今は軽自動車のスーパーハイトワゴンが高い人気を得ている。全高が1700mmを超えるボディにスライドドアを装着して、4名乗車時の居住性、後席を格納したときの積載性、乗降性などを向上させた。実用的で人気も高く、今は新車として売られる軽乗用車の半数以上がスーパーハイトワゴンだ。
その主力車種となるダイハツタントがマイナーチェンジを実施した。従来は標準ボディとエアロパーツを備えるカスタムを設定していたが、新たにSUV風のファンクロスも加えた。ここではライバル車と比べてみたい。取り上げる車種は、軽自動車で販売1位(2022年1~9月)のホンダN-BOX、2位のスズキスペーシア、3位のタントになる。
「軽王者」に勝てるか!? N-BOX対スペーシア対タント 軽ライバル3強の頂上決戦開幕!!
文/渡辺陽一郎、写真/HONDA、SUZUKI、DAIHATSU、ベストカー編集部
視界&運転のしやすさの一番は? 気になる室内空間を徹底比較!!
N-BOXのインパネ。前方視界はライバルと比べて良くないが、内装の質感は最も高い
前方視界は、インパネの上端を平らに仕上げたスペーシアが最も優れている。2位はタント、3位はN-BOXだ。N-BOXはインパネの最上部に装着されたメーターは見やすいが、上端の位置が高いから前方視界は良くない。圧迫感も生じる。後方視界は各車とも同等だ。
最小回転半径は、売れ筋の14インチタイヤ(155/65R14)装着車で見ると、タントとスペーシアは4.4m、N-BOXは4.5m(4WDは4.7m)になる。
*評価の順位
・No.1:スペーシア
・No.2:タント
・No.3:N-BOX
●内装のデザイン/質感/視認性/操作性比較
内装の質感では、N-BOXが高いコストを費やした。メーターの視認性もN-BOXが少し優れるが、タントやスペーシアも見やすい。操作性は各車とも良いが、スペーシアのハザードランプスイッチは、ドライバーから少し離れて少々使いにくい。
*評価の順位
・No.1:N-BOX
・No.2:タント
・No.3:スペーシア
●前後席の居住性比較
前席のサイズや座り心地は、3車とも同程度だ。車内の広さにも大差はないが、後席の足元空間は少し異なる。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席のスライド位置を後端に寄せたときの膝先スペースは、タントとスペーシアが握りコブシ3つ半、N-BOXは握りコブシ4つ分に達する。
N-BOXは後席の足元空間が広いが、座り心地は柔軟性が乏しい。居住空間の広さは3車とも充分だから、後席の座り心地でタントが1位になる。
*評価の順位
・No.1:タント
・No.2:スペーシア
・No.3:N-BOX
●乗降性比較
センターピラーレスドアを採用することにより、抜群の乗降性を誇るタント
タントが最も優れている。左側のピラー(柱)はドアに内蔵され、前後ともに開くと開口幅は1490mmに広がる。雨天時などは、ベビーカーを持った状態で車内に入り、子供をチャイルドシートに座らせる作業を行える。自転車のような大きな荷物は、リヤゲートよりも、ワイドに開く左側面の方が積みやすい場合がある。タントは状況に応じて、多彩な使い方を可能にした。
乗降性の2位はN-BOXだ。タントのようにピラーをスライドドアに内蔵した造りではないが、スライドドアの開口幅は左右ともに640mmとワイドだ。3位はスペーシアで、スライドドアの開口幅は600mmになる。
*評価の順位
・No.1:タント
・No.2:N-BOX
・No.3:スペーシア
●荷室&シートアレンジ比較
タントはマイナーチェンジを受けて、荷室のアレンジを変更した。以前は後席の背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がり、ワンタッチで床の低い荷室に変更できた。それが現行型は、シート骨格をムーヴキャンバスと共通化して、座面の昇降機能を省いた。背もたれは単純に前側へ倒れるだけだ。そのために広げた荷室の床に段差ができてしまう。
そこで荷室後部のデッキボードを上下2段式にした。上段にセットすると、段差を埋められる。その代わり後席を格納したときの床は、以前に比べて50mmほど高く、その分だけ荷室高が減った。後席を前寄りにスライドさせた状態で、背もたれを前側に倒すと、デッキボードを上段にセットしても後席との間に隙間が生じる。
以前は後席の背もたれを倒して格納したときに、荷室の床面に傾斜ができた。それが現在は、デッキボードを上段にセットすれば、荷室の床が平らになる。このときには、デッキボードの下側を収納設備として使える。改良後は新たな使い勝手を備えるが、前述の通り床は高い。荷室容量を重視するユーザーには適さない。
路面から荷室開口下端部までの高さは、N-BOXは470mm、スペーシアは510mm、タントは580mmだ。重い荷物を積むときに、N-BOXであれば、高い位置まで持ち上げる必要はない。N-BOXは荷室の使い勝手が優れている。
なおタントファンクロスは、外観をSUV風にアレンジしたタイプとあって、後席の背面に防水加工を施した。アウトドアで使ったグッズも積みやすい。スペーシアギアも、荷室に汚れを落としやすい加工を施した。
*評価の順位
・No.1:N-BOX
・No.2:スペーシア
・No.3:タント
燃費はタントが1番!! 比較しておきたい運転性能の行方は?
