「フィールを味わうことができます。メルセデスのことをよくご存知の方であれば、 EVであってもウェルカムホーム(我が家に帰ってきたよう)な感覚を得ることができると思います。またEVであることの大きなメリットのひとつに静粛性の高さがあります。それはSクラスにも比肩するほどに快適性を最大化します。もちろんスポーティさも忘れてはいません」
日本での発表会の際に来日していた開発責任者のミヒャエル・ケルツ氏に、EQCの特長について尋ねるとこのように答えた。ケルツ氏は、EQCと同時にEクラス、CLS、Cクラス、GLC、という基幹モデルすべての開発責任者を務める、メルセデス一筋32年のダイムラーを代表するエンジニアだ。その人がそういうのだから、いやが上にも期待が高まる。
EQCは、GLCのプラットフォームをベースに、前後軸の位置にそれぞれモーターなどの電動モジュールを、床下に80kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する。後席足元にはセンタートンネルが残っているが、ここにケーブル類などを通してあるという。多少スペースは削られるが、ボディ剛性を増す効果がある。ボディサイズは全長4770×全幅1925×全高1625mmと、新型GLCの3サイズが4658×1890×1644mmだからほとんど変わらない。ホイールベースも2873mmと共通だ。
エクステリアデザインはヘッドライトとグリルとバンパーなどを一体化したスムーズなもの。先日フランクフルトショーで発表されたコンセプトカーの「EQS」などにも同じデザイン手法が用いられており、これからのEQシリーズの特徴といえそうだ。内燃エンジンモデルと同様にオプションでAMGラインパッケージが用意されており、前後バンパーやリアディフューザーの形状がよりスポーティなものになる。
モーターはフロントアクスル、リアアクスルにそれぞれ1基ずつ搭載する。合計出力は408psとなり、最大トルクは765Nmを発揮する。バッテリー容量は80kWhで、カタログ上の航続可能距離は400km。インテリアは新型Aクラスと同様の最新のデザインを踏襲する。メーターナセルを省き、10.25インチのディスプレイを2つ組みあわせてガラスで覆いダッシュボード中央に配置。鍵のかたちをしたローズゴールドのエアコンアウトレットがEQ専用のアイテムとなっている。
典型的なメルセデス車試乗車はAMGライン装着車でフロント235/45R21、リア255/40R21という前後異サイズの「ミシュラン・パイロットスポーツ4 SUV」という高性能SUV用タイヤを装着していた。車検証によると前軸重1210kg、後軸重1280kgと少々リアヘビーな重量バランスやリアのトラクション性能を考慮して、リアタイヤのほうが太くなっている。まさにスポーツカーのような設定だ。
ローズゴールドを使ったエアコンの吹き出し口などEQC独自のデザインを持つインテリア。ディスプレイやタッチパッドなどは、新型Aクラスと同様のデザイン。スターターボタンを押して、アクセルを踏めばスルスルと動き出す。低負荷領域ではフロントのモーターのみで走る。車重は約2.5トン。バッテリー重量が652kgもあるだけにそれなりに重いが、最大トルクは765Nmもあって右足に力を込めれば瞬時にリアの電気モーターが作動し加速態勢に入る。0-100km/h加速は5.1秒なので、ポルシェカイエンS(5.2秒)より速いということになる。ただEVの常で高速での速度ののびはそれほどでもない。カタログ値の最高速度は180km/h。アウトバーンの国のクルマだけれども、モーターの強みはタウンスピードにありというわけだ。
Aクラスと同様のタッチパッド型のコントローラー。スワイプ、拡大などスマートフォンと同じように操作できる。21インチのスポーツタイヤに、ノイジーさと乗り心地の硬さを覚悟していたが、車両重量の重さも功を奏してか、路面からの大きな突き上げも吸収してしっとりと走る。タイヤノイズも日常域ではほとんど気にならない。快適な乗り心地にケルツ氏が「典型的なメルセデス」と言っていたのを思い出した。
あくまでメルセデスらしさを志向しているEVならではの機能なのは、パドルシフトを使って回生ブレーキのきき具合をコースティング、低、中、高の4段階で調整できること。ダイムラーの方針としてあくまでも停止はドライバーの意思で、ということで完全停止はしない設定になっているが、高であれば最大減速力2.5m/S2を発生するためワンペダルに近いフィーリングが得られる。パドルシフト方式は、マニュアル・ギアでのシフトダウンのような感覚で使い勝手もよい。
バッテリーをフロア下に配置することにより、フラットで広い開口部を持ったラゲッジルーム。通常時の積載容量は500リッターで、後席を倒せば1460リッターまで拡大する。航続距離はWLTCモードで約400km。渋滞する夕方の都心と首都高を1時間半ほど走って電費モニターの表示は約4km/kWhだった。320km程度は走る計算になる。充電に関しては、6kWまでの普通充電と50kWまでのCHAdeMO規格に対応する。そして国内に約 21000 基ある充電施設の利用料及び月額基本料を1年間無料とするサービスや5 年間、10万kmまでの一般保証と無償のメンテナンスプログラム「EQケア」を標準設定するなど、サポート体制も充実している。
冒頭のケルツ氏に言葉にあるように、EVであることではなく、メルセデスであることを打ち出したクルマなのだと感じた。EQCは1886年にガソリン自動車を生み出したダイムラーからの、新時代へ向けた試金石となるものだ。
文・藤野太一 写真・柳田由人 編集・iconic
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
緊急避難なら駐車違反が罰せられないなら「腹痛で路駐してトイレに駆け込んだ」ってあり? 違反が免除されるケースとは
一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?