比:9.5:1

最高出力:200ps/6000rpm

最大トルク:27.7kgm/3500rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式:FRマルチリンク

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:FR205/65R15

■SENTIA EXCLUSIVE

車両型式:HDES

全長×全幅×全高:4925×1795×1380mm

ホイールベース:2850mm

トレッド(F/R):1510/1525mm

車両重量:1640kg

エンジン型式:JE-ZE

エンジン形式:V6DOHC

ボア×ストローク:φ90.0×77.4mm

排気量:2954cc 圧縮比:9.5:1

最高出力:200ps/6000rpm

最大トルク:27.7kgm/3500rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式:FRマルチリンク

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:FR205/65R15

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

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みんなのコメント

34件
  • 初代センティア、良い車だったなぁ。
  • ルーチェの後継で柄は大きかったが、車格的には、マーク2やローレルクラスの車で安かった。塗装は良かったが、車重がライバルより重く静粛性は高いものの燃費面では厳しかった。このころマツダは、高級路線のアマティ計画を進めていたが消滅した。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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