先日、ホンダのスポーツフラッグシップ「NSX」の公道試乗をしてきました。3.5L V6ツインターボに3つのモーターを組み合わせたスポーツハイブリッドカーの実力を、法定速度の中で引き出すことは非常に難しく、その圧倒的なパフォーマンスのリミットがどこにあるのかは皆目見当がつかないという状態でしたが、限界性能付近までいかなくともNSXが唯一無二の存在であることはしっかりと感じ取ることはできました。マイナーチェンジで2019年モデルへと進化したNSXは、電子制御によるNSXだけが持つ速さの部分に磨きをかけながら、電子制御の違和感をグッと改善しています。フロントタイヤを左右独立モーターによって駆動することでハンドリングに利用するという電動車両ならではのシャシー性能をスポイルすることなく、よりナチュラルなイメージになったのが、2019年モデルの走りの特徴といえるでしょう。
そんなナチュラルなフィーリングにおおいに貢献していたのは、ブレーキです。試乗車には120万円という高価なオプションの「カーボンセラミックローター」キットが装着されていましたが、価格以上の価値があると思えるほど気持ちよいフィーリングでした。ブレーキペダルを踏んでも、いきなり制動力が立ち上がるようなことはありません。ペダルを踏む足裏とブレーキパッドがつながったかのような感覚で、パッドとローターが触れ、徐々に摩擦力を強めていく様子が、手に取るように(実際には足裏で感じているのですが)わかるのです。
2019年5月に発売される新しいNSXは想像以上に熟成が進んでいる
もっと制動力が欲しいと思えば、踏力を増すだけでギュギュっとパッドがローターをつかみ、思い通りに減速できますし、ペダルを踏む力を緩めれば即座にパッドがリリースされ、リズムよくステアリングを切り込んでいけば、狙ったラインをキレイにトレースしてくれます。この感触は、よくできたチューニングパッド(レーシングパッド)的なもので、制動力を一気に立ち上がることが求められる通常の量産車では採用が難しいキャラクターですが、スーパースポーツのNSXで、しかもオプションだから許されたのでしょう。
走行性能の熟成を担当したエンジニア氏に聞けば、NSXであっても標準装備のスチールローターではカーボンセラミックローターほど踏力に合わせて制動力がリニアに反応するわけにはいかないとのこと。120万円という価格を見ると躊躇してしまう高価なオプションパーツですが、そもそも2370万円もするクルマですから、比率でいえば車両価格の5%程度のオプションです。オーナーになる方には、是非ともカーボンセラミックローターを装着してほしい切にと願います。この制動力による荷重コントロールとフロント左右独立モーターが生む旋回性能は、NSX最大のチャームポイントだと思うからです。
文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト
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