■シビックタイプRの限定モデルが発売! でもすぐに完売になるかも?
日本人は「限定」という言葉に弱いといいますが、それは高額なクルマでも同様なようです。とくに、スポーティさをウリにするモデルは、販売が開始されるとすぐに売り切れてしまことが多いです。
多くの人が欲しがるスポーティモデルの限定車には、どのような魅力があるのでしょうか。
2020年10月8日、ホンダは「シビックタイプR」マイナーチェンジを実施し、翌9日から発売すると発表しました。
さらに、その限定モデルとして、ボディの軽量化や専用装備によりピュアスポーツ性能をさらに追求した「シビックタイプR リミテッドエディション」を11月30日に発売。
このモデルは、日本をはじめ、欧州、北米、オーストラリアなど全世界で約1000台が限定販売され、日本では200台限定で展開されます。
なお、リミテッドエディションの販売方法についてホンダは、「国内で販売する200台のうち、シリアルナンバー1番から10番の車両の商談権につきましては、専用WEBサイトにて10月より抽選申し込み受付(WEB限定)を開始致します。応募・抽選方法の詳細については、10月よりご案内致します」とアナウンスしています。
このような限定モデルの販売は、価格や詳細スペックが明らかになる前から話題となり、ホンダのカナダは2020年5月28日に限定100台の予約開始をスタートさせましたが、「予約開始から4分で完売」とアナウンスするほどの人気ぶりです。
ほかにも、スバルは定期的に限定モデルを販売することが多く、とくに「WRX STI」の
限定車は、2015年に「S207(限定400台/599万4000円から637万2000円)」、2017年に「S208(限定450台/626万4000円から710万6400円)」、北米向けには2019年に「S209(限定209台/6万3995ドル(約676万円)」と多くを展開。
2019年末の生産終了時に限定販売された「EJ20 ファイナルエディション」においては、555台限定のところ、23倍となる約1万3000件もの応募が集まりました。
また、光岡は創業50周年記念モデルとしてマツダ「ロードスター」をベースにした「ロックスター(限定200台/469万8000円から518万4000円)」で販売し、瞬く間に完売しました。
そして、そのベースのロードスターも2019年で30周年を迎えたタイミングで特別仕様車「ロードスター30周年記念車」を日本ではロードスター(110台)/ロードスターRF(40台)を合わせて150台限定で販売。
なかでも、ロードスターに対しては約17倍となる1900件以上の申込みが殺到したといいます。限定モデルについて、マツダは次のように話しています。
「ロードスターは1989年に誕生し、これまでの累計生産台数は全世界で100万台を超えています。
2019年2月に開催されたシカゴモーターショーで世界初公開されたロードスター30周年記念車は、直後の予約開始からわずか4時間で北米で販売される限定500台が完売しました。また、キャンセル待ちをする人は完売後も増え続けていたようです。
この限定モデルは、30周年という記念すべき節目で設定されたことや目を引くオレンジという色など特別感があったのかもしれません」
※ ※ ※
また、スポーツカー専門の中古車販売店スタッフは、近年の限定モデルの人気について、次のように話しています。
「かつての限定モデルは単純にそのブランドやモデルのファンが買い求めていたほか、通常モデルより装備が充実しているために人気となるケースがありました。
しかし、最近の限定モデルは標準モデルには出来ないような改良やパーツ追加がおこなわれており、性能が格段に向上していることが多いです。
また、購入する側では転売目的が多く目立ちます。限定台数が少ないほどプレミアム価格が付き、モデルによって新車購入時の2倍の金額になるものも存在します。
とくに、シビックタイプRとスバル車ではその傾向が高く、日本もみならず海外のファンやコレクターが買い付けることもあります」
■なぜメーカーは限定モデルを発売するのか
従来、通年販売されるカタログモデル以外に定期的に特別仕様車が設定されますが、これらは基本的に台数限定ではなく、そのモデルの販売力を向上させるために装備や機能を充実させて販売されることが多いです。
このような特別仕様車は、メーカー側が全国的に展開するもの以外に各地域の販売会社が差別化を図るために独自で設定することもあります。
しかし、前述の限定モデルの多くは、通常のカタログモデルや期間や台数を問わない特別仕様車では出来ないような改良が施されています。
かつて台数限定で販売された国産スポーティモデルの関係者は次のように話しています。
「カタログモデルでは、開発メンバーがやりたいことすべてはできません。
追い求めている性能に近づけるには、その分の時間やコストが掛かるため、それを販売価格に反映出来ないからです。
しかし、価格が高くても良い物が欲しいと思っている人は一定数存在しますので、台数を限定し、価格帯も高めな特別なモデルが存在するのです」
※ ※ ※
日本において、ひと昔前にはスポーツカーのラインナップが数えるほどしか存在しなかった時期がありました。
しかし、最近では新規・復活組としてトヨタ「スープラ」や「GRヤリス」が登場したほか、トヨタとスバルの共同開発モデルとなる「86/BRZ」にもフルモデルチェンジの噂があります。
また、トヨタとダイハツは「コペン GRスポーツ」を両社の販売網で展開するなど、少しづつ変化が見られています。
そんななかで、高価格帯でも欲しいというファンのために今後も限定モデルのスポーツカーはありつづけるのかもしれません。
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