●動力性能&エンジンフィーリング比較
売れ筋のノーマルエンジンで比べた場合、実用回転域の駆動力はタントが少し高い。加速が滑らかで洗練されているのは、少しパワー不足だがN-BOXだ。スペーシアは、ライバル2車に比べると、実用回転域の駆動力が物足りない。
*評価の順位
・No.1:N-BOX
・No.2:タント
・No.3:スペーシア
●走行安定性&操舵フィーリング比較
タントは全高が1700mmを超える軽自動車としては、操舵感の鈍さを抑えて車両の向きが自然に変わる。走行安定性も良好だ。スペーシアは操舵感は鈍めだが、ボディが軽く、背の高さをあまり意識させない。N-BOXは直進安定性は優れているが、カーブではボディが大きめに傾く。
*評価の順位
・No.1:タント
・No.2:スペーシア
・No.3:N-BOX
●乗り心地&静粛性比較
乗り心地と静粛性は、N-BOXが最も優れている。ボディ剛性を高め、遮音も入念に行ったから、乗り心地が快適でノイズも小さい。次はタントで、時速40km以下の低速域では、路上の細かなデコボコを伝えやすい。それでも発売直後に比べると、角が丸い乗り心地になった。スペーシアは低速域での粗さが気になる。
*評価の順位
・No.1:N-BOX
・No.2:タント
・No.3:スペーシア
●燃費性能比較
売れ筋になる標準ボディのノーマルエンジン搭載車(2WD)でWLTCモード燃費を比べると、タントファンクロスが21.9km/Lだ。N-BOXカスタムLと、スペーシアギアハイブリッドXZは、両車ともに21.2km/Lで等しい。タントの燃費性能が若干ではあるが、ライバル車よりも優れている。
*評価の順位
・No.1:タント
・No.2:N-BOX/スペーシア
気になる納期と割安度は? 注目しておきたいグレードもチェック!!
●注目グレードと割安度比較
お買い得感が最も高いスペーシアギアハイブリッドXZ。スペーシアをベースにSUVテイストをプラスしたグレード
タントの買い得&注目グレードは、新たに加わったノーマルエンジンを搭載する2WDのファンクロス(172万1500円)だ。スペーシアはSUV風のギアハイブリッドXZ(172万5900円)になる。N-BOXはエアロパーツを備えたカスタムL(178万9700円)としたい。
このように全車の買い得&注目グレードは、すべて170~180万円に集中する。この3車がスーパーハイトワゴンの代表として、厳しい価格競争を展開しているからだ。
最も買い得なのはスペーシアギアハイブリッドXZだ。運転支援機能のアダプティブクルーズコントロール、エアコンの冷気を後席に送るスリムサーキュレーターなどを標準装着して、価格は割安だ。
N-BOXカスタムLは、価格の割に内外装を上質に仕上げた。乗り心地なども含めると買い得感が強い。
タントは改良を受けて、シートアレンジを簡略化したり、主力グレードに標準装着されていた運転席ロングスライドシートをオプションに変更している。以前よりも少し割高感を強めた。
*評価の順位
・No.1:スペーシア
・No.2:N-BOX
・No.3:タント
●総合評価
各車種ともに明確な個性を備える。タントは左側のワイドに開くスライドドアが特徴で、後席の座り心地や走行安定性も良い。その代わり今は価格が少し割高になった。N-BOXは上質な内装、乗り心地、静粛性が特徴だ。車内も広くファミリーカーとしても使えるが、後席の座り心地はもう少し快適にしたい。
スペーシアは、収納設備が豊富で雰囲気が馴染みやすい。上質感はいま一歩だが、価格の割に機能や装備を充実させて買い得な印象だ。いずれの車種も一長一短で、激しい競争を展開している。
なお販売店に納期を尋ねると、タントとスペーシアは約3カ月で、N-BOXは6カ月以上であった。タントとスペーシアは今の状況を考えると短めだが、急に延びることもあるから、購入するなら早めに商談を開始したい。
N-BOX、スペーシア、タントの項目別順位表
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みんなのコメント
N-BOXは電動パーキング付きの現行型で、先日初めて300kmほど高速道路ドライブをしました。
NAながら大人3名乗車でもターボ付きの余裕感は無いものの、予想以上に走ってくれました。
エンジン本体の出力特性とCVTの緻密な変速コントロールが、ここ数年での大きな進化を感じました。
以前なら軽はターボ一択という考えでしたが、NAでも100km/h(3,000rpm)は比較的静かで、そこから120km/h区間の加速もアクセルベタ踏みせずとも十分に流れに乗った走りが可能でした。
その際の実燃費は21.0km/Lで、高速道路中心でしたがお値段以上の性能に感じました。
ライフ、ゼスト、初代タント、ソニカ、ムーヴ
ホンダはエンジンと足回りがいい。
ダイハツはトータルで使いやすいが
惜しいのはガタゴトする足回り。
これさえ良くなれば…