現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 今、Sクラスを選ぶ合理的理由とは

ここから本文です

今、Sクラスを選ぶ合理的理由とは

掲載 更新 7
今、Sクラスを選ぶ合理的理由とは

誰もが認めるベスト&ロングセラー、半世紀以上に渡りカテゴリートップの地位を占めてきたサルーン。最新モデルにじっくりと付き合ってみて気がついた、メルセデスが狙うポストSクラスまで見据えた、Sクラスの価値を考察する。

変革期に苦しい立場に立たされる“カテゴリースタンダード”

この完成度なら高くない!

初代の商品コンセプト(=スタイルや駆動方式、キャラクターなど)を基本的に変えることなくモデルチェンジを繰り返してきたSクラス。初代は1972年に登場したW116とするけれども、メルセデス・ベンツの大型サルーンはそれ以前からもちろん存在した。50年代に誕生したタイプ220(W187)あたりが先祖だったと言っていい。Sクラスは、言ってみればメルセデス・ベンツの保守本流であり、誰もが認めるベスト&ロングセラーモデルである。

最新モデルのW223でSクラスとしてはついに第7世代に突入した。もちろん他にも長きにわたって同じ名を名乗り沢山売ってきたクルマはいくつかあるけれど、Sクラスほど基本コンセプトの核心がズレなかったというモデルは実は珍しい。これはとても興味深いのだが、商品キャラクター的に真逆に位置するVW ゴルフやポルシェ 911シリーズといった同じくドイツの人気モデルたちが、Sクラスとよく似て変わらないベスト&ロングセラーモデルである。

けれどもこうしたロングセラーモデルはコンセプトを変えて来なかったゆえ、自動車史において最も大きな変革期を迎えようとする今、苦しい立場に立たされているようにも思う。Sクラスやゴルフは自動車史のおよそ半分、半世紀以上に渡りカテゴリートップの地位を占めてきた。いわゆる“カテゴリースタンダードモデル”である。転換期を迎えるにあたり、保守的なイメージの強いスタンダードモデルの処遇にメーカー側が苦慮し始めているように思えてならないのだ。

奇しくも同じタイミングでフルモデルチェンジとなったドイツの両極にしてクラススタンダードモデルの2台、Sクラスとゴルフにそのことがよく現れている。

基本的な乗り味は先代も同じくらい良かったが……

新型Sクラスは率直に言って、“とてもいいクルマ”である。それは間違いない。通常そんな好印象であれば、そのままテストを終えて一件落着となるのだけれど、今回、京都までじっくり付き合ってみて、はたと別のことに気づいた。先代のSクラスも同じくらい良くなかったっけ?、と。

もちろん新型となってよくなった点は多い。デジタル化が進み、運転支援システムは最新装備をフルに搭載し、環境性能も向上した。機能と性能は確かに上がったし、デザインを含めた商品力もアップしている。だから新型Sクラスを買う人が目の前にいて、止めるつもりなど毛頭ない。買って損はしないとさえ思う。けれども、こと基本的な乗り味に関して言えば、先代Sクラスでもほとんど同じレベルに達していたこともまた事実なのだ。

もっというと、先先代(W221)から先代(W222)への進化が凄かった。あえて深読みするとしたならば、メルセデス・ベンツは2020年代の車両開発のベクトルが劇的に変わる、もしくは不透明であることを半ば予想して、先代へのモデルチェンジの時点で、その時考えうる最高のレベルまで車体の性能を引き上げていたのではなかったか。

そう考えると新型Sクラスを発表しながらもその裏で専用のBEV車台を持つピュアEVのEQSを登場させていることにも納得がいく。普通は同じタイミングでフラッグシップを2台も発表したりはしない。けれどもメルセデスは今このタイミングでSクラスの未来を否定することはしないけれども、とはいえBEVのフルサイズサルーン、つまりはSクラスの後継モデルもちゃんと考えていますよ、ということを具体的に見せておく必要に迫られた。

つまりメルセデス・ベンツとしては当面、ふたつの戦略をパラレルで続けなければならないのだ。Sクラスが人気を博す既存市場を守るという戦略と、BEV市場におけるポストSクラスを確立するという戦略である。それゆえこのタイミングで内燃機関を積むモデルの根本的に大幅な改良は避けようとした、もしくは避ける方向で以前から計画が進んでいたのではないだろうか。

もちろん、同じプラットフォームを数世代にわたって使うという手法そのものは今に始まったことではない。けれども走りのクォリティが世代間で驚くほど“変わらなかった”ということは今までにあまりなかったことだ。前世代で劇的に進化したドライブフィールが、今世代にはそのまま引き継がれた。内燃機関モデルに投入できる人とカネには限りがあったとみるべきである。

誤解のないようにもう一度言っておくと、だからといって現行型Sクラスに買う価値がないかというとそれは違う。乗り味が先代とさほど変わらないというだけで、逆にいうとW222がデビュー時点で凄すぎたのだ。特にEQSの日本市場上陸までの間、加えて電気自動車に対する備え(意識やインフラなど)がまだ十分に整っていない今、それはそれとしてSクラスを受け入れた方が合理的というものだろう。

ことドライブフィールに関してW223 Sクラスのレベルは相当に高い。先代からの進化幅こそ小さいとはいうものの、未だその完成度の高さで世界のスタンダードに君臨している。天候や路面状況を選ばない安定した走りと、デジタルコクピットによる多彩な演出能力は、移動のパートナーとして今、最高の部類に入っていると言っていい。

