「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、三菱 ミラージュ(タイ仕様)だ。
三菱 ミラージュ(2012年:6代目フルモデルチェンジ)
日本国内での発売が今夏(編集部註:2012年夏)に迫った三菱の新型ミラージュ。日本よりひと足先にタイで発売された。そこで、タイで行われた先行試乗会をレポートしておきたい。
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タイでは、ピックアップ トラックのトライトンや、それを3列シートのSUVに仕立てたパジェロスポーツで定評のあるミツビシ。今回、新型ミラージュを投入する。日本にもこのタイ産のクルマが導入されるが、そのタイ仕様モデルに試乗することができた。試乗したモデルは1.2L+CVTを搭載した中間グレードのGLS。実はタイはAT比率が80%と、けっこう高い。
Aセグメントにカテゴライズされるコンパクトな見た目よりも、室内は意外とゆったり。そしてシートの座り心地が、かなりソフトなことにまず驚いた。タイの人は乗り心地にうるさいらしく、サスペンションに加えてシートで衝撃を吸収させているのだろう。
そのため、足まわりも非常にソフトライドに仕上げられている。今回の試乗会場である、巨大駐車場に作られたテストコースは路面がかなり荒れており、つなぎ目も多かった。だが、ガツンとした衝撃は一度も感じなかったほど。ロールはかなり大きめだが、ボディがカッチリしているおかげで、ハンドリングは悪くない。スラロームなどでも、しっかりと一体感を保ってクルマがついてきてくれる印象で、ライントレース性も高い。
この手のクルマにありがちな、急にクルマに裏切られるようなヒヤッと感はまるでなかった。ステアフィールも非常に軽く、4.4mという最小回転半径と合わせて、路上縦列駐車が当たり前のバンコクの街中でも威力を発揮してくれるに違いない。ブレーキは初期タッチこそあまり強いタイプではないが、レーンチェンジでのコントロール性も良かった。渋滞が頻発するタイの交通事情にはピッタリだ。
インテリアの質感も高く、室内は十分に広い
エンジンは出足から素早いタイプではなく、低中速よりも高速域のほうが伸びていくようなフィーリング。タイは山岳地帯が1割しかないという高低差が少ない平坦な国なので、粘り強い低速トルクよりも高速でそこそこのスピードで巡航できて、小排気量でも高回転域まで気持ち良く回るフィーリングの方が好まれるようだ。乗ってすぐ自分の手足感覚で運転できるという、ミツビシらしい乗りやすさや走りの良さが印象的だった。
インテリアのクオリティも高く、後席も十分に広い。ヒザまわりもヘッドクリアランスもかなり余裕があり、大人5名がしっかりと座れる。ちなみに後席のヘッドレストは、タイ仕様ではふたつだったが、日本仕様はどうなるのかは気になるところだ。
後席シートバックは6:4の分割式。少量の荷物の配達や営業にはコンパクトカーを使うことが多く、スプリットシートは人気が高いとのこと。ボディサイズはコルトより小さいミラージュだが、荷室の床面を深くしてVDA方式ではコルトより積載容量は約40Lも増えている。
日本仕様のスペックや装備は未定だが、このボディ&シャシの出来なら大いに期待できそうだと感じさせてくれた。
三菱 ミラージュ GLS(タイ仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:3710×1665×1490mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:865kg
●エンジン:直3 DOHC
●総排気量:1193cc
●最高出力:57kW(78ps)/6000rpm
●最大トルク:100Nm(10.2kgm)/4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・35L
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤサイズ:165/65R14
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みんなのコメント
もしミラージュという名前じゃなかったら、往年のRSとかサイボーグとかの幻想を纏っていなかったら、どうなっていたのか。いや、何も変わらなかったはずだ。世のマスコミや車好きにとって、パジェロでもデリカでも「エボ」でもVR-4でもダンガンでもない三菱なんて、一銭のカネにもならない、なんの価値もないのだから。そういうことでしょ?