文・西川淳 写真・タナカヒデヒロ 編集・iconic

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【RQ決定情報2025】ARTA GALSのメンバーが発表。昨年から継続の4名がサーキットを盛り上げる
【RQ決定情報2025】ARTA GALSのメンバーが発表。昨年から継続の4名がサーキットを盛り上げる
AUTOSPORT web
【マイクロモビリティ研究所】glafit「NFR-01 Lite」ライトモデルが18万7,000円で登場!(動画あり)
【マイクロモビリティ研究所】glafit「NFR-01 Lite」ライトモデルが18万7,000円で登場!(動画あり)
バイクブロス
【このポルシェ924なんぼ?】え?マジか・・・ 走行距離12,250kmの1979年式ポルシェ924が93万円で入手可能!なんで?
【このポルシェ924なんぼ?】え?マジか・・・ 走行距離12,250kmの1979年式ポルシェ924が93万円で入手可能!なんで?
AutoBild Japan
200万円以下で航続565km!中国で新型EV『悦意03』、若者をねらいうち
200万円以下で航続565km!中国で新型EV『悦意03』、若者をねらいうち
レスポンス
マツダが斬新「4ドア“クーペセダン”」を公開へ! 美しすぎる「黄金比ボディ」に超豪華“木目”インテリア採用! 4本出しマフラーの「VISION COUPE」コンセプトカーを4月披露
マツダが斬新「4ドア“クーペセダン”」を公開へ! 美しすぎる「黄金比ボディ」に超豪華“木目”インテリア採用! 4本出しマフラーの「VISION COUPE」コンセプトカーを4月披露
くるまのニュース
待ちに待ったF1開幕戦は今週末! 今年もオーストラリアGPから全セッションをDAZNでライブ配信。新番組『Motorsports Time』もスタート
待ちに待ったF1開幕戦は今週末! 今年もオーストラリアGPから全セッションをDAZNでライブ配信。新番組『Motorsports Time』もスタート
motorsport.com 日本版
16号車がワコーズブルーに一新! ARTA、スーパーGTに挑む2台のシビックのカラーリングを発表
16号車がワコーズブルーに一新! ARTA、スーパーGTに挑む2台のシビックのカラーリングを発表
AUTOSPORT web
【中国】全長5m級! 日産の新型“後輪駆動”セダン「N7」まもなく登場! 250馬力超えの「斬新“ツルツル”顔モデル」! 美麗な「超静音モデル」25年上期より中国で発売
【中国】全長5m級! 日産の新型“後輪駆動”セダン「N7」まもなく登場! 250馬力超えの「斬新“ツルツル”顔モデル」! 美麗な「超静音モデル」25年上期より中国で発売
くるまのニュース
自宅でEVの普通充電を初体験した話【ヒョンデ・コナ長期レポート#8】
自宅でEVの普通充電を初体験した話【ヒョンデ・コナ長期レポート#8】
AUTOCAR JAPAN
三角停止表示板を携行していない人は56%!! 生死にかかわる三角表示板はなぜ標準装備じゃないのか?[復刻・2013年の話題]
三角停止表示板を携行していない人は56%!! 生死にかかわる三角表示板はなぜ標準装備じゃないのか?[復刻・2013年の話題]
ベストカーWeb
300万円ではじめる英国旧車生活にもってこい! オースティン・ヒーレー「スプライトMk-I」ならパーツ供給も安心…初心者にベストな車です
300万円ではじめる英国旧車生活にもってこい! オースティン・ヒーレー「スプライトMk-I」ならパーツ供給も安心…初心者にベストな車です
Auto Messe Web
30年前の中古のボルボ、ホントに買っても大丈夫?━━僕らのネオクラ車リアルレポ!<第1回>
30年前の中古のボルボ、ホントに買っても大丈夫?━━僕らのネオクラ車リアルレポ!<第1回>
くるくら
【ロイヤルエンフィールド】日本未発表モデルのジャパンプレミアを実施! モーターサイクルショー2025
【ロイヤルエンフィールド】日本未発表モデルのジャパンプレミアを実施! モーターサイクルショー2025
バイクブロス
高山~長野直結!? 夢の短絡ルート「中部縦貫道」工事どこまで進んだ? 東海北陸道⇔長野道の「難所」改良進行中! 高山市街もスルーへ
高山~長野直結!? 夢の短絡ルート「中部縦貫道」工事どこまで進んだ? 東海北陸道⇔長野道の「難所」改良進行中! 高山市街もスルーへ
くるまのニュース
お、顔が変わった!! ヤマハの原付二種スクーター「NMAX」新型モデル発売
お、顔が変わった!! ヤマハの原付二種スクーター「NMAX」新型モデル発売
バイクのニュース
エントリーレベルのBEVコンセプトモデルをワールドプレミア
エントリーレベルのBEVコンセプトモデルをワールドプレミア
OPENERS
移動型サウナ「サバス」、3号車が今夏完成へ…テーマは静岡の茶畑
移動型サウナ「サバス」、3号車が今夏完成へ…テーマは静岡の茶畑
レスポンス
トヨタ、水素で欧州攻略なるか? 中小企業と挑む「脱炭素」戦略! 燃料電池車から水素エンジン車、そしてインフラ構築へ
トヨタ、水素で欧州攻略なるか? 中小企業と挑む「脱炭素」戦略! 燃料電池車から水素エンジン車、そしてインフラ構築へ
Merkmal

みんなのコメント

7件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1559 . 0万円 2289 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49 . 0万円 1848 . 0万円

中古車を検索
メルセデス・ベンツ Sクラスの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1559 . 0万円 2289 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49 . 0万円 1848 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村